2016年11月15日

第1578夜:「奥の手」は唐揚?【八戸(青森)】

 コンセプト形成事業委員会。12街区で構成する八戸中心商店街連絡協議会内に設置された特別プロジェクトである。各街区(商店街)から選抜された商業者たちが月1回ペースで会合を重ねている。特徴も規模もバラバラの商店街が統一したコンセプトを確定できるかが最大の課題であり、合意に至る過程を含め2年もかけて練り上げられる予定である。

 ある委員会にて。3グループに分かれてワークショップ形式で議論が重ねられた。皆さん熱心に取り組まれている。テーマは「八戸の中心商店街がさらに活性化するためには、●●することである」。この「●●」を探るべく、利点や課題を抽出していった。

 3グループそれぞれに個性がありつつ統一した思念を意識せずに共有されていた。ある意見の中で、特別目立たないが「奥手」というものがあった。必殺技を意味する「奥の手」ではなく、八戸市民はオトナしく引っ込み思案ゆえに、そのあたりが良いところでもあり弱点でもあるという。「奥手」という漢字の是非はともかく、確かにそういった部分はあるかもしれない。

 委員会終了後、絶品懐石居酒屋、ライブハウスでの落語会、大衆居酒屋を経て、最後は六日町のM井会長、商工会議所K井氏の3人で町はずれの「銀馬車通り」(たしか)に流れついた。独特の場末感が漂っており、中心部の賑わいと比べると渋みがありすぎる雰囲気である。

 M井氏からどこか飛び込みで入ろうと提案された。おもしろい。店決めは私に任せていただく。数軒あった中、扉を凝視し、中の客層を推測し、エイヤッとある店のドアを開けた。

 場末感が横溢した店内はママが一人、カウンターに女性客が一人座っている。お客さんは一人かと思いきや、カウンター女性は中に入った。どうやら店のレディらしいが、どちらもかなりの御年輩。どちらがママなのか分からぬほどだ。

 私が選び飛び込んだのだが、M井氏は「あら、大松ビルさん」と秒殺で声を掛けられていた。人気者は顔が広く、どこにいっても顔が割れるので悪事は決して働けない。

 泥酔して離脱を余儀なくされたK井氏と入れ替わるように別呑み会に参加されていた同じコンセプト委員会のN崎氏とそのご友人も合流。話の流れで、八戸のスナックでは<南国>さんという店の唐揚を出前で注文することが非常に多いと聞かされた。私も毎月八戸で呑んでいるが、初耳である。八戸の酔っ払いやスナックレディで南国唐揚を未食の者はいないという。

 時間は24時前。特に腹も減っていないが興味深々。出前可能か電話してもらうと、OKサインが。ただし2人前からの注文という。

 カラオケや談笑を満喫している間にすっかり唐揚のことを忘れていたら、ふっと入口近くの端に座る私の横に気配を感じた。そこに包みを持ったかなりお疲れ気味の表情を浮かべた女性が佇んでいた。唐揚の出前だった。こんな時間に疲れるはずだ。お願いしたのは私だが。

 受け取る。熱々である。封を開ける。香ばしい匂いが鼻孔をくすぐる。1ヶあたりかなりの大きさ。同封の塩にチョン付けし、熱々をかぶりつく。……。ザクッとした音が口内から耳を抜けた瞬間、口の中から肉汁があふれ出した。下ごしらえも絶妙。思わず瞠目した。

 唐揚に伸ばす手が止まらない。熱々に被りつき、口の中の脂を酒で洗い流す。私はこれまで頬張ってきた唐揚でベスト1位は神戸三宮<愛愛>。もしかすると南国さんの唐揚は東日本では我が間違いなくベスト。ただし、シラフではなくかなり酔っ払ってから頬張る故にシチュエーションが旨さを倍加させているかもしれない。

 1度だけでは分からない。再びどこかのスナックで注文せねばならない。スナックのメニューではなく、奥手が多いらしい八戸のスナック全体で共有している飛び道具。まさにこれこそ「奥の手」である。

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イチゲン飛び込み物色中。

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場末感たっぷり。

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出前唐揚到着。ずしりと重い。

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最高です。
posted by machi at 09:54| Comment(0) | 青森県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月13日

第1577夜:七味万華鏡【八戸(青森)】

 <七味家>。八戸六日町のビル内で圧倒的支持を集めている超人気割烹居酒屋である。座敷も広々で毎日のように宴会予約が入っているようである。

 ある夏の夜。八戸市中心商店街の旦那衆と会議終了後、<七味家>さんへ。六日町M井会長の顔で呑み放題プランなのに料理たっぷりで格安料金が実現した。

 生で乾杯した後、卓上には無敵の鯖塩焼、う巻、八戸では夏がシーズンというナントカ蟹、野趣あふれる味噌を付けて齧るラッキョ、瓜のような胡瓜(胡瓜のような瓜)が鎮座している。どれもほっぺた落としだが、ラッキョに付ける味噌だけでも何杯も呑めそうな仕事ぶりだ。

 海鞘、烏賊塩辛の小鉢と共に、ごく少量のご飯茶碗が運ばれてきた。鯛めしである。シメではなく、冒頭。最初にしっかり腹に入れ、胃に優しくという配慮らしい。シメは麺と決めている私にとって初体験の作法だが、いい感じである。この日は鯨飲したが、最後まで記憶飛ばさず翌朝もスッキリだった。

 ドライアイスの蒸気をモウモウとさせながら刺身の大皿が運ばれてきた。SF映画のようである。鰹、鯖、烏賊…。どれも新鮮極まりなく、上品でクドさゼロ。

私の隣に座る地元蔵元様差し入れの地酒<八鶴>一升瓶2本がスイスイ空いていく。ちなみに2016年になり、私が最も呑んでいる日本酒は間違いなく<八鶴>シリーズの逸品である。

 蛸、絶品のコーン、大葉に包まれた蛸白子の天ぷら3種も大皿に。サクサクのアツアツ。ホクホクのプリプリ。冷たい生に良し、地酒に良し、笑みが止まらない。

 アッという間に時間が経過。出席者のお一人(N居氏)の超絶アカペラ歌唱(上を向いて歩こう)に聴き惚れてお開きに。

 数人で2軒目に向かった。同じ六日町にあるライブハウスへ。何と落語会が開催されているという。そっとドアを開ける。9割の入りだが、最前列だけ空いている。さすが八戸っ子は「奥手」。噺家さんに前に座るように促され、超アリーナ席へ。

 M井氏にハイボールをご馳走になりながら、久々の生落語に耳を傾ける。私は落語を聴きなれていないので、後ろの観衆がどっと笑うツボを外してしまう。神戸新長田時代にライブハウスで月1回恒例の落語会を開催し、チケット販売に苦労した記憶が蘇った。

 2席ほど満喫してから、ライブハウスからほど近い居酒屋へ3人で。M井会長のご友人のような御仁が女性連れで食事されている。東北地方のアマチュア落語王者様だった。

 八戸の夜は万華鏡のようである。毎月通っているが、常に驚かされることばかり。そして絶対に期待を裏切らず、つねに想定以上の楽しさとシアワセに満ちている。これでお開きかと思いきや、もう一軒。そこでも更なる驚きが待ち構えていた。

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お通しのようだが、どれも絶品。

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本格的に呑む前のプチ飯。暖かい心配り。

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ドライアイスが映らずに残念。

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絶品日本酒。

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シメはアカペラに聴き惚れる。
posted by machi at 08:35| Comment(0) | 青森県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月12日

第1576夜:空缶クラッシュ【黒崎(北九州)】

 空缶。専用ゴミ箱がある屋外はともかく、自宅で空缶が発生した場合はクシャッと潰して分別ゴミ袋に投下する行為が一般的と推測される。私も同様。呑み終えた後、片手でクシャッ。理屈ではない。儀式のようなものである。意識すらすることもなかった。

 ある夏の夜。アーケードを撤去しすっかり開放的になった黒崎駅前新天街事務所にて、アーケード撤去後に「ただの道路」にならぬよう様々な方策を探る勉強会終了後、そのまま事務所呑みとなった。枝豆、魚肉ソーセージ、いわし蒲焼缶詰などを肴に冷たい瓶ビール。ビールが無くなった後は冷蔵庫の発泡酒や焼酎だ。

 皆さまと談笑しながら杯を重ねていると、凄まじいピッチで発泡酒を空にされる御仁がおられる。花見の時には一人で1ケース(24本)ノドに放り込むというK下氏である。

 呑み開始わずかで、氏の前には凄まじい勢いで空缶が増えている。ふと気付くと、その形状が妙である。真上から踏みつけたとしか思えないアルメティットクラッシュ。いつそんな激しい動きをされていたのだろうか。

 すると新天街のF江病み上がり理事長が、K下氏と競うように空缶を両腕で万力のごとくクラッシュしている。空缶の天地を太い腕で挟み、裂帛の気合を込めている。お二人でどちらが激しく押しつぶしたか、その高さで勝負していた。

 最近すっかり見かけなくなったスチール缶を天地で押しつぶすのはかなりの腕力が必要だが、アルミ缶でも難しそうだ。ところが、コツがあるという。クラッシュする前に空缶のサイドを爪で斜めに線を何本か入れるという。

 私も挑戦することに。妙に緊張してきた。慎重にサイドを爪で何本かへこませ、両手で天地を挟む。魂魄の気合を込め、ウオリャッと声を上げながら一気に押しつぶした。

 ……。確かにペチャンコになった。悦に浸っていると、押しつぶした形状がイマイチという。上から見た時、まん丸でなくてはいけないそうだ。私のクラッシュは斜めに力が入ったようで、真上からの形状だ楕円形に。空缶クラッシュ、奥が深すぎる。しかも手のひらにはクッキリと丸型が残ったまま消えない。

 24時ごろまで痛飲し、商店街の鉄板焼屋さんへ。ナポリタンなど絶品に頬っぺた落としの後、病み上がり理事長と深夜2時に浜省バーへ。そこへ理事長と懇意のスペシャルゲストが合流。1時間ほどでバーを出て、明け方5時まで理事長のお店で3人で。

 スペシャルゲストの登場に私も大興奮。病み上がり理事長も表情が蕩けている。私がいろいろと突っ込む。理事長がオノロケを返す。酔っ払いオヤジを相手に明け方にも関わらず慈愛に満ちたステキな笑みを浮かべ続けるスペシャルゲスト。私自身がクラッシュしてしまった。

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2016年11月11日

第1575夜:那覇空港「ポーク玉子おむすびセット」【Ekiben】

 ポーク玉子。私の沖縄料理大好物不動のベストスリーの一角である。沖縄のコンビニはポーク玉子系のおにぎりが大充実。ボリュームたっぷりで、温めると旨さが倍加する。

 ある休日の遅い午後。那覇空港に到着した私は空弁の捕獲に取り組んだ。手荷物検査場を越えた売店にある空弁はほぼ食べつくした。よって空港内のFァミマに向かう。このコンビニでは沖縄限定の空弁が売っている。

 私の心をとらえたのが「ポーク玉子おむすびセット」。調整元は<みなと食品沖縄>様である。ツナマヨ、油みそ、からし菜が楽しめ、値段も480円とリーズナブルである。

 朝から何も腹に入れていなかった私は気もそぞろにレジへ。手荷物検査場を抜け<サクララウンジ>へ。ここではオリオン生や泡盛、ウィスキー、各種ジュースが無料呑み放題である。

 前夜鯨飲の二日酔いも抜けた。まずは冷たいオリオン生ビールを注いでグィっと。泡まで冷たく、爽快すぎるノドごしである。オリオンは沖縄で呑むと旨さが千倍増しになる。

 パッケージを開ける。思わず笑みが漏れた。小ぶりサイズだが、8ヶも入っている。玉子の黄、ポークのピンク、海苔の黒、米の白が鮮やかである。沢庵もシブい存在感を放っている。

 見た目では具材が分からない。まずはビールのアテとしておむすびとポーク玉子を分断する。海苔をチョンと箸でつつくと、ハラリと外れる。ポーク玉子を口に運ぶ。……。濃厚でジャンクな旨みと塩味が口の中で弾ける。すかさずオリオンを流し込む。目を細める。

 おむすびだけを頬張る。……。お、一発目はツナマヨか。一口サイズなのでツマミにもちょうどよい。次はポーク玉子おむすびとして口へ。……。ポーク玉子の塩味が白飯と中和し、そこに油みそのコクが絡みつき混然一体。これは旨い。からし菜のサッパリも嬉しい限りだ。

 おむすびを3つ平らげる間にオリオン生2杯がアッという間に焼失。あと4ヶも残っている。ドリンクコーナーに向かう。さらにオリオンを追加するか、ウィスキーに切り替えるか。

 ここは沖縄である。泡盛にしよう。ロックでやるか、シークワサージュースで割っても面白い。しかし、体が水分を欲しており、ゴキュゴキュやりたい。ロックは重いし、ジュース割りは後味がベトつきそうだ。

 再度見渡した。炭酸水を見つけた。すっきりと泡盛ハイボールがベストチョイスである。グラスに氷を入れ、泡盛の甕の蛇口を捻り半分ほど注ぐ。そして、炭酸水。

 ソファーに座り、オリジナル泡盛ハイボールを喉に注ぐ。……。キレがあり、華やかな香りが鼻孔をくすぐり、旨みが豊潤。すかさずポーク玉子おむすびを放りこむ。味の四重層を満喫し、泡盛ハイボールで追いかける。もう止まらない。

 ミニおむすび7ヶで生2杯、泡盛ハイボールが3杯滅失した。わずか40分で。

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空港内Fァミマで捕獲可能。

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ツマミに最適。

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オリオン生が無料呑み放題。

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泡盛ハイボールの作り方@

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泡盛ハイボールの作り方A

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出来上がり。
posted by machi at 18:02| Comment(0) | 駅弁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月09日

第1574夜:幻の水茄子【名護(沖縄)】

 水茄子。初夏の風物詩である。大阪の泉州地方が名産であり、ぬか漬け、特に生に近い浅漬け状態の瑞々しさ、フレッシュさは他の追従を許さない。シャクっとした歯ごたえの後、甘みのないメロンのような(うまく表現できぬ)汁が口の中で膨れる。

 やんばる地方最大最強の中心部・沖縄県名護市の名護十字路。夏の盛りの20時過ぎ。大通り会O城会長、市営市場Y城会長、マドンナK居女史と沖縄県産食材と地中海料理のコラボを満喫できる<雲茶>さんへ。大通り会はオリ●ンビール工場と近接しており、まさに工場最短距離出荷。昼の熱さを吹き飛ばす生ビールのピッチが加速度を増すばかりである。

 一皿目から横綱登場。海鮮パエリアである。恥ずかしながら不詳アヅマ、42歳になった今日までパエリアなる洒落た料理を口にしたことがなかった。パエリア童貞である。香ばしい匂いが鼻孔に飛び込んでくる。初体験に挑む高校生のような初々しい気持ちになったが、今やすっかりくたびれた中年オヤジである私は一瞬戸惑った。これは、シメではないのか。

 私の酒シメは麺である。米はめったに口にしない。昼も麺類大盛一択で定食や丼、焼飯などは好物なのだがそれほど頼まない。しかも呑む時はほぼ絶対にスプーンを伸ばすことはない。

 空腹には抗えない。たっぷりの具材とともにライス(というのか)を小皿に取り、口に運ぶ。……。何かが弾けた。脳内でフラメンコが踊りだした。ギターがアンダルシアの調べを奏でだした。具。米。これは、酒のサカナである。焼飯より軽い上にバリエーションに富む。パエリア先陣作戦、見事すぎる。私はいきなりKO寸前だ。

 島野菜とアンチョビのサラダも体が喜ぶ。もずくを使った何という料理か分からないものも箸休めに好適。南瓜(たぶん)のパテをバケットに縫って口に運ぶ。思わず口角が上がる。笑みが漏れる。これには白ワイン。思わず天井を見上げる。

 グツグツ煮えたぎったアヒージョが運ばれてきた。アヒージョといえば海鮮だが、何と南瓜(たぶん)と甘くないバナナ。この組み合わせは掟破りかつ背徳。バケットに浸す油を持ち帰りたいほどの精緻巧妙ぶりである。

 同行氏らと談笑を重ね、そろそろお開きか。オーナーがデザートを運んでこられた。緑色の野菜のようで、輪切りである。メロンのようだが、瓜にも見える。何だろうか。

 何と水茄子だった。しかも、名護市内で1軒だけ水茄子を栽培されている農家さんの幻の逸品であった。ヒマラヤの岩塩と何かのオイルで味付けされている。

 見とれながら口に運ぶ。……。あまりのフレッシュさに溺れそうになった。水茄子なのだが、フルーツのようでもある。しかし、甘くない。ヒマラヤ岩塩が硫黄成分を含んでいるらしく、ゆで卵の味も仄かにする

 これは沖縄で一番贅沢な料理かもしれない。絶対に名護でしか、それも特定に時期の<雲茶>さんでしか味わえない究極の幻である。

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破壊力満点のパエリア先制パンチ。

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甘くないバナナのアヒージョ。

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幻の水茄子。
posted by machi at 07:41| Comment(0) | 沖縄県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする