2016年11月08日

第1573夜:長崎駅「ながさき鯨カツ弁当」「ながさき鯨すき弁当」【Ekiben】

 「ながさき鯨カツ弁当」。長崎駅で捕獲した鯨専門店<四代目くらさき>さんが調整元の冷めても絶品駅弁である。今や超高級品である鯨肉をふんだんにタップリと使用されている。掛け紙によると、南氷洋ミンク鯨を秘伝のタレに漬けこみ、手間暇かけているそうな。

 この掛け紙のデザインが見事。歌川國芳画伯の浮世絵なのだが、宮本武蔵氏が巨鯨と海で対決した物語がモチーフとなっている。上品と野生が高レベルに同居している。勉強不足なのだが、長崎には旨し逸品が数あれど、鯨も名産だったのだろうか。

 博多方面へ向かう特急に乗り込む。掛け紙を外す。米という白き海原を覆い隠す巨鯨のごときカツが制圧している。タレ小袋もなし。そのままかぶりつく。

 ……。柔らかい。カツのサクサクと鯨特有の旨みが口の中に広がる。塩コショウが施されているようで何もつけずとも十分。白飯でグイグイ喉を押し広げると、思わず鼻息という名の潮を吹いてしまいそうだ。

 醤油ダレに漬けこんで揚げられた鯨の竜田揚もコクがさらに増す。肉なのだが豚や牛よりサッパリしている。甘辛い鯨そぼろも極上。

 白飯も止まらないが、焼酎ロックがあれば最高の酒のツマミ駅弁に早変わりするだろう。全体的に味は濃い目なので、箸休めの桜漬が一際可憐さを醸造させている。コスパといい味といい天晴痛快な作品である。

 感動冷めやらぬ1か月後。前夜の鯨飲酒が抜けきらぬ炎暑の正午過ぎ。同じように博多へ向かう特急に乗車。今回の昼の御供は「鯨カツ」の兄弟版「ながさき鯨すき弁当」。値段はカツ弁より2〜300円ほど割高である。掛け紙の色は赤。カツは青だった。

 異様に混んでいる車内で肩身狭く掛け紙を外す。漆黒の鯨肉が窓から陽光を浴び、妖しく黒光りしている。「鯨カツ」「鯨竜田揚げ」「鯨肉焼き」がしっかり脇を固めている。

 すき焼といえば、牛である。豚、鶏のすき焼もあるそうだが、私は未だ未食。それなのに鯨をすき焼で、しかも駅弁で。バチが当たりそうである。

 さっそく口に運ぶ。……。柔らかくネットリしている。鯨独特の獣臭もワイルドに鼻孔を抜ける。ゼラチン状のプルプルもあり、様々な部位が投下されているようだ。

 カツ、竜田揚げ、肉焼きはさすがの安定感である。玉子焼もポクポクして巧妙。桜漬もより一層華やかな酸っぱさを演出している。

 鯨すき焼は初めてだが、熱々を生卵に浸して口に運んだらどんな味になるのか。鯨のパンチが生卵にまろやかに包み込まれ、コクが倍加するかもしれぬ。

 個人的にはコスパ麺でも味でも「カツ弁」に軍配を上げたいところだが、「すき弁」は持ち帰ってレンジで温めて生卵と組み合わせてみたい。しかし、長崎には他にも魅力的な未食駅弁がたっぷり。悩ましい限りである。

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「鯨カツ」の掛け紙。

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鯨カツが圧倒的存在感。

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「鯨すき」の掛け紙。

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妖しく黒光り。
posted by machi at 15:21| Comment(0) | 駅弁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月07日

第1572夜:ハっとしてトーシ【長崎(長崎)】

 ハトシ。海老のすり身をパンで挟んで揚げた、長崎最強のB級グルメである。長崎には皿うどん、ちゃんぽんなど心惹き付ける名物は数あれど、ハトシの知名度は低いものの長崎市民のソウルフードの一つらしい。

 ある夏の夜。長崎市役所の若手サムライたちと思案橋横丁にある大人気居酒屋へ。刺身盛合せやきびなごの唐揚などに舌鼓。生やハイボール、焼酎を鯨飲しながらこれぞ長崎名物という料理はないかと私はリクエスト。そこで降臨したのが「ハトシ」である。

 明らかに旨そうな黄金色のオーラが発散されている。思わずゴクリとノドがなる。まずは何もつけずに口へ運ぶ。……。サクっの後、一瞬のフワァ。トーストの香ばしい香りが鼻孔に抜けた後、海老の濃厚な旨みが口の中に広がる。

 旨すぎる。どんな酒にも合う。冷めても旨いのか分からぬが、揚げたての香ばしさは無敵。爽やかな朝の焼き立てトーストのようでありながら夜のオツマミ、高貴なのにジャンクという相反性。海老アレルギー以外でこの味を好まぬ御仁はいないだろう。

 呑んで食べて談笑し、熱く語り合う。ハトシの言葉の意味は同行氏たちは誰もご存じなかった。謎は謎のままでよい。いったんお開きし、2軒目は路地の2階にあるシブいバーへ。さらに思案橋横丁の中華の名店をハシゴ。

 <康楽>さんで瓶ビールをヤリながら我が北九州若松の麺友がベストと推奨するちゃんぽんを熊啜。ついでに頼んだ玉子焼も悶絶刮目の旨さだった。今度は酔っ払わずにシラフで真剣に対峙してみたい無敵の味付けだ。トドメは<満福>さんでチーズ餃子をツマミにハイボール。

 長崎県民(市民)は酒のシメにちゃんぽんや皿うどんを啜らずオニギリ、お茶漬、雑炊でシメるという麺命の私には信じられぬ土地柄。私は3軒目でちゃんぽんを、4軒目で餃子を食したが、もう一度ハトシに対峙したかった。他の店の味を確かめてみたかった。ハトシは家庭料理ではなく、居酒屋メニューであるという。中華料理店にはなさそうだ。

 翌朝。特急乗車時間まで長崎駅構内の土産物売場をフラフラしていると、「ハトシ」が売られていた。昨晩味わったものと形状が異なっている。さらに私の目を引き付けるPOPがあった。ハトシという言葉の意味である。思わず近づいて読み込む。

 ハトシは中国由来の料理。「ハ」はエビを意味し、「トーシ」はトーストが語源であるという。中国語では海老トーストのことを「ハトーシ」と発音するのか。

 海老トーストなる代物がメジャーであると思えない。中国由来ではあるが、完全に日本というより長崎オリジナルなのだろう。ちゃんぽん、皿うどん…。和と洋と中を絶妙に取りいれ一つの小宇宙を構築。懐の深すぎる世界屈指の観光地である。

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最強の長崎B級グルメ「ハトシ」。

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シラフの時にもう一度対峙したい<康楽>さんのちゃんぽん。
posted by machi at 08:24| Comment(0) | 長崎県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月06日

第1571夜:夢幻と無限【八尾(大阪)】

 「八尾あきんど起業塾2016」。八尾市内で開業を志す方々が集結し、バラエティに富んだ全10回の連続講座である。2014年から御縁があり、お手伝いさせていただいている。

 私の役割はカリキュラム作成と全10回の司会進行、そして「開業のポイント」「POPづくりワークショップ」「先輩商業者たちのパネルディスカッション(コーディネーター)」「物件お宝探しツアー(フィールドワーク)」および個別面談も担当する。

 記念すべき初回講師は日本政策金融公庫課長様と敬愛するY本中小企業診断士の豪華2本立て。終了後、2回目の講師を務めていただくファイナンシャルプランナーのS藤氏とY本講師の3人でプチ打ち上げに出かけた。

 時間は昼の2時。八尾市内で呑める店はあるかと危惧したが、八尾っ子のS藤氏が向かった先は近鉄八尾駅ペントモールにある<がちや>さん。若くてイケメンのマスターが切り盛りする元気いっぱいの居酒屋である。

 ドリンクが90分1500円で呑み放題。生で乾杯した後、串カツや天ぷら、唐揚などを舌鼓。どれも絶品である。ハイボールが分殺で無くなっていく。

 たっぷり長居して店を出た。時間は16時半。凄まじく明るい。心地よい酔いと猛烈な暑さで蜃気楼が揺らめいているようである。気分は夢幻のごとくなり。

 八尾は早くても17時オープンの店が大半。従来の私のステレオタイプなイメージを異なり、上品である。昼から呑んだくれる輩は鶴橋か難波へ向かうのだろうか。

 S藤氏が「八尾でコスパ最強」と唄うファミリーロード内の<岡田屋>さんへ。開店10分前だが入れて下さった。開店直後にはアッという間に常連さんが押し寄せてくる。

 メニューを観た。……。ぶっ飛んだ。ほとんどが200円から300円台。どれも旨そうである。しかもどれも量がたっぷりらしく、常連のS藤氏からセーブするようアドバイス頂く。生ビールを注文。`百姓一揆‘とプリントされたジョッキがキュートである。

 出汁巻玉子が出てきた。かなり巨大である。ジューシーフワフワ。見事な先制攻撃だ。これで280円とは恐れ入る。オススメボードの枝豆ニンニク醤油炒めは伸ばす指が止まらない。

 鶏肉と野菜がたっぷりのイタリアンテイストの土鍋が運ばれてきた。量もさることながら、たった200円である。繰り返すが、200円。味もお見事。2軒目なので十分に満腹だ。

 極めつけはデミグラスソースがたっぷりの生卵絡めな肉トッピングのオムライス。凄まじくハイボールに合う至福の逸品。豚骨ラーメンも思わず注文。一気呵成に熊啜。

 破壊力無限大である。目の前の光景が信じられない。夢ではないか。幻を見ているのではないか。この味とこの値段の居酒屋を起業すれば、間違いなく大流行りするだろう。しかし、もうけを生み出す仕組みや秘密がさっぱり私には分からなかった。

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この1年で最も衝撃を受けた居酒屋。

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たっぷりイタリアン土鍋がたったの200円。

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豪華なオムライスも激安。

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オリジナリティあふれる豚骨ラーメン。これも鬼安。
posted by machi at 07:28| Comment(0) | 大阪府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月05日

第1570夜:布施「土用」夜市【東大阪(大阪)】

 土曜夜市。東大阪の商都・近鉄布施駅を挟んで南北の広がる商店街一体で毎年7・8月に計4回開催されている大縁日である。

 2015年夏より北側に伸びる「ブランドーリふせ」のさらに北側である三番街・四番街の若手商業者グループと御縁を頂いてきた。よく話題になっていたのが「土曜夜市」。圧倒的な賑わいのようで、集客面では東大阪最大のイベントといって過言でないようだ。

 2016年7月30日。計4回のうち2回目の土曜夜市を見学する時間が出来た。勢い余って早く到着しすぎてしまい、布施駅前の映画館で時間つぶしに『インディペンデンス・デイ』20年ぶり続編を鑑賞。缶チューハイを3本ほど呑みながらだったため、途中40分ほど爆睡。しかし、内容把握に全く困らなかった。

 映画館を出ると、徒歩15秒ほどで夜市会場に。思わず目を剥いた。凄まじい人である。浴衣を着た子供を連れたニューファミリー層を中心に、縁日ゲームに殺到している。屋台も豊富だが、同じようなものを売っていても値段に差がある。安い店には行列が。皆さんよくご存じである。

 歩くのもままならない。アーケードの下に熱気がこもり酸欠を起こしそうである。這うように三・四番街へ。若手グループや理事長らとお会いするが、皆さん強烈に忙しそうだ。

 お話を少しお聞きすると、前回(1回目)の人出は今回(私の訪れた2回目)の倍だったという。時間は20時前。人出のピークは20時から20時半ゆえにこれからさらに増えるのだろうか、この客数の倍とはいかなる規模か。インディペンデンス・デイの巨大円盤より迫力がある。

 生ビールを呑みながら差し入れで頂いた唐揚やコロッケ、メンチカツを頬張る。揚げたて絶品。私も前職時代はよく縁日を企画したが、集客面では鉄板イベントである。ただしゲームは1回100円、最大でも200円までが望ましい。昔と比べゲーム内容も遥かに進化している。

 人酔いしそうになったので、商店街から少し横道に入った立ち呑みの名店<得一>さんへ緊急ピットイン。十三店はよく足を運んだが、布施店は初めてである。

 どの料理も絶品で飲み物も安いが、ジムビームハイボールが何杯飲んでも150円。迷わず注文。アテメニューを見る。十三店なら白身フライとアボカド刺が私のお気に入りだが、日替わりオススメを見ると「鰻蒲焼」「鰻肝たれ焼」の文字が視界に入ってきた。

 その日は土用の丑だったことを忘れていた。今年の夏は大好物の鰻をまだ外で食べていない。この2品を注文。しばらくして出てきたブツは、蒲焼が半身、肝焼もたっぷりの量だった。タレの味はかなり濃い目なので酒が余計に進む。

 ボンヤリTVを観ながら鰻を楽しみ、ジムハイを重ねる。店もさらに混んできた。お会計を済ますと、ハイボールを3杯も呑んで1160円。真夏の夜の夢である。

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人酔いで酸欠寸前。

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頼もしいPOP。お世話になりました。

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立ち呑み居酒屋で格安の肝焼と蒲焼。贅沢と清貧の間。
posted by machi at 14:32| Comment(0) | 大阪府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月04日

第1569夜:ラウンジでKJ法を語る男【名護(沖縄)】

 KJ法。カワキタJロウ先生が考案したワークショップにおける一つの手法であり、圧倒的支持とシェアを集めている王道方式である。盆と正月を除き、日本各地でKJ法がどこかで行われているはずである。

 流されるままにまちづくり業界に身を委ねて20年弱。私もKJ法を数え切れぬほど体験してきた。ごく稀に参加者の場合もあるが、99%はファシリテーター(進行役)である。

 手法は一言でとても言い表せないが、ポストイットに意見を書く。それを模造紙などに貼っていく。似たような意見を集約し「島」を作る。その中で様々な対立軸も生まれる。そこから幅広く合意形成を図っていく。ただし、普通にやればかなりの時間がかかる。

 私にとってのKJ法の利点は何か。「考えの目視化」「スリーピングオピニオン(隠れた意見)の抽出」「少数意見の認識共有」「発言機会の均等」といったあたりか。

 KJ法は奥が深すぎ、ファシリテーターの手法によってやり方は大きく異なる。私はKJ法とSWOT分析を組み合わせた「3色ポストイットワークショップ」という名称を勝手に名付け、ワークショップ運営を年間50回以上お手伝いしている。私のやり方の特徴は、とにかく簡単かつ短時間で「最低限」の意見集約ができることである。

 ある夏の夜。時間は22時を大きく回った頃。沖縄県名護市の中心・名護十字路あたりでKJ法「もどき」ワークショップを商店街の皆さまと実践し、軽くビール打ち上げした2軒目。大通り会のO城会長と公設市場のY城氏でY城氏いきつけのスナックラウンジへ足を運んだ。

 着座するなり、いきなりO城氏がびっしり文字で埋められたA3歳サイズのペーパーを私達だけでなくテーブルに着いたレディにも配りだした。以前商店街が独自に実施したKJ法のまとめだった。KJ法のプロ中のプロらを招き、東京方面からも参加者を募って合宿形式のように実践。徹夜でまとめたという。

 名護大通り会は日本で1番KJ法に熱心かつ詳しい商店街である。O城会長は熱くKJ法の魅力とポイントについて力説する。私ですら知らないことだらけ。酔いも覚め、私はメモを取りだした。たっぷり1時間近くレクチャーを受けただろうか。その後はバカ話に移行する。

 朝の早いY城氏が帰られ、O城氏と定番のラウンジ<レッドコーラル>へ。超満員である。ママが席について下さった。O城氏はママにKJ法シートをお配りし、再度熱く説明しはじめた。スナックラウンジでKJ法のレクチャーを資料付で受けるという稀有すぎる経験である。

 私は泡盛を鯨飲しながらも、どんどん酔いが冷めていく。私がこれまで信じてきたKJ法は何だったのか。あまりにも奥が深すぎる。他の街でKJ法の手法説明やファシリテーターを務める自信を喪失し始めた。酔わせつつ、冷めさせる。どこかのウィスキーCMのようである。

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1軒目。O城氏からレクチャーを受けるY城氏。

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2軒目。ママの戸惑った表情が印象的。
posted by machi at 06:32| Comment(0) | 沖縄県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする