ちなみに私のライフワークの一つが駅弁探訪。2010年4月から開始し、2016年2月時点で530種類を満喫。全部で14種類の弁当(駅弁)が紹介されている中で私が実食済は4種のみ。まだまだ修行が足りませぬ。ちなみにこのコミック、1980円という高級駅弁価格だ。
ある2月の日曜の夜。帰神する車中晩酌の友として東京駅構内の駅弁売場を散策していた。ふと、前述の『ヤケクソめし』を思い出した。作者は東京駅B1F改札内にあるグランスタでほとんど購入していた。私がグランスタに足を踏みいれたことがなかったので向かってみた。
凄まじい人である。まっすぐ歩けないどころか、店前やレジは混雑しすぎて肝心の商品確認もひと苦労。数多くの名店がシノギを削っており、コミックで紹介されている弁当もしっかりと存在している。しかし、どれも高い。3000円以上する弁当も珍しくない。
迷いに迷ったあげく、第2話で紹介されていた調整元<eashion>様の『山形育ちのハンバーグ御膳』にロックオン。理由はただ一つ。コミックに取り上げられていたグランスタ内の弁当の中で最安値だったから。「人気ナンバー3」という微妙なPOPが貼られている。
普通指定席はほぼ満席だったため、溜まったポイントを活用してグリーン車に乗り込む。缶ビールやウィスキーの準備も怠りなし。『Number』ラグビー特集を読みながらという贅沢さ。
缶ビールをカシュとし、一気に半分ほどグビグビ。この爽快感がたまらない。弁当のフタを外す。……。巨大なハンバーグが鎮座している。付け合わせはポテトサラダとポテトフライという何故かポテトかぶりだがご愛嬌というヤツである。御飯の量もたっぷりだがおかずの絶対数が少ないので酒のアテとして少々不安に駆られる。
原作者はミニカップに入った「レモン塩ダレ」(著者命名)をハンバーグだけでなくごはんにも余すところなくかけている。このタレをかけるだけでご飯が何杯でもイケるそうだ。
私もタレをまんべんなく垂らす。まずはハンバーグを人かじり。……。柔らかい。冷めても旨い。そして、肉の旨みが濃縮されている。レモン塩ダレの爽やかな酸味が見事だ。
ポテトコンビを間に挟みつつハンバーグを齧り、酒を呑む。少ないおかずだが素晴らしい充実度である。新横浜を過ぎたあたりでおかずが残り3分の1に。手つかずの御飯に箸を伸ばす。口に運ぶ。……。ぶっ飛んだ。レモン塩タレをご飯にたっぷり掛けて大正解。旨いだけでなくチビチビつまめば立派な酒の肴に。
東京駅グランスタでの駅弁捕獲が楽しみになってきた。次回は肉か、海鮮系か。居酒屋で飲むより高くつきそうだけど。
