2017年05月31日

第1709夜:博多駅「島津家別邸仙巌園監修薩摩御膳」【Ekiben】

 島津家。戦国の遥か前より薩摩地方で君臨してきたと名家中の名家である。私は薩摩史上最強の知名度を誇るであろうS郷隆盛氏に顔と体型が瓜二つと日本中で言われ続けてきた。2018年度の大河ドラマ主人公は西G氏。N●Kからオファーを待っていたが私の元には届かなかった。

 2010年から日本中を飛び回る仕事になり、特に九州(沖縄含む)は三陸(主に宮古)と同じ程度足を運んできた。少なくとも自宅のある神戸よりは九州滞在時間の方が圧倒的に長い。福岡(北九州・飯塚)を軸に沖縄(那覇・名護)、最近では長崎と熊本、たまに大分。鹿児島は未踏の地である。しかし九州の主要駅、特に九州新幹線沿いは鹿児島系駅弁が最も幅を利かせている。

 ある日の午後。久留米から博多で乗り換えて関西方面へ向かう途中、博多駅で10分強の待ち時間があった。特に腹は減っていない。あまり時間もない。駅弁売場はスルーし、のぞみ号が発車するホームへ移動する。時間は昼過ぎ。車内で溜まりに溜まった報告書に挑まねばならず、酒精を摂取することは許されない。手を出せば切腹モノだ。

 ホームに売店(セブ●イレブン)があった。ホットコーヒーを買おう。小さな店内に飛び込むや否や、私の視界に明らかにコンビニ弁当とはビジュアルを異にする風格あふれる駅弁が飛び込んできた。「島津家別邸仙巌園監修薩摩御膳」。字画の多さが圧倒的である。

 ひらがなは一文字もない。漢文にしか思えぬが、即座に文字を分解する。鹿児島の超大名・島津家様に仙巌園なる別邸だか別荘だが保養所だか料亭だかがあり、島津家のお殿様にご馳走を作り続けてきた末裔らしき料理人が監修した「薩摩御膳」という弁当であると読み取った。

 値段は1000円以下。平均的な駅弁価格より安い。掛け紙がなく、透明フタから内容が透けて見える。おかずの充実ぶりが凄まじい。豪華絢爛とはこの駅弁のためにある四文字熟語。手に取った時にズシリ感も頼もしい。わずか1000円で薩摩の神髄を味わえるかもしれない。

 レジへ直行。この駅弁はおかずの多さから完全に酒のツマミ系である。しかし、PC猿打せねばならぬ。自宅に持ち帰り、晩酌の友としてご活躍いただくことに。

 捕獲から数時間後。薩摩のお殿様もご賞味されたかもしれぬご馳走が眼前で華を咲かせている。1000円以下で殿様気分を味わえる。

 お品書きは以下である。鰤の照焼き、鶏の柚子胡椒焼き、肉団子たれ和え、煮物、大場巻き海老天、牛肉野菜巻き、さつま揚げ、うずら卵、かまぼこ、厚焼き玉子、黒豆、大学芋、小松菜お浸し、漬物……。

 さつま揚げと大学芋、柚子胡椒あたりに薩摩隼人を感じさせる。これほど酒が進む駅弁は全国でも稀有。味は上品だがしっかりと濃い。一分の隙もない。

 製造業者(調整元)は博多の食品会社。島津家別邸はあくまでも監修。これほど風格とコスパを兼ね備えた駅弁だが、博多駅構内の駅弁専門売場で何故か見かけない。あくまでも駅ホームの<セブ●イレブン>限定なのかもしれない。島津家より恐ろしいセ●ンイレブン家である。

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惹きの強いビジュアル。

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豪華絢爛。
posted by machi at 06:49| Comment(0) | 駅弁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月30日

第1708夜:芸達者あふれる小川町【宇城(熊本)】

 <高岡>。熊本県宇城市小川町で屈指の風格を誇る老舗料亭である。しかし熊本地震で店舗が全壊。工事業者の手配がつかないようで、本格再建は2017年の冬らしい。現在(2017年1〜2月時点)は仕出し料理の出前が中心であるそうだ。

 小川町商店街のミッション開始は19時。私は平均して18時過ぎの小川駅に到着し、商店街M本会長に迎えに来ていただいて会場である<まちや>へ。設営を済ませた18時半ごろ、T岡氏が毎回料理を出前して下さる。M本会長と打合せを兼ねてお食事をいただく。

 温もりが冷めない御飯と汁物、数品のおかず。どれも凝っていて真心が籠った絶品料理である。思わずビールが欲しくなってしまう。

 私はミッション開始の3時間前は固形物を腹に入れない。空気頭に血流が回って眠くなるだけでなく、集中力も散漫になるからだ。ところか、高岡さんの仕出しは腹だけでなく心まで満たされる。震災の苦境を乗り切ろうとする心意気も味のスパイスだ。

 2017年2月下旬、全6回ミッションの前半3回が終了。後半は3か月ほどインターバルが発生する。小川町は震災の影響もあり夜遅くまで開いている飲食店が少ない。その中の貴重な1軒である焼鳥屋さんへ会長や商店街若手メンバーと訪れた。3回目にして小川町初呑みである。

 生ビールもチューハイも焼酎も驚くほど安い。おでんも焼鳥も一品料理もヨソモノの私が不安になるほどのリーズナブルさ。それに反比例し、ボリュームはしっかりと満たしている。

 若手メンバーが料理に挑み、杯を重ねる。ところが私はミッション前の仕出し出前が胃に残っており、全く箸が伸びない。しかし、液体は別腹。生ビール、チューハイの後は熊本の米焼酎「白岳」をロックでガンガン呷る。

 初めての懇親会。会長以外の若手メンバーと話し込むのは初めてである。メンバーは皆さんスポーツが凄まじく万能。甲子園常連高校野球部にて地区予選決勝で敗退した漢、水泳の強化選手だった漢、箱根駅伝にあと一歩で出場できた漢……。皆さんの体育会話を聞いているだけで面白い。体罰やシゴキ全盛の時代を生き抜いた漢たちは一味も二味も違う。

 余談だが、九州全体では野球熱が高いが、宇城市は「サッカーの町」であるそうだ。イケメン長身の元日本代表も宇城のご出身であるという。

 料亭主人のT岡氏も遅れて合流された。氏が遅れた理由は、合唱の練習という。何かの合唱大会が近いらしい。小川町商店街のサムライたちは一芸に秀でた芸達者が揃っている。

 24時頃お開き。小川町域内の宿泊施設は震災の影響で休業中か、工事関係者が制圧して予約できない。私はM本会長のご自宅に泊めていただくことに。夜中1時頃まで会長ご夫妻や御令嬢と話し込み、爆睡。翌朝、朝食までご馳走になってしまう。

 腹も満たされ、一服がてら外に出る。夜は気付かなかったが、会長のご自宅横は凄まじく広大な空地がある。2017年度中に大型店が出店するかもしれないという。小川町は復旧期だが、本格復興への槌音が朝日とともに聞こえてきた。

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私にとって初の小川町呑み会。

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心配になるほどの安さ。
posted by machi at 17:31| Comment(0) | 熊本県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月28日

第1707夜:体寒を上回る心暖【池田(北海道)】

 「わりとワンダーランド」。北海道池田町商工会の若手中心メンバーが策定したキャッチコピーである。2016年10月からご縁をいただき、5か月間の間に6回池田町へ訪問させていただいたが、言い得て妙とはまさにこのコピー。一部思いっきりワンダーランドもあるけれど。

 池田町全6回シリーズ最終回。勉強会参加メンバー全員で21時過ぎに商工会副会長が営むパブ<ホイリゲ>さんへ。店が広すぎるのが、外気が寒すぎるのか、暖房またはストーブがほとんど効いていないようだ。寒くてタマラない。しかし、池田町では私はロゼロック一択。震えながら氷たっぷりジョッキロゼワインを痛飲する。

 皆さんと震えながら談笑していると、電気店を営むY田氏が最終回ゆえか私にお土産を下さった。何だろう。……。ご本人の顔&犬のイラストがプリントされたTシャツである。何かのイベントで作ったらしく、在庫はほぼないという。どんなTシャツよりレアで希少価値高し。

 さらにY田氏は私が全6回の池田呑みで訪れる機会がなかった人気焼鳥店へ極寒の中向かい、熱々を大量に差し入れして下さった。感謝感激雪吹雪。焼鳥を頬張りながらの、ロゼロック。タダしい池田町の夜の過ごし方である。

 いただいたTシャツのフロント面にY田氏に思いっきりサインしていただき、早速着用。たった1枚のTシャツだが、これほど保温効果があるのか。寒くてたまらなかった店内が途端に快適に。極寒の焼鳥買い出し、激レアTシャツプレゼント……。心の芯から暖かくなる。

 女性陣や男性陣の一部が三々五々帰路につく。いつものメンバー(Y田氏・T屋氏・M上氏)が残り、夜中1時半ごろまで痛飲。4時間以上呑んでいると、暖かい汁モノが啜りたくなった。しかし、店にはラーメンの類はないという。

 私の最後の願いを叶えるべく、M上氏らが極寒の真夜中、近くのコンビニへ駆けつけてインスタント袋麺を買ってきてくださった。「マルちゃんみそ味ラーメン」。関西で見かけないローカル袋麺なのかもしれない。

 M上氏らはカップ麺に湯を注いで啜り、私の分は「もう帰るぞ」と私達を急かせていたマスター(商工会副会長)にみそ味ラーメンを調理させるという鬼っぷり。

 深夜2時。外はマイナス10度以下。池田町で得たステキな呑み仲間たちと啜る、ひと手間加えていただいたインスタントラーメン。体の寒さよりも心の暖かさが完全に満たされた。

 駅前極寒旅館で泥のように眠った翌朝7時。特急乗車の前にコンビニへ。昨晩(5時間前)のローカル袋麺の旨さが忘れられなかった。すると、4時間ちょっと前まで一緒に鯨飲していたM上氏とばったり。氏は私を見送るついでにコンビニでお土産を買いに来て下さったという。

 池田町は道内屈指の極寒地帯だが、オトコもオンナも心が熱い。氏に駅まで車で送っていただく。外は快晴。晴れたらいいね♪じゃなく、晴れてて最高だね♪である。

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半年間お世話になりました。

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飛びっきりのナイスガイ・Y田氏と。まさるTシャツ着用。

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Y田氏の差し入れ熱々焼鳥。

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パブとは思えぬシュールな光景。

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北海道限定かもしれない関西で見かけないような気がする袋麺。

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落涙必至の絶品。これまで啜ったインスタントラーメンで1番美味かったかも。


posted by machi at 17:37| Comment(0) | 北海道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月27日

第1706夜:懺悔と公安【札幌(北海道)】

 北海道クリスチャンセンター。キリスト教徒以外の私のような年中懺悔せねばならない不届き者でも受け入れて下さる宿泊施設である。

 2月下旬。札幌で1泊して翌日に池田町へ向かうことになったが、ホテルがどこも空いていない。札幌で冬季アジア大会というマニアックな大会直前だったためか、受験のためか。仮に空いていたとしても3万は下らない。必死で検索したら北海道クリスチャンセンターがヒット。キリスト教徒以外でも宿泊可能とある。

 礼拝堂で雑魚寝だろうか。背に腹は代えられぬ。料金も5000円程度。いざチェックインすると、なんとツインルーム。珈琲セットから何から何までアメニティが充実している。ただし部屋の中で煙草や飲酒は厳禁との注意書きが。注意書きにはなかったが姦淫もたぶんダメだろう。

 念押しされたのが、門限。24時厳守とおっしゃる。無宗教罰当たりの私は24時までに戻る自信はない。我がだらしなさをフロントで告解すると、フロント熟女は慈愛と哀れみの笑みを浮かべながら非常口の暗証番号を教えて下さる。隣人への優しさ。思わず入信しそうになる。

 きっちりド二日酔いの翌朝。門限破りと鯨飲の罪を懺悔しながら10時過ぎにチェックアウト。札幌方面に向かって雪道を歩いていると、私に目線を合わせながら近づいてくる男がいた。「よっ!」という感じで手を軽く上げている。

 知り合いだろうか。……。私も顔をガン見すると、見覚えがある。……。大学時代同じ学部学科だったM本氏だった。彼の四国の高松かどこかの実家に泊めていただいたこともある。たしかその時、どこかで讃岐うどんを初めて実食し、その旨さに驚愕した記憶がある。

 20年ぶりだろうか。しかし、妙な違和感がある。その正体にすぐに気づいた。私は20年ぶりの偶然の道端再開に目を見開いて驚いているが、彼は少しも驚いていない。

 彼はめったにフェイスブックに投稿しないので忘れていたが、何かのキッカケでFBで繋がっていた。私がクリスチャンセンターに泊まっているのを知って立ち寄ってくれたそうだ。

 彼が札幌に住んでいるとは思わなかった。何の仕事をしているか尋ねたら、北海道警察でテロを未然に防ぐ公安のような仕事という。翌日から冬季アジア大会で発生する恐れがあるテロを未然に防ぐため多忙になるが、その日(私と会った日)はヒマだったらしい。

