2015年12月31日

第1359夜:アルミ鍋焼うどん対決【宮古(岩手)】

 アルミ鍋。袋麺より簡単で、カップ麺より調理は複雑だが高いグレード感を食品スーパー等で放ついぶし銀である。代表選手は鍋焼うどんだろう。

 宮古に限らず三陸全般はラーメン帝国。たまに蕎麦は見かけるがうどんはめったに遭遇しない。うどんは家で食べるものであって外食の対象ではないと教えられた。

 持ち帰り宮古ラーメンの奥深さと魅力にハマった私は、いつものように駅前商業ビル<キャトル>一階食品スーパーを物色していた。特に宮古の2大麺メーカー「小笠原製麺所」「ハニー食品」に虜である。宮古滞在中はホテルなので複雑な調理はできず、様々な種類の麺を買いだめスーツケースにぶち込んで、自宅でニヤニヤしながら調理して啜っている。

 ある冬の昼。宮古2大メーカーがそれぞれアルミ鍋焼うどんを発売していることを知った。カップ麺ならホテルでも容易だが鍋焼うどんは困難。自宅まで持ち帰り、啜り比べを試みた。

 まずはハニー食品から。売値は300円。具の充実とこだわりが凄まじい。蒲鉾が2枚だが、そのうち1枚はナルト。麩と関西立ち蕎麦系の衣97%天ぷらも嬉しいが、刻みネギが生だったことには驚いた。さらに度肝を抜かれたのが、まるまる1ヶのゆで卵。ナルトとゆで卵というあたりに、ラーメン王国のプライドが垣間見える。

 鍋に水を張りコンロに火をかけ、関西風な細うどんをさっと茹でながら付属の3種類の出汁を入れる。昆布だし、鰹粉、醤油タレ。実に芸が細かい。すぐに出来上がった。

 出汁の色は透き通った関西風。啜ってみる。……。味も昆布だしが効いた関西風。関西独特の細うどんの再現力も素晴らしい。天ぷらが溶けだし油のコクが出汁とうどんに乗り移り始める。本格的である。関西出身の宮古長期滞在者は、この鍋焼うどんを啜れば勇気百倍だろう。

 小笠原製麺所の売値は283円。たまたま安売していたようなので定価は分からない。中の具はナルト、蒲鉾、麩(大きめ)、生葱は同じだが、相違点もある。きしめんのごとき太麺、関東かき揚げ風の天ぷら、ゆで卵がないことが大きな違いだ。出汁も3種に分かれていない。

 同じ手順で作っていく。瞬く間に完成。思いっきり出汁の色が醤油色。いわゆる関東風である。啜ってみる。……。思いっきりカツオベースの濃口醤油。細うどんはツルツルだが、このうどんはモチモチ。私は関東の立ち麺屋でうどんを啜っている気分になった。

 西日本人はハニー食品の、東日本人は小笠原製麺所の鍋焼うどんに軍配を上げるだろう。私は数年前なら迷わずに関西風のハニーに惹かれていたが、まちづくり旅芸人生活も6年目に突入。関東風のパンチあふれる濃厚風味の良さも分かってきた。

 宮古人以外は入手が極めて困難な2大アルミ鍋焼うどんだが、ぜひ啜り比べていただきたい。日を置かずに啜ると、その違いが強烈にはっきりする。どちらも旨いことには違いないけれど。

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ハニー食品様の作品。

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小笠原製麺所様の作品。

(付記)
本年もこのバカブログを御笑覧賜り、誠にありがとうございました。本年最後は、年越しそば代わりのアルミ鍋焼うどんネタで。ちなみに今回は2年ほど前に書いていた死蔵寸前ネタをピックアップ。ネタのストックは減るどころか増える一方。5年以上前に書いて完全に死蔵になったネタも山ほど。来年も緩急ありますが続けていきたいと思います。銀河系30名ほどのセニョール&セニョリータ、大晦日もご安全に。
posted by machi at 09:40| Comment(2) | 岩手県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月30日

第1358夜:末広町商店街`振興組合´設立40周年【宮古(岩手)】

 末広町商店街振興組合設立40周年記念式典。解散を選択せざるおえない振興組合が全国で多い中、東日本大震災大津波にも負けず三陸復興の旗手として牽引する末広町商店街。末広町開町90周年と合同記念式典が2015年晩秋、盛大に開催された。

 式典当日、盛岡から宮古へ向かうバス車中で盛岡駅弁「SL銀河弁当」を腹に入れた私は13時過ぎからの中央通商店街ミッション終了後、式典にはせ参じた。

 S香理事長挨拶の後、長年末広町自治会および商店街で功績のあった重鎮の方に対する功労者表彰。歴史の分厚さを感じさせる。来賓祝辞も心の籠った素晴らしいものが続く。

 祝賀会は大盛り上がり。ちなみに式典も祝賀会も司会は我らが<myフレンド>のママ。来賓挨拶、乾杯の後、大越電気K子社長による日本舞踊の舞。芸達者である。クライマックスは末広町の戦前からの貴重な写真のスライドショー。会場からは「懐かしい」「ああ、●●さんだ」という感嘆の声が漏れる。会場はスクリーンにくぎ付けだ。

 商店街が賑わっている様子も多数だが、圧倒的な比率を誇っていたのが宴会の画像。寸劇やゲームなど楽しそうな写真が満載。いかに景気が良かったのかが忍ばれる。

 私もニコニコ鑑賞していたが、落ち着かなかった。酒もあまり進まなかった。なぜなら、中締めの挨拶という大役を仰せつかっていたからだ。

 21時前。末席で隠れるように談笑していた私に出番を告げるお声が。気合を込めて壇上へ。何を言ったか覚えていないが、無事役割を果たしたようだ。何人かから握手を求められた。

 その後はタガが外れ、2次会、3次会。4次会へ。3軒ともスナックだ。深夜2時半ごろお開きに。勢いが止まらなくなった私は来賓でお招きされていた岩手県商店街振興組合連合会T岡会長を捕まえ、ホテルのロビーで明け方5時前まで自販機のアルコールで2人のみ。翌朝8時のバスに乗らねばならないのだが、そのまま起きているつもりが意識は奈落の底へ。

 目覚めれば9時。バスは100万光年彼方へ。酒と焦りで真っ青になったが、煙草を一本燻らせ落ち着きを試みた。すると、一休さんの頓智が閃いたごとくポーンと音が鳴り響いた。

 すかさず末広町O田青年部長に連絡。定休日で暇だったらしく、花巻空港まで3時間の道のりを車で送らせる。車内BGMはCDドラマ「大垣きゅん物語」のヘビーローテーションだ。

 盛岡を抜け花巻へ向かう途中、飛行機に30分ほどの余裕を持って間に合いそうなことが判明。ほっとすると腹が減ってきた。ロードサイドを注視していると「暴れん坊ラーメン」なる惹きの強い看板が視界に飛び込んできた。すかさず店内へ。

 定番と思しき「暴れん坊ラーメン」のチャーシュー増しを召喚。辛さ8倍まで選べる。二日酔いの荒治療には最強最凶の八辛(8倍)だが、日和ってしまい一番ノーマルらしい3辛に。

 ブツが運ばれてきた。たっぷりネギの味噌ラーメン。汗か酒か分からぬ謎の体液を頭頂からしたたらせながら啜る。一気に体内の酒でフヤけていた細胞が活性化する。

 店を出た。O田氏は軽快に空港へ疾走する。氏はせっかくだからお子様へのお土産を空港で買っていくという。末広町商店街振興組合100周年は60年後。私は間違いなくこの世にいないが、O田氏の御子息が末広町商店街の理事長になっているだろう。末広町商店街100周年を振り返るスライドショーに、私も写っているだろうか。

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よく皆さま1枚に収まったものと驚愕。

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翌昼のラーメン。二日酔いの荒治療。
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2015年12月29日

第1357夜:GのXスポット【宮古(岩手)】(後編)

 私は耳かきが趣味というよりクセである。仕事中、ふと気づけば耳かきでほじっている。筆立てには自宅も職場も数本刺さっている。出張先や旅行先でご当地耳かきを見つけると思わず買ってしまう。増える一方だ。

 今日はどの耳かきを使おうかと思案するのも楽しい。耳を掻きすぎて先端にヒビが入り、耳かきするだけで血まみれになったこともある。

 毎日耳かきを欠かさないので、耳の中だけは私は清潔なはずである。しかし、人にやってもらったことはない。

 何かの映画かドラマで彼女が彼氏を膝枕しながら耳かきをしているシーンを見たような記憶がある。気持ちよさそうだが、耳の穴に異物を入れるという行為を彼女とはいえ他人にゆだねる勇気を私は持ち合わせていなかった。

 Y下氏は耳かきの準備万端である。私は、緊張と複雑な気持ちが同居し始めた。耳かきをして下さるのは、美女ではなく私と同じアラフォーのオヤジである。アラフォーオヤジ同士が耳かきをしている光景はかなり不気味だろう。

私の耳の穴に、山S氏が手にした耳かきの先が挿入されてきた。思わず目が半開きになり、眉間にしわが寄る。ドキドキが止まらない。下品な話で恐縮だが、オトコの私には普段感じることのない「挿入される」という妙な感覚に戸惑ってしまう。ウッ、と声にならないため息が漏れる。思わずオネエに気分になる。

 Y下理容師は私の耳の穴の壁面を絶妙の力加減でなぞりだした。私は思わず目を見開いた。マッサージの気持ち良さとは全く異質の気持ち良さ。もはやこれは愛撫である。先ほどとは違う喘ぎ声が漏れそうになる。むふぅ〜と呻き声が私の口から漏れてしまう。

 頭の中が白くなってきた。全身が弛緩しているはずなのに妙な緊張もある。耳の穴を刺激されているのに、なぜか肛門のあたりまで太くて柔らかい光の棒が指し込まれた気分である。

 絶頂感が押し寄せてきた。これはもはや風俗ではなかろうか。そういえば、秋葉原かどこかのメイド喫茶で耳かきがメニューにあったような記事を見かけたことがあったが、今なら納得のサービスである。

 Y下氏曰く、耳の中のある部分にはいわゆる「Gス●ット」にようなツボがあるという。学生の頃、サザンが「マンPのGスポット」という新曲を出していた。下ネタソングということは理解できたのだが意味がイマイチ分からなかった。

 床屋によるG(ゴルゴ)刈の後のGスポ●ト攻撃。握手どころか背後に立つことすら許さないゴルゴが他人に耳かきを許すとは思えないが、自称まちづくり界のゴルゴ(私のことですが)はこれから喜んで耳の穴を男女問わず他人にゆだねる所存である。

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伊丹マダムMから頂いたG
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2015年12月28日

第1356夜:GのXスポット【宮古(岩手)】(前編)

 <髪楽>。宮古市中心市街地の通称`のり平通り´に屹立する床屋さんである。ある日の宮古滞在中のミッションの空き時間。散髪に行く間がなかった私は商店街でオーナーY下氏とバッタリ。それほど忙しくなさそうだった氏にお願いして散髪していただくことに。

 私は特段ここという床屋は決まっていない。出張や移動中の空き時間を見つけて散髪する。どの店に行っても私のオーダーは変わらない。「バリカン15oで丸刈りにして、裾だけ12oで」。これだけで日本中どの床屋でも、どんな理容師でもほぼ同じ髪型を決めてくれる。私が編み出した「ゴルゴ刈」。かれこれ20年近くゴルゴ刈である。

 神戸新長田時代、まちづくり仲間でもあった見習い「美容師」(男性)のための実験台に幾度となく頭を委ねた。ゴルゴ刈なのになぜ3時間近く掛かるのか今でもよく分からないが、普段は10分で終了してしまう。

 岩手県内陸部の北上市にも支店を持つ実業家のY下氏御自ら私のゴルゴ刈に着手。私は床屋に行くと9割以上の確率で寝てしまう。あまりにも気持ちいいからだ。バリカンが頭皮を刺激するとこれだけで極上のマッサージ。プロの見事かつ丁寧な技術であっという間にゴルゴ刈の完成だ。どっちか順番を忘れたが、シャンプーしてスッキリし、顔ぞりする。

 シャンプー中はさすがに起きているが、顔ぞり中も私は寝てしまう。Y下氏曰く、少しいびきをかいていたようだ。ドライヤーで髪を乾かして終了だが、ドライヤーなどゴルゴ刈には不要。私は四半世紀以上ドライヤーなるものを使ったことがない。ちなみに櫛も同様である。ジェルやムースなども四半世紀使った記憶がない。

 私は妙に髪が伸びるのが早い、くせ毛なので髪の毛が立たずに寝るのでなおさらだ。1か月でゴルゴから七三分けに見えるようになる。この数年、さらに髪が伸びるスピードが速まってようで、月に床屋1回ペースだったのが20日に1回ペースに加速している。ちなみに髪の伸びるスピードは本人のスケベ度に比例するという。

 床屋さんの最も嬉しいサービスは全部終わった後の簡単な頭皮マッサージと肩もみである。床屋の一連の流れをフルコースに例えるなら、ラストのプチマッサージは極上のデザート。理容師さんによって時間は違うが、たっぷりやっていただければこれほどのシアワセはない。
クイックマッサージ専門店とは別物の気持ち良さ。サービスという感覚もお得感を増長させているのかもしれない。床屋さんの肩もみ&頭皮マッサージのみ、15分1000円程度でメニュー化していただけないだろうか。

 Y下氏の超絶マッサージテクに思わず喘ぎ声を上げていると、さらにシートが倒れ、頭を横に向けさせられた。耳かきをして下さるという。〔次夜後編〕

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「のり平通り」の散髪屋さん。
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2015年12月27日

第1355夜:屋台が取り持つ縁と艶【酒田(山形)】

 北前横丁。2015年10月15日にオープンした屋台村である。山形県内は未踏ながら山形市内の中心部の屋台村が著名。全国から視察が訪れる人気スポットである。我がミッション先である中通り商店街からひとブロック移動したところに煌々とそびえ立っている。

 約10店舗の入居区画があり、とりあえず5店舗が先行オープンした模様。屋台村の魅力は投資が少ないことと、面積が狭いこと。一人で開業を志す人にとっては手ごろなスペースであること。いくら賃料が安くても面積が広ければ持て余す上に人件費や光熱費などを含めランニングコストが高額になる。

 屋台村入居の2次募集では5つのメリットを紹介。「初期費用の削減(通常の3分の1以下)」「多くの集客(初年度10万人の入込目標)」「経営相談(バックアップ体制)」「他の有名屋台村からのアドバイス(八戸みろく横丁・山形ほっとなる横丁など)」「店内(8席)だけでなく広場も使った用途の多様性」。確かに魅力的である。

 余談だが我が前職の神戸新長田時代に展開した「丸五アジア横丁ナイト屋台」はアジアに絞った一日だけのチャレンジ出店。それで自身を掴んでいただき市場の空店舗へ出店を促した。

 理事長、副理事長と偵察を兼ねおでん屋台へ。1品250円らしい。大阪の超高級おでん屋と同額かもしれない。思わず目を剥いた。熱燗や焼酎でおでん、いぶりがっこなどを腹に入れる。

 外は本当に寒い。各屋台は超満員というワケではないがどこも8割の入り。壁面には巨大スクリーンがあり、様々な情報を流せるようだ。

 理事長の奥様もお見えになられた。すると、副理事長の知人熟女2人もお店へ。すでに呑んでこられたのか、ゴキゲンに元気一杯である。同じ東北でも三陸方言とは全くことなる庄内酒田方言が心地よく、旅情気分を呷られる。

 店で仕事が残っている理事長夫妻と別れ、私と副理事長、熟女2人の4人で屋台村を出てスナック街?へ。中国系の明るく楽しいママらが頑張るスナックに突入。まさに、屋台村が取り持つ「縁」である。

 様々な事業を展開している副理事長は空港にも置いているという土産「オランダせんべい」をカバンから取り出した。オランダ?日本とオランダの接点というと、長崎の出島ぐらいしか思いつかないが、副理事長が経営する<酒田米菓>さんの商品である。

 スナックのお通し(スナック菓子)を軽く無視し、酒田名物「おらんだせんべい」を口に運ぶ。……。甘塩っぱさが酒を進ませる。なぜオランダなのか。パッケージの裏面を読むと、庄内や酒田では肯定する時「んだんだ」という。自分のことは「おら」という。自分のものという意味は「おらのだ」→「おらんだ」。脱力感満点である。

 もう一袋頂戴し、旅館で夜中にポケットバーボンをヤリながら「おらんだ」に齧りついた。思わず「んだんだ」とほほ笑んでしまった。

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立ち寄らずにいられない。

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外は極寒。

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冬の醍醐味、おでんと熱燗。
posted by machi at 12:54| Comment(0) | 山形県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする