2017年06月28日

第1731夜:東京駅「山形育ちのハンバーグ御膳」【Ekiben】

 『ヤケクソめし』(ういち原作・あかいこうじ漫画 ガイドワークス)。パチスロ誌で連載していたらしい謎の駅弁コミックである。パチスロに負ける作者が「どうせ負けるなら」と高額の弁当を買ってただ夢中で食べまくるという異色作。食べた感想は「うまい」のみだが、絵ヂカラが凄まじく、下手な文章より100倍の迫力で伝わってくる。

 ちなみに私のライフワークの一つが駅弁探訪。2010年4月から開始し、2016年2月時点で530種類を満喫。全部で14種類の弁当(駅弁)が紹介されている中で私が実食済は4種のみ。まだまだ修行が足りませぬ。ちなみにこのコミック、1980円という高級駅弁価格だ。

 ある2月の日曜の夜。帰神する車中晩酌の友として東京駅構内の駅弁売場を散策していた。ふと、前述の『ヤケクソめし』を思い出した。作者は東京駅B1F改札内にあるグランスタでほとんど購入していた。私がグランスタに足を踏みいれたことがなかったので向かってみた。

 凄まじい人である。まっすぐ歩けないどころか、店前やレジは混雑しすぎて肝心の商品確認もひと苦労。数多くの名店がシノギを削っており、コミックで紹介されている弁当もしっかりと存在している。しかし、どれも高い。3000円以上する弁当も珍しくない。

 迷いに迷ったあげく、第2話で紹介されていた調整元<eashion>様の『山形育ちのハンバーグ御膳』にロックオン。理由はただ一つ。コミックに取り上げられていたグランスタ内の弁当の中で最安値だったから。「人気ナンバー3」という微妙なPOPが貼られている。

 普通指定席はほぼ満席だったため、溜まったポイントを活用してグリーン車に乗り込む。缶ビールやウィスキーの準備も怠りなし。『Number』ラグビー特集を読みながらという贅沢さ。

 缶ビールをカシュとし、一気に半分ほどグビグビ。この爽快感がたまらない。弁当のフタを外す。……。巨大なハンバーグが鎮座している。付け合わせはポテトサラダとポテトフライという何故かポテトかぶりだがご愛嬌というヤツである。御飯の量もたっぷりだがおかずの絶対数が少ないので酒のアテとして少々不安に駆られる。

 原作者はミニカップに入った「レモン塩ダレ」(著者命名)をハンバーグだけでなくごはんにも余すところなくかけている。このタレをかけるだけでご飯が何杯でもイケるそうだ。

 私もタレをまんべんなく垂らす。まずはハンバーグを人かじり。……。柔らかい。冷めても旨い。そして、肉の旨みが濃縮されている。レモン塩ダレの爽やかな酸味が見事だ。

 ポテトコンビを間に挟みつつハンバーグを齧り、酒を呑む。少ないおかずだが素晴らしい充実度である。新横浜を過ぎたあたりでおかずが残り3分の1に。手つかずの御飯に箸を伸ばす。口に運ぶ。……。ぶっ飛んだ。レモン塩タレをご飯にたっぷり掛けて大正解。旨いだけでなくチビチビつまめば立派な酒の肴に。

 東京駅グランスタでの駅弁捕獲が楽しみになってきた。次回は肉か、海鮮系か。居酒屋で飲むより高くつきそうだけど。

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2017年06月26日

第1730夜:フラフープの通過儀礼【若松(北九州)】

 フラフープ。小学生の頃、男女問わず誰もが1度は経験したことがある簡易遊具である。果てしなく回し続けるヤツとそうでないヤツがいたように思うが、ほぼすべての子供が回すことができたはずである。現在はウエスト軽く100pオーバーの私でさえ、30年以上前は軽快に回していた記憶がある。

 穢れ知らなきガキの頃から幾千の夜を超え、すっかりヨゴれたオッサンになり果てた30代後半、岩手県宮古市のスナックでフラフープを回す機会があった。大津波の年である。軽快に回すママから受け取った私は、ニヤニヤしながら楽勝モードで回そうとした。……。全く回らない。何度頑張っても3回まで。3回は回しているとはいえない。勢いと惰性だけである。

 愕然とした。それから宮古のスナック(myフレンド)で何回か再チャレンジしたが結果は一緒。フラフープなど自転車と一緒でいったんコツを覚えたら一生忘れないと思い込んでいたが、浅はかだった。私だけでなく、同じように「楽勝だべ〜」と余裕をこいていたオヤジたちも惨敗。唯一スポーツ用品店親子が軽快に回していたのを見てさすがと感心した記憶がある。

 ある5月の夜。北九州若松商店街の旦那衆とがっつり痛飲した後、U島氏と<ショコラ>へ。キープしているラフロイグをロックでヤリつつ談笑していると、夜中1時頃に客がいったんはけ出した。店はたしか明け方4時まで営業しているのではなかったか。

 店の奥に巨大なフラフープが立てかけられていることに気付いた。一度視界に入ってしまうと、様々な思いが乱れてくる。回してみたい気持ちと、回せるかという不安。

 そんな私の乱れ心を察したわけではないだろうが、ママがフラフープやろうと誘ってきた。……。受けて立たねばならない。

 ママが笑顔で軽快に回し始めた。腰をほとんど動かさず、フラフープが勝手に、自動的に回っているようである。全く下がることがない。続いてチーママ。さらに腰の動きが少ない。しかも腕は胸の前でクロスしたままだ。規則的に回り続ける人工衛星のようである。

 私の出番である。思いっきり反動をつけて、力任せに回し、思いっきり腰を振る。……。やはり回せない。情けないソフトクリームのような回転で5回もしないうちに足元に落下する。この力任せ腰スイングは誤った手法であることは頭として理解しているのだが、体が反応してくれない。U島氏も私も同じような結果だった。みじめである。

 女性は軽快に回し、男性は回せない。男児は軽快に回し、オッサンは回せない。回せないオッサンの共通点がある。幾千の夜を超え、人生の様々な辛苦や風雪を乗り越え、様々なオトナの階段を上ってしまったオッサンのフラフープの腰の動きは、横振りではなく縦振りである。 

 オトナのオトコにとって、思春期前後に経験するあの行為は、フラフープが回せなくなる通過儀礼であるようだ。

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回せないオトナのオトコ。

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軽快に回すママ。

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全く腰どころか体すら動いているように見えぬのに、グルングルン回っている。
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2017年06月25日

第1729夜:エリートと雑草【小倉(北九州)】

 佐賀牛。松坂や平戸に比べると知名度は落ちるかもしれないが、高級ブランド牛の雰囲気がプンプン漂っている字面である。

 ある5月の夜。北九州小倉黄金町でミッションを終えた私は、商工会議所のM渡アニキ&同郷(神戸)のM里氏とタクシーで鍛冶町に向かった。暖簾の潜り先は<赤とんぼ>。北九州屈指の割烹だが、私は御縁をいただいて何度も足を運ばせていただいている。

 通された先はVIPルーム。そこにはYネモリ氏とTカヤ氏が鎮座されていた。すでにたっぷりと極上料理とお酒をご堪能されているご様子。お二方とM渡アニキと<赤とんぼ>の女将さんは北九州市内のチャリティイベントの収益金を三陸宮古の復興に役立てていただくべく現地まで足をお運びいただき、寄付金を御進呈いただいた。感謝、洪水のごとくである。

 談笑しながら生を数杯呑んだ後、オブジェのごとく壁の棚に飾られているプレミアム焼酎を呑んでよいという許可をYネモリ氏から得た。氏がキープされている<海童>の赤ラベル。ネームプレートもないのでオブジェと思い込んでいた。

 この極上プレミアムを遠慮なくロックでガパガパやっていると、しゃぶしゃぶが運ばれてきた。肉はサシがびっしり。鮮烈に美しい。女将さん曰く、佐賀牛であるそうだ。

 日本全国飛び回るまちづくり屋の特権の一つに、各地のブランド牛をごくたまに味わえる機会があることである。しかし、佐賀では1度もシゴトしたことがないので、佐賀牛とお手合わせするのは初めて。胸の高鳴りと緊張が抑えられない。

 さっと湯で泳がせ、ほんのり色が変わり赤みが残っている状態でポン酢醬油にチョン付けし口に運ぶ。……。一瞬でほどけた。上質な脂がサラリと舌に溶ける。信じられない柔らかさ。

 普段豚しゃぶ、それもしゃぶしゃぶ用の豚肉ではなくバラ肉しゃぶしゃぶしか口にできる私にとって、あまりの上質ぶりに理解が追いつかない。東大生が天才であることは理解できるのだが、どれほどすごいのかの本質が理解できないのと同様である。

 すっかり御馳走になってしまい、大満足で店を出た。お開きとなり、M渡氏とM里氏と<ムーラン>へ。ところが満席で入れない。他のスナックに赴く気になれず、麺を啜ることに。

 向った先は小倉南区や枝光でなくても、しかも明け方4時まで小倉最強名物「どぎどぎうどん(牛ほほ肉うどん)」を啜ることができる<麺遊>へ。私は非常に重宝している。

 瓶ビールで乾杯し、「肉肉うどん」を召喚。出てきたブツにすりおろし生姜と粗挽唐辛子を鬼のようにぶち込み、汗をダラダラかきながら一気呵成に啜り込む。

 佐賀牛がエリートなら、超B級ご当地麺「どぎどきうどん」の決してブランド牛とは思えぬ牛ほほ肉は雑草だろう。しかし、某メジャー大活躍投手ではないが`雑草魂´は特にエリートを凌駕する魅力を放つ。一晩でエリートと雑草の両方を満喫した私は二刀流ですが。

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佐賀牛しゃぶしゃぶ。

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シメのどぎどぎうどん(牛ほほ肉うどん)。
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2017年06月24日

第1728夜:農商工連携事業計画開発麺【宇城(熊本)】

 宇城名物。熊本地震で大被害を受けた宇城市は白玉を用いたスィーツが名物であるようだが(ガイドブックで知った)、その他の食材はなかなか神戸人の私には思いつかない。

 ある熊本市内で懇親会が終わった夜。電車の待ち時間に駅隣接スーパーで熊本系インスタントラーメンを出張中に関わらず、銘柄もしっかり確認せず20ヶ以上狂い買い。それから2か月ほど自宅で熊本系を満喫することができた。

 自宅で啜る一麺を選択する際、どの`肥後もうじょ(肥後もっこすの女性版らしい)´とランデブーするか迷うことも大きな楽しみの一つである。その際、2種類の姉妹を何気なく手にした。

 「味千拉麺監修熊本豚骨ラーメン」「味千監修熊本海鮮ラーメン」。

 豚骨がクリムゾンレッド。海鮮がコバルトブルーのパッケージに包まれた2人前入り棒ラーメンである。

 `味千拉麺監修´、熊本なのに`海鮮´というキャッチに惹かれてカゴに入れたのだろう。ところが、それ以上に私の心を鷲掴みにしたキャッチが視界に飛び込んできた。

「熊本県宇城産小麦使用」。

 宇城は白玉や生姜だけでなく、小麦も名産なのだろうか。

 私は2017年1月から熊本市水前寺、宇城市小川町2か所の熊本地震被災商店街の復旧・復興ビジョンづくりのお手伝いを仰せつかっている。水前寺は超有名だが、宇城市は知名度としては少々マニアック。ゆえに「宇城産」を強調した商品との出会いに刮目させられた。

 さらにこの棒ラーメン、「第1回農商工連携事業計画において開発した麺です」と書かれている。オール熊本をひしひしと感じさせるがあまりにもメッセージ性が強すぎる。

 まずは「熊本ラーメン」。手順通り2分半茹で、粉末スープとマー油を鍋に投入。冷蔵庫に常備している刻みネギ、袋麺用のスライスハムをトッピング。後半から紅生姜を投下する。

 スープを啜る。……。熊本で何店舗が攻略し、かなりの熊本系袋麺もお手合わせしてきたが、かなりのレベルの高さ。本格的である。

 宇城産小麦麺を啜る。……。もちもちである。麺がスープを吸っても旨い。啜っている途中に電話が掛かってきて対応してしまい、すっかり伸びてしまったかと思いきや、ふやけずコシが残っている。噛みしめると小麦のかすかな香りが鼻から抜ける。

 「熊本海鮮ラーメン」は熊本なのに、海鮮。新鮮である。こちらは2分半でなく3分。芸の細かい注意書きである。スープの色は塩ラーメン系。

 啜る。……。塩分キツめだが、魚介の香り豊潤。舌に蕩けていく。小麦の香りがくっきりする。ネギもメンマもいらない。宇城産の麦とスープのラボを存分に満喫。枯淡の境地である。

 宇城市で麺類を啜ったことはないが、棒ラーメンといえばマルタイがすべての基本。熊本の雄・五木食品の各シリーズも天晴の極致。宇城産小麦使用棒ラーメン以外は。割とスーパーで容易に手に入る。ぜひお啜りあれ。

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入手困難かもしれませんが、ぜひお試しあれ。

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2017年06月23日

第1727夜:第4回激安はしご酒ツアー〜京橋篇〜【京橋(大阪)】

 アヅマプレゼンツ年1回激安はしご酒ツアー。関西建築系の両兄さん(N岡氏・M下氏)とFBつながりで始まった年1回限定で繰り広げている呑んだくれ祭である。

 第1回は十三(大阪)、第2回は北九州黒崎のF江氏も飛び入りした新開地(神戸)、第3回は初の紅一点参加・姐さんを交えて阪神尼崎。そして今回(第4回)は大阪環状線京橋である。

 15時に京橋駅改札口集合。急遽、私が普段たいへんお世話になっている大阪総合労務会計事務所のS藤代表と今回の紅一点・A部税理士も参戦。1年ぶりに顔を合わす兄さん方と旧交を温めていると、A部先生がとびっきり爽やかでエレガントなスタイルで降臨。私は上下作業着にスリッパという京橋正装なので、ギャップが凄まじい。

 ルールは「会費一人5000円で5軒ハシゴ酒を目指す」だけ。ゆえに激安チェーン店を止まり木とする邪道も許される。私はCFO(最高財務責任者)として皆さまから会費を徴収する。

 5人で向かった1軒目は私が京橋で呑む際は外せない立ち呑み屋<二升五合>。18時まではビール大瓶が390円という角打価格。ビール5本注文し、卯の花100円と愛してやまないネギと紅生姜が入った特製出汁巻玉子焼も注文。豚ばら生姜焼も召喚する。

 店内のほとんどがオヤジ一人客だが、オヤジたちは落ち着かない雰囲気で我らへチラチラ視線を送る。エレガントなA部先生が醸し出す雰囲気に微妙な緊張感が走っているようだ。

 立呑みで長居は野暮の極み。30分ちょっとで会計を済ませて店を出る。2軒目を物色するが、5人でフラリ飛び込める店は限られている。

 商店街を散策する。京橋は観光地でもないのにすごい人だ。ただし、商店街にすごい人ではなく、星の数ほど林立している朝から開いている雰囲気の呑み屋はどこも超満員である。

 2軒目は小料理屋風の立ち呑み<りっか>へ初ダイブ。ハイボールで乾杯し、卓上の惣菜を数品注文。この日はレディースデイらしく、A部先生には特別サービスが。全員2杯ほど呑んで料理も数品頼み5人で4000円弱。ちなみに1軒目も4000円弱だった。

 3軒目は新世界でも店を出しているらしい<勝大>へ。串カツ専門店である。17時開店と同時にカウンター5席をL字で確保。オープン直後にアッという間に満席に。人気店のようだ。串カツ盛り合わせやどて焼、無料生キャベツをツマミに生ビールをガンガン呷る。

 4軒目は<勝男>。最近よく色んな地で見かける激安150円トリスハイボールや唐揚がウリの居酒屋である。2時間制だったが、フルに居座り150円トリハイ縛りで痛飲。唐揚も絶品だが、はんぺんの刺身(なめ茸和え)が妙に旨かった。

 3軒目と4軒目でがっつり呑んだため、4店舗で会費を使い果たしてしまった。CFO失格である。私のチョンボだが、5軒ハシゴだけは死守したい。同行氏たちに追加料金徴収を懇願。皆さん剛毅に快諾いただいた。

 ラストは5軒目だが超満員の<一軒め酒場>。この店も様々な繁華街で幅を利かせている。すでに激しく呑んで喰いまくっており、この店で何を喰って呑んだのか記憶が覚束ない。しかし、会計は一人1000円程度だったことだけは財布に入っていたレシートで確認できた。

 21時過ぎ、解散。6時間激しく呑みっぱなし。私は大阪で新快速に乗り換えた。混んでいたので立ったまま読書しているといつの間にか寝てしまった。ふと気づけば三宮を大きく乗り過ごして明石駅に。立ったままハッと気づいたが、さすがにアセった。読んでいた文庫本はどこかに紛失してしまった。

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1軒目スタート。

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卯の花100円と特製出汁巻玉子は外せない。

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2軒目は小料理屋風立呑み。

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すでに全開。

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3軒目は串カツ屋。

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揚げたてと生ビールの相性無敵。

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4軒目。唐揚げと150円ハイボール痛飲。

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5軒目。

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私だけでなく左の紳士もたぶん記憶なし。
posted by machi at 09:18| Comment(0) | 大阪府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする