2016年の三陸宮古にしては信じられぬほど暖かな2月の夜。私が宮古の鮨屋で最も愛する<若尾寿し>さんで鮪づくしと宮古産煮穴子に舌鼓。メンバーは末広町商店街S香理事長、岩手県中小企業団体中央会のものづくり支援部門の若手ツートップ(年齢差は30歳近くありましたが)。焼酎のボトルがあっという間に2本空になった。
店を出て、前述の<ラターシャ>へ。半年前(2015年9月)からBARでの最初の1杯目は「ディタソーダ」に決めている。ライチの爽やかさがノドに涼感を与える。以前はジントニックだった。
同行のS香理事長と中央会K野氏が何を頼むか少しだけ決めかねている様子だった。私はすかさずマスターに、この二人をイメージしたカクテルを作ってみてと懇願。二人も「それがいい!」と即答。さらに私は「オリジナルであること」「カクテルに名前をつけること」「度数超高め」「二人それぞれ別々のカクテルにすること」の4点を付け加えた。
還暦を越えた髭面、丸坊主、柔道有段者かつ身長180という熊のごとき風貌の大男と、超美人妻を娶ったが早速尻に敷かれているらしい30代の新婚男性にピッタリのカクテルとは?
痛風持ちになり、太りすぎでダイエットしようと2016年1月からジムに通い始めたが、その分食欲旺盛になり1か月で何故か5sも太ってしまった、無茶難題をぶっ込むセイウチのごときの超メタボアラフォーオヤジ(私のことです)は、ニヤニヤしながら困り顔のマスターを眺めていた。しばらくしてマスターが笑顔で「見えてきました!」。何が見えてきたのだろうか。
S香理事長の前は茶褐色のロンググラスが。「ロングアイランドアイスティ」である。K野氏の前にはロックグラスが。「ゴッドファーザー」である。どちらかといえば思いっきり二人のイメージとは逆だが、それもまた面白い。
理事長に一口いただく。……。甘い。アイスティの味しかしない。理事長も笑顔で首を傾げながら口に運んでいく。マスターが「気をつけてくださいね」と忠告してくれる。度数の高いリキュールを5種類もぶち込んだそうだ。
私は理事長の隣で話し込んでいたのだが、徐々に理事長の呂律が回らなくなり、1割も聴きとれない状態に。理事長がいきなり電話を取りだし、軽快に誰かと話しだした。笑顔で話しているので友人だろうか。奥様ではなさそうだ。しかし、何をしゃべっているかサッパリ分からないので誰と話しているか分からない。〔次夜後編〕

嵐の予兆。<若尾寿し>さんにて。