 私は重度ミステリマニアだが、まさか知人に公安の仕事についている輩がいるとは思わなかった。それにしても、よく私のチェックアウト時間通りにばったり会えたものである。まさか、尾行されていたのだろうか。張り込まれていたのだろうか。私の体内のどこかにGPSが埋め込まれているのだろうか。恐るべし道警公安の調査力である。

 旧友の顔を観たら、食欲が学生モードに。用事を済ませ、地下鉄南北線で北18条の<ラーメン大将>へ。店内が学生や作業着姿の男たちで満席だ。

 9番セット(学生ラーメン+焼飯)900円注文。ちなみに学生ラーメン、飛びっきり極上の味ではないがすごいボリュームかつ具だくさんで単品価格450円は改めてスゴイと思わせる。しかし、ラーメンも焼飯も2人前づつありそうなボリュームに圧倒され、最後食べきれぬ。20年の老いを痛感する。

 セットメニューを食べきれず残すという罪を懺悔しながら札幌駅に向かう。札幌での罪は、ミッション先の池田町で贖罪すべくスキー客でにぎわう特急に乗り込んだ。

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助けていただきました。

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充実のアメニティ。

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ラーメン大将北18条店。

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9番セット。
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2017年05月24日

第1705夜:カレーラーメンのピンチヒッター〜第6回七厘会〜【札幌(北海道)】

 七厘会。このバカブログでも幾度となく乱筆してきた札幌狸小路付近の塩ホルモン店<七厘>で開催される宴である。

 私が札幌入りした夜、道商連青年部長Y本氏に幹事を務めていただき、道商連や札幌市商連青年部の皆さまとひたすら塩ホルモンをつつきながら、時にはアスパラバターやラム肉を挟みながら4〜5時間呑み続け、喰い続ける。

 その第6回は2017年2月中旬に開催。参加人数は私を含め10名。過去最大規模である。女性陣も加わるようになり、華やぎが増している。

 普段は胃を空っぽに、ノドはカラカラにして宴に臨むのだが、この日は平岸駅直結「平岸ゴールデン街」で0次会を敢行。ノドも潤っており、胃も落ち着いている。この時期は何故か毎月のように七厘会を開催していただき、メンバーの紳士淑女は皆さま超多忙なのだが、申し訳なさを100倍上回る感謝で心も胃も満たされる。

 この夜もたっぷり4時間以上呑み、喰い、笑う。いったん中締めとなり、そのままラーメン店へ直行かと思いきや、7人ほどでたくましいマスターが切り盛りする<日米屋(にべや)>へ。

 激しい下ネタをかまし疲れたのか、N田兄さんは初参加のT森氏の膝、というか股間に顔を埋めたまま眠りこけている。T森氏も上向き加減で眼をつむって半分眠っており、状況知らぬ人がこのビジュアルを目にすると勘違いすること必至。その横でT橋ご夫妻が唄い、U氷氏&T樫氏もデュエットを熱唱されている。

 2次会も終わった。私とU氷氏とT樫氏はU氷氏行きつけの行列必死な超人気ラーメン店<すずらん>へ。「メガネくもります」という注意書を横目にカウンターへ。この日は珍しく並ばなかった。その2か月前にこの店で啜った味噌ラーメンはこの何年かの私のベスト味噌である。

 北海道屈指の麺道黒帯・U井氏は私に期間限定のカレーラーメンを食べさせたかったらしい。しかし、期間限定なのですでに終了している。

 するとU氷氏は何とカレーライスを注文した。メニューのどこにもない、完全な裏メニューである。ここはラーメン屋である。カレーライスが作れるのなら、カレーラーメンはもっと容易ではないのか。

 素朴な疑問をぶつけると、スープの加減を含めかなり難しいらしい。ラーメン、そしてカレーの奥深さを泥酔頭に思い知らされる。麺道、険しすぎる。

 サッポ●クラシック瓶をやりながら談笑していると、ブツが眼前に表出した。色はダークブラウン。あまりにも豊潤かつスパイシーな香りが鼻孔を殴りつける。

 シュールな状況に胸躍らせながら口に運ぶ。……。旨すぎる。常連と一緒ゆえに許される裏メニューという背徳感が無法というスパイスを利かせている。普段、カレーで酒を吞むときはルーだけにしてライスを抜くのだが、この店のカレーライスは十分な酒の肴である。

 次回はぜひ、今回出会えなかったカレーラーメンを啜りたい。U井氏に連れて行っていただけねば対面することはできないだろうけど。

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過去最多人数の第6回「七厘会」。

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熱唱。

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妙な雰囲気。

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超絶人気ラーメン店の裏メニュー。
posted by machi at 07:25| Comment(0) | 北海道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする