2016年04月30日

第1444夜:オリジナルカクテル「熊殺し」【宮古(岩手)】(前編)

 「ロングアイランドアイスティ」。宮古市中央通商店街のスタンディングバー<ラターシャ>のマスターがある人にために考案した(させられた)オリジナルカクテルである。ロングアイランドというどこかの島のアイスティということか。甘ったるいお洒落ムード満点の名称だが、いったい誰のために考案されたカクテルなのか。

 2016年の三陸宮古にしては信じられぬほど暖かな2月の夜。私が宮古の鮨屋で最も愛する<若尾寿し>さんで鮪づくしと宮古産煮穴子に舌鼓。メンバーは末広町商店街S香理事長、岩手県中小企業団体中央会のものづくり支援部門の若手ツートップ(年齢差は30歳近くありましたが)。焼酎のボトルがあっという間に2本空になった。

 店を出て、前述の<ラターシャ>へ。半年前(2015年9月)からBARでの最初の1杯目は「ディタソーダ」に決めている。ライチの爽やかさがノドに涼感を与える。以前はジントニックだった。

 同行のS香理事長と中央会K野氏が何を頼むか少しだけ決めかねている様子だった。私はすかさずマスターに、この二人をイメージしたカクテルを作ってみてと懇願。二人も「それがいい!」と即答。さらに私は「オリジナルであること」「カクテルに名前をつけること」「度数超高め」「二人それぞれ別々のカクテルにすること」の4点を付け加えた。

 還暦を越えた髭面、丸坊主、柔道有段者かつ身長180という熊のごとき風貌の大男と、超美人妻を娶ったが早速尻に敷かれているらしい30代の新婚男性にピッタリのカクテルとは?

 痛風持ちになり、太りすぎでダイエットしようと2016年1月からジムに通い始めたが、その分食欲旺盛になり1か月で何故か5sも太ってしまった、無茶難題をぶっ込むセイウチのごときの超メタボアラフォーオヤジ(私のことです)は、ニヤニヤしながら困り顔のマスターを眺めていた。しばらくしてマスターが笑顔で「見えてきました!」。何が見えてきたのだろうか。

 S香理事長の前は茶褐色のロンググラスが。「ロングアイランドアイスティ」である。K野氏の前にはロックグラスが。「ゴッドファーザー」である。どちらかといえば思いっきり二人のイメージとは逆だが、それもまた面白い。

 理事長に一口いただく。……。甘い。アイスティの味しかしない。理事長も笑顔で首を傾げながら口に運んでいく。マスターが「気をつけてくださいね」と忠告してくれる。度数の高いリキュールを5種類もぶち込んだそうだ。

 私は理事長の隣で話し込んでいたのだが、徐々に理事長の呂律が回らなくなり、1割も聴きとれない状態に。理事長がいきなり電話を取りだし、軽快に誰かと話しだした。笑顔で話しているので友人だろうか。奥様ではなさそうだ。しかし、何をしゃべっているかサッパリ分からないので誰と話しているか分からない。〔次夜後編〕

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嵐の予兆。<若尾寿し>さんにて。
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2016年04月29日

第1443夜:帰れない、帰らない【豊中・八尾(大阪)】

 「豊中経営セミナー」。豊中市様主催・弊社事務局で阪急蛍池駅前にて2016年2月上旬19時半スタートした。テーマは日本中を席巻し、海外進出も噂されている個店&商店街活性化の切り札「まちゼミ」。講師は岡崎まちゼミ幕府を統べるM井征夷大将軍(以下:上様)。

 上様自らの逆参勤交代に会場は興奮のるつぼ。定員20人を3倍近く超える申込み。一人エグ●イル状態である。2年ほど前に上様が豊中商人を対象にまちゼミ指南を施したそうで、すでに自主的に上様の教えを守りつつ懸命に取り組み、成果を上げているようだ。

 あっという間に2時間終了。上様の客席いじりは芸人顔負けの巧みさ。どんな質問にも答える大喜利ぶりに深く感動する。後光が指すとはまさに上様のことである。

 終了後、上様にお目を掛けて頂いているヨゴレまちづくり貧民の私は、会場近くの焼鶏屋で上様と御神酒を交わす光栄に浴する。程なく弊社社長や豊中市役所の侍&美女たちも合流。上様に拝謁する。マジメ話とバカ話を繰り返しているとあっという間に我が終電が滅失。

 開き直った私は上様と行列ができるラーメン屋らしい<みつか坊主>へ。夜中1時閉店ギリギリに初ダイブ。蛍池と箕面ビールがあり、蛍池はさっぱりライト、箕面は濃厚という。

 担々麺には箕面が合いそうだが、ここは蛍池。ライト、濃厚の順で呑み比べていると、ブツが運ばれてきた。看板メニュー「出汁味噌担々麺」。不思議な味だった。

 タクシーで上様御投宿の伊丹空港横ホテルへ。私もよく利用するチェーンなのでポイントを使って差額1000円で投宿。ロビーでビール呑みながら上様と出版の見込みがない共著「気づかない力」執筆内容について爆笑しながら夜中2時まで大盛り上がり。

 翌日の夜は八尾市様主催アヅマプレゼンツ「八尾あきんど起業塾応用編第3回」。第1部『効果的に見えるWEBページの作り方とは?』(講師:我が盟友スキンヘッドM好氏)。第2部『インターネットを活用した販売や運営について』(講師:環山楼塾生Y田氏)。

 ペルソナマーケティング、ユーチューブ最強論、HP作成鉄則、完全な成功はなし、常にリニューアル、アイコンの色を変えるだけ、位置を変えるだけで売り上げが良くも悪くも急変…。至言の洪水で溢れる豪華2本立て。入門編、応用編合わせた全10回の掉尾に相応しい。

 講師2人と夜中12時過ぎまで痛飲。終電は23時前に無くなるのでとっくに帰宅を諦めていた。帰れないのではなく、帰らない。Y田氏の事務所で呑み直していると、いつの間にか寝心地良すぎるソファーで爆睡していた。

 目覚めれば8時。近鉄八尾駅へまで歩き、<河内うどん>で月見肉うどんを腹に入れ、上本町から空港行バスに乗る。空港内ラウンジトイレで歯を磨き顔を洗って少し覚醒。そのまま飛行機、バス2本乗り継いで三陸宮古へ。1泊2日用の荷造りだったが、結局5泊6日に。到着日はミッションなし。定宿チェックイン後、すかさずコインランドリーに向かった。

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豊中市内の経営セミナーで熱弁を振るわれる上様。

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八尾市内の起業セミナーで見事なプレゼンを披露されるM好氏。

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八尾市内の起業セミナーで惜しげもなくノウハウや体験を語られる環山楼塾生Y田氏。

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八尾で泊まった朝は近鉄八尾駅<河内うどん>で月見肉うどん。
posted by machi at 08:04| Comment(0) | 大阪府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月28日

第1442夜:黄金色の溶岩【富士宮(静岡)】(後編)

 ゴクリと唾を呑み込んだ。コップの水を口に含んで逸る心を抑えようとした瞬間、ビールが不可欠であることに気付いた。焼きそばとビール。無敵最強カップルベスト5位に入っている。しかし、25分後にはミッションが開始される。アルコールは当たり前だがご法度である。

 短い後ろ髪を惹かれつつ再度メニュー確認。「缶ビール350円」の下に「キ●ンフリー250円」があった。ノンアルコールビールである。普段は視界にすら入ってこないが、一際大きな輝きを放っている。私は恥ずかしさと誇らしさが入り混じった声で「ノンアル1本、お願いします」。

 若いマスターは「どちらにされますか?」と2種類のノンアルを提示してきた。まさか2種類もあったとは。キリ●フリーとオール●リー(サン●リー)。一瞬迷ったが、オ●ルフリーに。

 いきなり目玉を崩すのではなく、まずはイワシの削り粉がたっぷり掛かった裾野から攻める。箸でむんずとつかみ、グっと啜る。……。これほどコシの強い焼きそばは初めて。コシの強いうどんやそばは実食済だが、コシの強い焼きそばは初めてである。アクセントの肉とイカの噛み応えも心地よい。最初はコシの強さに戸惑ったが、2口目から慣れてくると旨みが伝わってくる。

 ノンアル缶をカシュっと開け、一気にノドに流し込む。焼きそばの旨さが倍加する。ソース味が占領している口内をサッパリシュワっと洗い流す。次のひと箸がさらに旨くなる。ビールでなくてもよい。冷えたノンアルは昼の焼きそばに欠かせない(夜はアルアルが欠かせませんが)。

 富士宮やきそば、あっさりだがコクもある。強烈な主張はないけれど、いつまでも飽きのこない完成した味。毎日でも食べ続けられる。大盛の上にコシもあるので満腹感が一気に襲ってくるが、いくらでもノドを滑っていく。箸が止まらない。

 3分の2を啜り終えた。いよいよ、目玉焼の黄身を崩す。クライマックスである。箸でチョンと突く。薄膜が敗れ、黄身が溶岩のように流れだす。茶褐色の裾野を流れる黄金色の溶岩。富士山頂は拝めなかったが、目の前の富士宮やきそばでお釣りがくるほどの満足感である。

 卵を絡めながら麺を啜る。……。いっきに官能的な味わいに確変。妖艶な熟女に筆おろしされている気分になる。

 その夜。ミッションを終えた私は富士宮から電車とタクシーを乗り継いで富士市吉原本町へ。数年来お世話になっているNPO東海道吉原宿S野氏とバカ話しながら痛飲。いつの間にか富士宮行きの終電が消失。NPOスタッフのAスミンに富士宮まで送っていただく。

 ホテルに近いコンビニへ。さすが富士宮、カップ焼そばも「富士宮やきそば」。思わずレジに向かいそうになったが、思いとどまった。富士吉原のご当地B級グルメ「つけナポリタン」を数年前に啜ったことを思い出したからだ。無性に食べたくなり、惣菜弁当コーナーへ。……。残念ながら、隣町のご当地B級グルメは王国には存在しなかった。

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富士宮やきそば&ノンアル。
posted by machi at 07:27| Comment(0) | 静岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月27日

第1441夜:黄金色の溶岩【富士宮(静岡)】(前編)

 富士宮やきそば。言わずとしれた日本最強の知名度を誇るご当地B級グルメである。「B級グルメ=富士宮やきそば」という公式が成り立つほどだ。日本最大のまちづくり祭典「B−1グランプリ」で第1回と第2回を連覇。経済効果は9年間で439億円(HPより)に達するという。

 富士宮やきそば学会様のHPによると、その特徴は「麺のコシ」にあるという。そしてさらに12の特徴があるそうだが、印象に残ったものを抜粋要約する。

 「市内にある4つの製麺業者の富士宮やきそば蒸し麺」を使用し、「炒め油はラード」で、ラードを絞った後の「肉かす」を加え、「イワシの削り粉(だし粉)」を振りかけ、キャベツは「富士宮の高原キャベツの中の水分が少なく歯ごたえのよい秋キャベツ」。水は「富士山の湧水」で調理の際の水加減がコシの強さの重要なポイントであるらしい。

 神戸新長田の前職時代、「そばめし」「ぼっかけ」でまちおこしのお手伝いに従事していた私だが、富士宮やきそばを本場で啜る機会に恵まれなかった(はず)。憧憬を長年募らせていた2016年初春、富士宮商店街に御縁を頂くことができた。富士宮やきそば童貞を喪失するチャンスである。

 ある冬の正午過ぎ。富士宮駅に降り立った私は、荷物を預けるためにミッション会場へ向かった。残念ながら富士山頂が雲に覆われて見えない。開始は13時。正味の持ち時間は40分程度。市内に何店舗あるのか存じ上げないが、せっかくなら地元人オススメの店で筆をおろしたい。

 商店街連盟M田会長に会場近くのオススメ店を尋ねる。即答されたのが徒歩2分ほどの<虹屋ミミ>さん。駅前商店街から路地に入った所に位置し、オレンジ色のノボリがはためいていなげれば素通りしてしまいそうな小さな店だが、旨そうなオーラがプンプン放たれている。

 メニューを見る。ベースの「やきそば(500円)」があり、肉・イカ・卵・桜えびを追加料金(100円〜180円)でトッピングするスタイルだ。私は`店長一押し!‘とあった「ミックスやきそば(700円)」大盛(200円)を召喚。肉・イカ・卵入り。単品トッピングより100円お得である。

 焼き上がる間、店内を見渡す。一枚の賞状が額装されている。目を凝らす。平成15年に実施された「第1回富士宮やきそば鉄人グランプリ」で鉄人に輝いた(優勝?)という。何気なく紹介されて予備知識ゼロで入ったが、いきなりの大当たり。筆おろしのお相手がTVで活躍するセクシータレントようなものである。

 ジャツジャというそばが焼ける音、ソースをジュワーっと鉄板に上から垂らした際の爆音、そして狂おしく香ばしい焼きそば独特の香り。……。胃がキュンキュン悲鳴を上げ始めた。

 「おまちどうさま〜」と日本最強B級グルメが皿にこんもりと盛られて眼前に降臨。半熟の目玉焼が中央に鎮座している。目玉焼の下に広がる茶褐色の裾野。本日曇天で拝めなかった富士山の如き神々しいビジュアルである。〔次夜後編〕

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富士宮やきそばの鉄人のお店。

posted by machi at 07:04| Comment(0) | 静岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月26日

第1440夜:ダンジョンの向こう側【八戸(青森)】(後編)

 カクテル「かぶしま」を注文すると、火災被害にあった八戸の「蕪島神社」再建のため売上の一部(なんと100円も)が寄付される仕組み。このカクテルを注文すると、色紙に署名することができる。私も署名させていただく。誇らしい気分だ。

 陽気なママさんとイカしたマスターがアットホームに店を切り盛り。昭和33年から第一線を突っ走っている全国的にも超有名店だった。ママさんはCDも出しているという。

 お通し(無料)の「おっと●と」のバッタ物のようなスナックが妙に旨く、酒が進む。どこで売っているのか分からないが、これだけでもテイクアウトしたい絶品ぶりである。

 店内は客が入れ替わりながらも常に超満席状態。長居したい気分だが、屋台街は譲り合いが大きなルール。もう一度ダンジョンを通って店を出た。

 Y沢氏にホテルまでの道筋を教えていただき、お開きに。八戸の中心市街地はある意味で碁盤の目で、屋台が縦横に走っている。

 外は氷点下だが、なぜか酔いのせいか心地よい。フラフラ歩いていると、道が分からなくなった。私は「みろく横丁」迷い込んだ。すでに閉まっている店もあったが、大抵の店は常連客がマスターやママさんと談笑している。

 北国の夜の寒空を歩く私にとって、店内の灯りが眩しい。マッチ売りのオヤジになった切ない気分に。ホテルに辿りつく前に、哀愁の心に灯ったマッチの火を消すわけにはいかない。

 すでに十分満腹だったのだが‘八戸らーめん専門屋台’という惹きの強いキャッチが視界に飛び込んできた。私の中の琴線が震えた。

 ド●クエの町の教会に入る気分で<味のめん匠>さんへ。暖かい。カウンターに腰掛け、メニューを見る。ここは「八戸らーめん」一択。待っている間もどんどん酔客が入ってくる。

 八戸ラーメンは初啜だが、青森は煮干し系の総本山。期待に鼻が膨らむ。この数年、私は煮干し系の虜だ。
ブツが目の前に置かれた。湯気が顔にあたり、シアワセな気分に。呑んだ後にぴったりなあっさり醤油系のビジュアルに思わず微笑する。

 スープを啜る。……。煮干し系のあっさり味。胃に優しさが湯気と共に染み込んでくる。別腹が発動する。真冬の教会に忍び込んだパトラッシュのように啜りこむ。

 八戸ラーメンという聖水を全身に浴びた私に、チャラララッラー♪というファンファーレが脳内で鳴り響いた。私の腹回りのレベルが上がったようである。

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オリジナルカクテル「かぶしま」。

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みろく横丁で煌めく。

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あっさりなのにコク深し。

posted by machi at 07:38| Comment(0) | 青森県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする