2016年10月30日

第1567夜:朝市帰りは銭湯へ【八戸(青森)】

 館鼻朝市(たてはなあさいち)。八戸の中心地から車で10分ほどの港で毎週日曜の日の出前から開催されている巨大朝市である。全長800メートルにわたり約300店が立ち並び、毎週1万人から2万人もの人出を誇るという。高知の朝市も有名だが、国内でも最大級の規模らしい。

 朝6時。定宿である八戸ワシントンホテルH本社長に車で朝市会場まで送っていただく。小雨がぱらついているが、会場は大賑わいである。商工会議所K井氏も合流し、ご案内いただく。

 日本屈指の漁港・八戸。海産物一択かと思いきや、農家の野菜、焼き立てパン、韓国料理、うどんやそば、珈琲、雑貨、刃物、惣菜など完全にカオス。ミシン販売および修理受付もある。魚関係ももちろん充実。歩くだけでも心が浮足立つ。以前は車も売っていたそうだ。ミシンはともかく、朝市で車を買う御仁がこの世に存在するのだろうか。

 パン屋と塩手羽唐屋、うどん屋の前に行列ができている。観光客も多いだろうが、八戸市民が圧倒的多数。まさに朝の台所といえる。大道芸人の前には人が集まり、謎の非公認ゆるキャラ「イカドン」には誰も近寄らない。

 私はパンを何種類か購入。朝食というより自宅に持ち帰って味わう算段だ。塩手羽先屋は行列だったので諦め、煮干しの詰まった袋と手作りの納豆を捕獲。ノドが渇いてきたのでビールではなくブルーベリージュースに。体が目覚めてきた。

 リアルな見た目と食感が人気という「カブトムシの幼虫グミ」を発見。かなり不気味で350円もするが試しに購入。たっぷり1時間、充実の買物散策である。

 人口あたりの公衆浴場数が全国トップクラスという青森県。八戸もかなりの数の銭湯が営業中という。八戸の銭湯の特徴は、何といっても早朝から営業していること。海帰りの漁師たちが利用するためらしい。港町特有の事情である。

 私の生まれ育った神戸新長田も銭湯がかなりあったが、銭湯の早朝営業は全国的にも珍しい。朝市の後は、銭湯へ。八戸の休日のライフスタイルといえよう。「朝帰り」ではなく「朝市帰り」というあたりが健康的だが、濃く長い一日が始まりそうだ。

 K井氏に <バイタル温泉 柏崎>へ連れて行っていただく。神経痛、腰痛、肩こりや荒れ性などに効果がある薬湯がメイン。券売機で400円支払い、ホテルから持ち出した(すいません)タオル1枚片手に湯船へ。朝から激しく活動したので、疲れやコリがホロホロと茶褐色の薬湯に溶けていく。温度も絶妙。思わずくぅわ〜とシアワセの呻きが漏れる。

 どんどん客が入れ替わる。年配が多いが、完全に一つの習慣であり文化なのだろう。完全にエネルギーを充電して湯船を出る。『昼〜』ならぬ『朝のセント酒』をヤリたい気分だが、ホテルに戻ってPC猿打せねばならない。冷たい水を流し込む。甘露である。

 夕方帰宅。朝市で買ったパン(カツサンド)や納豆を肴に呑む。普段デザートなど食べないが、「カブトムシの幼虫グミ」がある。そもそもグミを食べた記憶がないのでどのような食感か分からない。ただ、あまりにもリアルすぎて手が伸びない。

 少し時間を置いて、幼虫グミに挑みはじめる。手にした食感はプルンプルン。何となくひっくり返した。思わず悲鳴を上げそうになった。土のようなものが付着しているではないか。よく見ると、ブルーベリーだった。

161030八戸朝市@.jpg
雨の朝6時とは思えぬ賑わいぶり。

161030八戸朝市A.jpg
このような需要が朝市にあることに驚愕。

161030八戸朝市B.jpg
私の戦利品。

161030八戸朝市C.jpg
リアルすぎる幼虫グミ。
posted by machi at 08:08| Comment(0) | 青森県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月29日

第1566夜:七夕夏酒ワンピース【八戸(青森)】

 「はちのへ七夕まつり」。青森県八戸市夏の風物詩である。来場者はほぼ八戸市民+αであるにも関わらず、1日数万人が来場。しかも今年(2016年)で第64回を数える。

 7月15日から18日までの四日間開催された。私は最も集客があったとされる2日目の土曜に足を運んだ。商店街理事長様と地元酒造メーカー社長様がご案内して下さる。恐縮である。

 メイン会場は三日町と十三日町。18時から21時まで歩行者天国になる。主催者ですら何軒出店しているか把握できていない飲食屋台や縁日ゲーム数。ホコ天ゾーンはテキ屋さんではなく商店主が出店または直接軒貸しされている。縁日がもっとあっても良いが、飲食の数に圧倒されどこで買えばよいか分からなくなる。

 浴衣姿の女性や子供、家族連れで溢れている。スケボーショーやストリートライブも賑わっている。巨大七夕飾りは1基数十万するものもあるそうで、紙ベースで出来ているので毎年使いまわしできない。雨に弱い弱点もあるので4日間の特に前半は雨が降ると即座に撤収するという。この時期は毎年八戸では梅雨が明けておらず、大変である。

 会場の熱気はスゴイが、私が訪れた夜は小雨模様で肌寒い。ジャケットを羽織っているのは私と案内して下さる八鶴社長様ぐらいだ。たっぷりと視察や意見交換する。

 地元酒蔵「八鶴」9代目のH右衛門社長と三日町商店街R家理事長と<ほこるや>さんへ。R家理事長と入れ替わるように我が定宿・八戸ワシントンホテルH本社長も後ほど合流。

 エビス生をやった後、この店にしか置いていない八鶴の秘蔵酒を遠慮なくガバガバ喉に放り込む。夏酒も豊富でスイスイ喉を滑っていく。八戸沖の炙り〆鯖、倉石牛カツなどを肴に痛飲。H本社長差し入れの「八戸せんべいグラタン風」も堪能。祭りのことを始め色々なお話を聴かせていただく。至福のひと時である。

 解散。いったんホテルに戻って体制を整える。翌朝は6時から朝市に向かうため深夜まで深酒できぬ。しかし、せっかくの八戸。もう少し呑みたい。

 私はボトルキープしている定員5名のイチゲンお断りクラブ<●坂>に電話した。10分後に訪れたい旨を申し上げる。ママは快諾。いそいそとホテルを出て金剛ビル方面へ向かう。

 目立たなすぎる看板の横のドアは鍵が掛かっているのでブザーを鳴らす。中に入る。私は通算3回目だが、別世界に迷い込んだ気分になる。マッカランをロックでヤリながら2人組の常連さんと色んな話をさせていただく。八戸の魅力的な情報もたっぷりレクチャーを受ける。

 超絶美人ママは浴衣かなと思いきや、白を基調にした赤い花柄が上品に施されたワンピース。これほど爽やかさと上品さと妖艶さを超高度に融合させた着こなしを、私は知らない。

 ただ、常連さんがジョークを飛ばすたびにママは「ヤマダく〜ん、座布団!」。

 ……。ビジュアルとのギャップ。合いの手(ツッコミ)も激シブである。

161029八戸七夕@.jpg
すごい人。

161029八戸七夕A.jpg
八戸を統べる旦那衆と。

161029八戸七夕B.jpg
蔵元社長と呑む秘蔵酒。
posted by machi at 09:06| Comment(0) | 青森県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月28日

第1565夜:生娘のいない街【折尾(北九州)】

 おりおろまん。北九州折尾地区の活性化を牽引する折尾商連と地元の愛真高校製菓コースが共同開発(たぶん)したスィーツである。諸般の事情により、シリーズ第2弾がよりスケールアップして進行中である(2016年7月現在)。

 第1弾パッケージは和テイスト溢れ中身は洋菓子というシュールさだが、改めて「おりおろまん」という名称だけ取りだすと、日活ロマンポルノ的空気感も漂う(アラフォーの私はAV世代なので日活ロマンポルノは観たことありませんが)。

 基本的に甘いモノをほとんど口にしない私だが御縁あり、シリーズ第2弾開発プロジェクトの軍師を務めさせていただいている。その会議終了後、商連や商工会議所の旦那衆と学園大通り沿いの店へ。恒例の懇親会だが、私にとっては初ダイブの店である。

 生ビール乾杯後、料理注文。私はいつも地元人にお任せだが、全国津々浦々「ポテトフライ」「ウィンナー」があれば満足。特にポテトフライは欠かせない。

 この店は揚げたてポテトチップスという惹きの強いメニューがあった。思わず注文したが、油が新しくないと作れない料理らしく、普通のポテトフライで矛を収める。その日は珍しく自分から注文モードだった。

 個人的に北九州名物と確信している「山芋鉄板焼」をリクエスト。焼鶏、シーフードサラダなどを旦那衆が注文していく。私もメニューに気になる文言を発見した。

「折尾からいなくなった生娘サラダ 680円」。

 どんなサラダなのだろうか。折尾へは足かけ5年通っているが、生娘がいないとは存じ上げなかった。折尾は北九州最強の文教地区であり、大学や高校が林立。学習塾も凄まじい数。通行客の層も若い。大学生以上はともかく、折尾は生娘ばかりと思い込んでいた。

 折尾にはいない、生娘なサラダ。思わず注文してしまう。出てきたブツはたっぷりのトマトとドレッシングが掛かったグリーンサラダ。確かにフレッシュで若々しく瑞々しい。では、生娘でないサラダはあるのだろうか。

 この店は日本各地の地酒が角打ち並みに安い。かなりプレミア感のある逸品も300円から500円程度。全員ひたすら様々な地酒の杯を重ねる。バイトの定員さんがガラス升に乗った冷酒グラスに一升瓶から直接注ぐ。旦那衆は「こぼせよ!」とプレッシャーをかけ続けている。

 アテが欲しくなった。メニューを再度見る。漬物が欲しかったが見当たらない。再度パラパラ見ていると、「辛子蓮根」が視界に飛び込んできた。地酒に相応しいアテ。迷わず注文する。

 ところが、なかなかブツが出てこない。辛子蓮根は切るだけではないのか。日本酒ばかり空いていく。ようやく運ばれてきた。そのビジュアルを観て、思わず息を呑んだ。切っただけでなく、揚げているのだ。かなり手間のかかる仕事が施されていた。

 口に運ぶ。……。熱々である。蓮根が油を纏い、旨みが倍加している。ツンとくる辛さも失われていない。これぞまさに「生娘でないサラダ(野菜)」ではないか。オッサンになると、初々しさよりも風雪を積み重ねた年輪と妖艶に心奪われるようである。

161028月の子@折尾@.jpg
思わず目を引く。

161028月の子@折尾A.jpg
フレッシュな折尾生娘サラダ。

161028月の子@折尾B.jpg
「もっとこぼせよ!」とオヤジたちがプレッシャー。

161028月の子@折尾C.jpg
こんな旨い辛子蓮根は初めて。
posted by machi at 07:11| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月27日

第1564夜:呑みシメは米?【長崎(長崎)】

 おにぎり。幼少時代の遠足、学生時代やオッサンになってからの昼食に大活躍する日本が誇る世界のライスボールである。私は基本的に麺派なのでおにぎりを頬張ることは少ないのだが、決して嫌いではない。むしろ大好物である。食べるタイミングが少ないだけである。

 おにぎりは基本的に太陽の下、快活な昼が良く似合う。夜に活躍するのは居酒屋の〆メニューとしての「焼おにぎり」か。ちなみに私は焼おにぎりが苦手。歯に挟まるからだ。

 ある豪雨明けの長崎・思案橋の夜。超人気焼鶏店<武将門>さんで長崎市のT屋氏、長崎商工会議所のU村氏と懇親していた。時間は20時頃。まだ宵の口であるが、翌朝早朝用務のため早く中座せねばならぬU村氏が「シメ」の店にご案内して下さった。思案橋付近は中華の名店多し。チャンポンか皿うどんでシメるのだろうか。

 向かった先は思案橋の隣の銅座地区。おにぎり専門店<かにや>さんである。店構えは思いっきり居酒屋だが、長崎県民(市民)は酒の〆におにぎりを頬張る習慣らしい。県民ショーにも紹介されたという。

 数年前に長崎県平戸市へ数回訪れたが、おにぎりをシメに頬張った記憶はない。長崎市内限定なのだろうか。確かにチャンポンや皿うどんよりはヘルシーそうである。

 シメ時間には早いためか客は最初半分程度だったが、アッという間に満席に。メニュー見る。おにぎりは160円か200円均一で30種類ほどもある。お茶漬も吸い物も数種類。

 「五島うどん」に惹かれたがここはおにぎり専門店。郷に入らば郷に従うのみ。一品料理や串焼、おでんも大充実。要するにシメのメニューが異様に充実した居酒屋という雰囲気だ。

 ビールで再度乾杯。程なくしてU村氏オススメの「きゃらぶき」「塩さば」が出てきた。沢庵もたっぷり添えられている。酒の後のおにぎりなど何年ぶりだろうか。学生以来ではなかろうか。かぶりつく。

 ……。よくぞ日本人に生まれけり。赤出汁と流し込むと思わず泣けてくる。握りたては特に旨い。アッという間に平らげた。

 店を出た。時間は21時ごろか。T屋氏と思案橋の<満福>さんでハイボールをヤリながらチーズ餃子をつまみとする。この餃子が抜群に旨い。ハイボールにぴったりである。

 22時半ごろ店を出た。氏と分かれる。2次会のおにぎり&赤出汁でシメたはずが、3軒目の餃子&ハイボールでリセットされてしまった。私は麺派なのでやはり麺を啜らずにはいられない。外は雨が振りだした。歩くのは少々億劫だ。しかし、さすがにペコペコ空腹ではない。チャンポンは少々ヘビーである。

 そんな気もそぞろな私の視界に蒸篭からこぼれる湯気が飛び込んできた。長崎っ子のソウルフード<桃太呂>さんの豚まんである。思わず歩みよる。1ヶ80円。小ぶりなサイズだ。

 勢いで5ヶ購入。いそいそとコンビニで冷たい缶ビールを買い、ホテルへ。大急ぎでシャワーを浴び、プルトップをカシュッと開ける。ポン酢を豚まんに垂らす。本日2度目のシメタイム始まりである。

かにや@長崎@.jpg
呑んだシメのオニギリはおそらく初かも。

かにや@長崎A.jpg
長崎の街中にはお茶漬けの店なども多し。

桃太呂@長崎.jpg
ホテルで2度目のシメタイム。
posted by machi at 08:32| Comment(0) | 長崎県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月26日

第1563夜:キリンのツバサ【日本橋(東京)】

 『麒麟の翼』(講談社文庫)。超絶人気ミステリ作家・H野圭吾先生の加賀恭一郎シリーズである。原作ももちろん面白いが、この作品は映画化されている。

 原作抜群作品の映画化はハズレも多いが、この映画は見事な出来栄え。中でも印象的なシーンが、東京・日本橋の麒麟の銅像を前にした場面である。

 あるクソ暑い7月上旬の夕暮。日本中のまちづくり関係者が集う会合が東京駅近くで開催された。私のようなヨゴレまちづくり屋も末席を穢させていただいている。

 17時過ぎに会合修了。高架下のオープンデッキで生と焼鳥を20人弱でツマんだ後、向かった先は<ニホンバシイチノイチノイチ>。一生覚えられそうにない屋号だが、逆にすんなり覚えてしまう強烈なセンスに脱帽だ。

 店に入ると、そのまま奥に案内される。そこは、川沿いのビアガーデン雰囲気。日本橋がすぐ近くに見え、冒頭の「麒麟」がはっきりと目視できる。都会のド真ん中にこんな空間が残されていたのか。橋の横には野●證券発祥のビルが。歴史の重みを感じさせる。

 強烈な西日を浴びながら乾杯。呑み放題である。銘柄は何か忘れたが、こんな夕暮れは「キ●ン」気分。しかしあんまり冷えていなかったのでハイボールにチェンジ。ポテトフライを肴に杯を繰り返す。

 参加者の中で、事務局を除くと私は年齢が下から2番目。改めて業界若手小僧であったことを痛感する。大先輩方に囲まれて恐悦至極である。

 2軒目(実質は3軒目)は<八重洲ワイン倶楽部>さん(たしか)。地下の店である。10人ほどで飛び込む。普段あまりお話する機会がない大御所の方々と会話をかわせるだけで光栄である。何を呑んだのか忘れたが、ワインも呑んだような気がする。頭に翼が生えたようだ。

 何時ごろ解散したのかあまり覚えていないが、タクシーに同乗させていただき門前仲町のホテルへ。チェックインし、荷を解いてベッドでゴロンする。エアコンが効いてきた。至福のひと時である。しかし、キュンキュンとお腹に翼が生えだした。

 私は皆さんと呑みモードに入るとひたすら呑んで喋るので箸があまり伸びない。よって3軒目あたり(24時頃)腹が減る。この日も3軒ハシゴしたのだが、これは生理現象というより意志薄弱がもたらすビョーキともいえる。

 ホテルを出た。フラフラ歩くが、コンビニしかない。せっかくの東京、立食い蕎麦かラーメンでシメたい。関西でも味わえる牛丼チェーンは絶対に避けたい。

 10分ほど歩いただろうか。煌々と輝く看板発見。ラーメン屋である。早速飛び込む。券売機スタイルにタジログが、落ち着いてホッピーと定番っぽいラーメンのボタンを押す。これほどのフットワーク良き翼がいつも生えているなら、もっと仕事をこなすことができるのだけど。

161026日本橋@東京.jpg
リバーサイド沿いからの、ニホンバシ。
posted by machi at 09:05| Comment(0) | 東京都 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする