模合システムとは何か。親(胴元)が模合を呼びかける。親とか胴元という単語を使うと賭け事にしか思えぬが、要するに発起人(呼びかけ人)である。それに呼応する人が仮に11人集まれば12人の模合が成立する。月に1回がどこかの呑み屋で模合が開かれる。
参加者は呑み喰い、談笑し、呑み代金以外に別途「模合金」(だったかな)を徴収される。例えば3000円呑み代とは別に1万円収める。その1万円は12万円集まる。その際、12人の中の一人が12万円を受けとることができる。
急な出費が必要な際などに備えて積み立てた金を返してもらうような制度であり、利息が付くわけでもない。ただし、胴元(呼びかけ人)の信用と信頼感が試される。最初に12万円ゲットして失踪してしまう恐れもあるからだ。
私自身よく分かっていないので上手く説明できないが(名護大通り会S吉氏にいただいた模合を考察した論文を拝読しましたが)、模合は呑み会を開催するための口実に過ぎない一面が強いそうだ。しかし、1回100万円の模合もあるという。
2015年11月中旬、名護市大通り商店街を中心とした模合会にお招きいただいた。私はゲスト扱いなので模合金を負担する必要はない。日中の気温が30度を超え、凄まじい湿度に汗ドボドボに。夜20時になっても蒸し暑い。ホテルの部屋でシャワーを浴びて汗を流した後、模合会場となった<雲茶>さんへ。地中海料理のお店だが、栄螺壺焼が半端なく絶品である。
沖縄人の呑み会は大らかである。1時間、2時間遅れは普通。結婚式でも乾杯の発生の前に着席した者から呑み始めるそうだ。早めに来られた御仁らと生で乾杯。日中の汗で焼失した水分が末梢神経の細胞まで補充されていくのが実感できる。オリオンビールの工場が大通り商店街にほぼ隣接しており、名護で呑むオリオンがどこよりも旨いという。
料理がどんどん運ばれてくる。模合メンバーも都度集まってくる。一人で幾つもの模合を掛け持ちしているという。20時から呑み始めて約2時間後、模合メンバーが揃った。私は生を数杯呑んだ後、白ワインをグビグビ鯨飲していたのだが、これからが本番である。
宴もたけなわ(開始から4時間後)に近づきだした頃、2本のワインが卓上に降臨した。同じ形状、同じラベルに見える。模合当日は2015年11月18日。翌19日がボジョレヌーボーの解禁日だった。24時と当時に一斉に乾杯しようというバブルな趣向だったが、私の想定をさらに上回るサプライズが企画されていた。〔次夜後編〕

「模合」の真っ最中。

2本のボジョレヌーボー。