2015年11月30日

第1336夜:名護といえば……【名護(沖縄)】(中編)

 私はタコライスと島野菜のピクルスを注文。沖縄の島野菜といえばゴーヤしか私は思い浮かばぬが、ゴーヤの独特の苦みが酢と融合し、体内細胞を活性化させる(気がする)。私はピクルスやらっきょうなど酢のもの系箸休めをこよなく愛している。

 タコライスもチーズが香ばしく、絶品。私はタコライス童貞ではなかったが、初めてこの店でタコライスという沖縄フードを旨いと感じた。

 名護の現在を憂いながらも将来を見据えて様々な取り組みを展開している中心人物お二人に私も大いに刺激をいただいた。

 「モアイ(模合)」という沖縄独特の互助組織の会合(呑み会)に顔を出すS吉氏と別れ、O城氏と商店街にある地中海料理の店<雲茶>へ。オーナーのO氏は本土出身だが、名護に来られて十数年。昼間の勉強会にも参加して下さっているナイスガイである。

 再度オリオン生から始め、白ワインに移行する。独特のタレというか調味エキスに漬けこみ、ほのかにカレーの香りがする落花生の完成度に度胆抜かれる。

 沖縄を代表する魚といえば、私にとってはグルクン。10年以上前、那覇市内の市場でそのビジュアルを見かけた時、度胆抜かれた。巨大な熱帯魚にしか見えなかった。

 関西ではまずお目にかからない鮮やか過ぎる赤色。食欲をソソラレルことはなかったが、モノは試しと唐揚げを注文してみた。……。骨が多くて食べにくく、恐らく一生口にすることはないだろうと決別していた。それ以来、10年ぶりに<雲茶>さんで再開した。

 最初、何の魚か分からぬほど洗練された姿に生まれ変わっていた。タイかと思ったほどだ。まさに、桜色の身である。プリプリのグルクン切り身がゴーヤなどの島野菜を従え、マリネのごとき風情で運ばれてきた。その美しさ、完成度に思わず箸が止まる。完璧なビジュアルを崩すことをためらってしまう。

 意を決してグルクンを口に運ぶ。……。淡麗、青春、熱帯、弾力、柔肌……。私のグルクンに対する間違った先入観を一瞬で蹴散らした。グルクンに失礼しましたと心で誤っていると、貝の壺焼きのようなものが運ばれてきた。何の貝だろう。……。栄螺だった。

 見たことのないヒョウ柄模様。台湾栄螺というらしい。しかし、普通の壺焼きではなさそうだ。黒っぽいペースト状のものが栄螺の入り口(というのかな)を覆っている。箸でひと舐めする。……。ひでぶっ!ぐぁぎゃ!あべし!……。喜びと感動の秘孔を突かれた。唸り声を上げた。どうしたらよいかわからないほど冷静さを失った。何という旨さだ。

 私は貝類が大好物。中でも牡蠣と栄螺が2強。特に栄螺はこの数年1位の座を譲らない。刺身と壺焼きしか食べる機会はないが、この2つがメニュ―にあれば頼まずに居られない。〔次夜後編〕

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酒のアテにもなった絶品のタコライス。

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私のグルクン感を覆す絶品。

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最強の栄螺壺焼。
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2015年11月28日

第1335夜:名護といえば……【名護(沖縄)】(前編)

 名護(特に中心市街地)の強みと弱みは?沖縄本島北部の中心都市・名護市(人口約6万人)の活性化を牽引する大通り会の皆さま方と実施したワークショップのテーマである。このテーマを軸に参加者でSWOT分析による現状分析、キーワード連想曼荼羅、短中長期に実現したいハードとソフトの3本立てワークショップである。

 2015年10月上旬。上記のミッションをお手伝いするため、神戸の自宅から名護に向かう。那覇空港からバスで2時間近くかけて名護へ。

 暑い。湿気は少ないとはいえ30度を超えているという。神戸の自宅からかりゆしウェアを着ていこうと当初考えていたが、時は10月。北日本を中心に爆弾低気圧が席巻していたからか、神戸も風が強くて肌寒い。クールビズから衣替えしてスーツに移行したサラリーマンで満員の列車でかりゆしを着ていたらヘンなヤツに思われそうだ。

 ただでさえ典型的な沖縄顔の私なので言い訳できない。上下作業着で東京銀座を呑み歩くことは何とも思わないのだが、季節感は大事である。バス停から商店街に向かう途中、涼しげにかりゆしを着こなした地元人と数多くすれ違う。実に涼しげである。

 15時、名護大通り会O城会長が経営する<ホテル山田荘>でワークショップ開始。数ある名護の強みに関し、満場一致で集約できたキーワードとして「食」「自然の豊かさ」「(ひんぷん)ガジュマル」が挙げられた。

 自然の豊かさは言わずもがな。巨大なガジュマルの樹は名護のシンボル。食も豊かだが、独特の食文化としてイルカ漁がさかんな地域だったそうだ。また、沖縄の代名詞・オリオンビールの工場が名護市内、それも大通り商店街から瞬殺の場所に位置する。後から知ったが、生ビールは鮮度が命。名護で呑むオリオンビールが一番旨いそうだ。

 強みか弱みかよく分からないという意見で多数を占めたのが「呑み屋が多い」こと。あと、少々生臭いが「基地」もあった。そして予断を許さないのが「USJ」。名護から車で10分程度の地点に建設が予定されており、地元経済界の期待もマックスだったのかもしれないが、日本法人が買収され雲行きが少々妖しくなった。まさにビミョーな強みである。

 弱みも多数挙げられたが、自分たちで改善できることに特化すれば前途は明るい。ただ、「名護といえば」と言われて思いつかないという意見が印象に残る。私にとって名護といえば「プロ野球(ハム)のキャンプ地」「基地問題」の2択。ただし、2015年10月上旬までは。

 19時。名護を舞台にした映画「がじまる食堂」誘致に合わせて●千万かけて改装したカフェレストラン<ENISHI>へ。名護のホテル王・O城会長氏や店のオーナー・S吉氏らとオリオン生や泡盛をガバガバやりながら割りと熱めに談笑する。〔次夜中編〕

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大通り商店会に隣接するオリオンビール名護工場。
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2015年11月27日

第1334夜:茄子味噌ちゃんぷる【名護(沖縄)】

 <和>。沖縄北部の名護市営市場に近接する地元民比率99%と思しき沖縄そば&定食のお店である。外観および入口は強烈なディープさで、ドアを開ける勇気は1000人を前にノープランで何か話すよりも緊張を強いられる。我が名護ミッションコーディネーター・Y城氏とU井氏から初回視察時にこの店の評判をご教授いただいていた。

 2015年10月上旬。那覇空港からバスで100分、名護市役所前到着。中心部の名護市営市場へホタホタ歩く。時間は14時前。朝から何も腹に入れておらず、空腹感が凄まじい。

 緊張マックスで<和>さんのドアを開ける。ご主人が「いらっしゃ〜い」と柔らかな笑顔で迎えて下さる。最初は沖縄そば(大盛)一択で入店したのだが、壁面メニューを見るとゴーヤチャンプル、ふ〜チャンプルなど郷土食豊かな定番もあった。ポーク玉子もジャンクで旨そうだ。沖縄系だけでなく豚しょうが焼や茄子の味噌炒めなどもあった。

 私の心は乱れた。そばもいいが、定食も惹かれる。ゴーヤチャンプルやふ〜チャンプルは味の想像がつく。茄子の味噌炒めに心が傾いた。「なすみそチャンプル」ではなく「なすのみそいため」とこれだけヤマト言葉なのも逆に気になる。私はなすみそ炒めを召喚した。

 待っている間トイレの場所を聞くと、店の横の路地のようなところをぐるっと回って公設市場内のトイレを利用する。ママさんがわざわざ案内して下さった。迷路である。

 エアコンの涼しさに浸っていると、ブツが運ばれてきた。……。圧倒的な量である。御飯もたっぷり。澄まし汁かも思いきや、麺が浮いている。沖縄そばを少量にしたもの。大当たりのラインナップである。付け合わせの小鉢の涼やかさが一陣の風のごとく吹き抜ける。

 まずはそばの出汁を啜る。……。旨みが濃縮。鰹節だけでなく肉の旨みも溶け込んでいる。これ一択で勝負したくなる。やはり、沖縄そば単品勝負だったか。

 続いて、茄子味噌炒め。茄子を一口運ぶ。……。頭上でオスプレイが旋回し始めた。沖縄のぎらつく太陽が屋根を通り越して私に直射し始めた。激しい旨みが押し寄せる。すかさず御飯。……。落涙。叫び。悶絶。絶句。そして天国。濃い味付けで、大蒜もバッチリ絶妙のタフな味付け。大盛り御飯3杯は行けそうだ。

 茄子以外にも沖縄特有の島豆腐、スパム、玉葱、ニラなどが複雑に絶妙に絡み合い、凄まじく高次元の有機スパイラルを展開。この炒め物にはオリオン生か泡盛ロックで勝負したいが、1時間後に商店街で勉強会。満腹中枢が破壊されて思考能力ゼロになっている場合ではない。グッと我慢。大根スライスを何かに漬けこみツナと合わせた小鉢も舌をリフレッシュさせる。

 完食できるか不安だったが、楽勝。大満足で店を出る。他にも手合わせしたいメニュー目白押し。沖縄滞在時の昼はそば一択を誓っていた私だが、嬉しくも悩ましい選択肢が増えてしまった。

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イチゲンには超弩級の入りにくさ。

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シンプルかつ魅力的なお品書き群。

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御飯が進んで止まらない。
posted by machi at 08:06| Comment(0) | 沖縄県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月24日

第1333夜:二つの恒星【枝光(北九州)】

 且}光なつかしい未来。北九州枝光地区の活性化の牽引役として期待されつつあるまちづくり会社である。同会社事務局のC氏とT橋女史が企画検討した地域住民、または観光客を対象にした枝光地区街歩きツアー。次年度以降の本格実施を目指し、お二人が検討したツアーコースを夏の日差しの炎暑のなった2015年9月下旬、試走ならぬ試歩してみた。

 スタート地点は銀行を改装した「アイアンシアター」。立派かつシュールな小劇場である。「枝光劇場」の開幕である。せっかくの劇場、商店街寸劇などで度胆を抜かれたいところだ。

 続いて「ひょうたん最中」が看板商品の名店<みずま>さんへ。男前の若大将のトークを楽しんだ後、枝光の中心部である中央商店街・本町商店街ゾーンへ。市場なども隣接し、枝光になくてはならない買物乗り合いタクシーも頻繁に見かける。

 枝光オリジナルグッズを販売しているお店を覗き、商店街の理事長様や相談役様と店先で談笑する。コワモテの若店主らとも交流を深めていくC氏とT橋女史。少しづつかもしれないが、事務局お二人も地域商店街に浸透しているようである。思わず目を細める。

 枝光地区は商店街・市場ゾーンに物販店が依然としてしっかりと集積している点が特徴である。集積を囲むように、人気の飲食店やサービス店が陣を構えている。見事である。

 絶叫が聞こえる。ゴォ〜という爆音が聞こえる。枝光がある八幡東区には天下の世界遺産・官営八幡製鉄所があるが、それ以上にインパクトが大きいのが縦横に走るジェットコースター。北九州最強最大の(オトナの)遊園地「スペースワールド」である。夏場は休まず営業しているが、年間トータルでは休業日の方が多いというキッチュな遊園地である。

 ジェットコースターを右手に眺めながら西へプラプラ歩く。気持ちいい。1q以上歩いただろうか。立派なアーケード商店街が見えてきた。中央町地区である。

 中央町はアーケードがクロスするように広がっており、巨大なドーム状の区画もある。旨そうな飲食店も多そうだ。

 角地に一際大きな眼鏡屋さんがある。商店街の若手理事・石M氏のお店だ。以前夜中まで氏らと中央町あたりで鯨飲したので、挨拶しようと覗いたら全力で接客中。見ているだけで酸欠になりそうなので、すぐ近くのよく流行っているフードメニューも本格的な喫茶店へ。

 同行氏たちと談笑していると、石M氏が顔を出して下さった。氏も交えて話し込む。枝光と中央町は1q以上距離が離れているかもしれない。しかし、街歩きの楽しさを織り交ぜれば距離は一気に縮まる。スペースワールドの両端に位置する二つの商店街地区。合同マップも面白そうだし、共通販促やイベントも可能かもしれない。

 園内はスペースシャトルの巨大レプリカが鎮座している。枝光と中央町という二つの恒星をつなぐスペースシャトル。商店街活性化という壮大な宇宙に向けて、若手乗組員たちが揃っている。後は発射タイミングだけである。

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商店主からお話を聞く。

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魅力溢れるデザインの建築物。

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枝光本町商店街。

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革命を起こしたコニュニティタクシー。

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グッズもいろいろ。

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雄大かつ広大なスペースワールド。

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東田地区へ。

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2015年11月21日

第1332夜:充電切れのバリカン【枝光(北九州)】

 <かず>。北九州市小倉南区以外でも小倉名物「ほほ肉うどん(どぎどぎうどん)」を満喫することができる、北九州市枝光地区屈指の人気店である。朝10時の開店とともに、どぎどぎ紳士淑女が暖簾を潜っている。パンチの効いた醤油出汁にすりおろし生姜、粗挽唐辛子をたっぷりぶち込んで啜る。二日酔いも風邪も吹き飛ぶ最強の特効薬でもある。

 私も幾度となく<かず>の暖簾を潜っている。この店のうどんは北九州では珍しくコシが強め。最初は麺ダブルでも楽勝だったが、北九州独自の柔らかうどんに慣れてしまうと、コシの強いうどんが手ごわくなってきた。

 2015年9月下旬。日中気温が30度に達したらしい真夏のごとき昼。枝光のまちづくり会社「且}光なつかしい未来」のC氏とT橋女史、商工会議所S戸間氏と昼食のため店内へ。

 遅れてまちづくり会社の石B社長が来られた。私は、違和感を覚えた。相変わらずの豪快さだが、普段と髪型が違う。社長は私と同じく丸刈りが伸びたヘアスタイルだが、思いっきり裾から頭頂付近まで刈り上げている。しかし、後ろ髪はそのままだ。

 私は社長の右側に座っていたのだが、左側に回ると髪はそのまま。正面から見ると、右半分、それも4分の1だけ刈り上げている。北九州はパンチパーマ発祥の地だが、パンチよりインパクトがある。この髪型、北九州で流行っているのだろうか。

 斬新ですね、と思わずお声がけした私に、社長は顛末を語って下さった。自宅か会社かでバリカンで刈っている途中、電池が無くなったとのこと。石B社長は光タクシーの社長様でもあられるが、社長と初対面の方はもちろん面識のある方も度胆抜かれるだろう。私も度胆抜かれてしまった。

 <かず>で未食だったのが「肉わかめうどん」。これに生卵をトッピングする。月見うどんは定番中の定番だが、メニューには控えめに「時々たまごあります」とだけ書かれている。なぜ「時々」なのか。目の前に座る、二日酔い解消のため朝もこの店で啜り、その2時間後に再度暖簾を潜っているC氏曰く「常備していないだけじゃないですか」とのこと。大らかである。

 追加招集した玉葱天ぷらを出汁に浸しながら、たっぷりわかめと牛ほほ肉と生姜と粗挽唐辛子の奇跡のコラボを満喫する。生卵が加わることで、まろやかさとコクが増す。麺一本、汁一滴、わかめ一片、肉一切、唐辛子一粒残さず熊啜。頭皮から汗が華厳の滝のごとく流れ出す。

 ママさんがポットとコーヒーカップを運んできた。なんと、サービスの食後のホットコーヒーである。社員食堂のごとく利用している<光タクシー>さんだからこそのサービスだろう。頭を刈っている途中で私達の<かず>昼食に付き合って下さった石B社長の漢気に対する返礼かもしれない。ママさんも店の人も、誰も社長の髪型を突っ込んでいなかったけれど。

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枝光発祥の斬新なヘアスタイル。

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若芽の海に感涙。生卵が水平線に煌めく太陽のよう。

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まさかの食後の珈琲サービス。


posted by machi at 11:54| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする