タコライスもチーズが香ばしく、絶品。私はタコライス童貞ではなかったが、初めてこの店でタコライスという沖縄フードを旨いと感じた。
名護の現在を憂いながらも将来を見据えて様々な取り組みを展開している中心人物お二人に私も大いに刺激をいただいた。
「モアイ(模合)」という沖縄独特の互助組織の会合(呑み会)に顔を出すS吉氏と別れ、O城氏と商店街にある地中海料理の店<雲茶>へ。オーナーのO氏は本土出身だが、名護に来られて十数年。昼間の勉強会にも参加して下さっているナイスガイである。
再度オリオン生から始め、白ワインに移行する。独特のタレというか調味エキスに漬けこみ、ほのかにカレーの香りがする落花生の完成度に度胆抜かれる。
沖縄を代表する魚といえば、私にとってはグルクン。10年以上前、那覇市内の市場でそのビジュアルを見かけた時、度胆抜かれた。巨大な熱帯魚にしか見えなかった。
関西ではまずお目にかからない鮮やか過ぎる赤色。食欲をソソラレルことはなかったが、モノは試しと唐揚げを注文してみた。……。骨が多くて食べにくく、恐らく一生口にすることはないだろうと決別していた。それ以来、10年ぶりに<雲茶>さんで再開した。
最初、何の魚か分からぬほど洗練された姿に生まれ変わっていた。タイかと思ったほどだ。まさに、桜色の身である。プリプリのグルクン切り身がゴーヤなどの島野菜を従え、マリネのごとき風情で運ばれてきた。その美しさ、完成度に思わず箸が止まる。完璧なビジュアルを崩すことをためらってしまう。
意を決してグルクンを口に運ぶ。……。淡麗、青春、熱帯、弾力、柔肌……。私のグルクンに対する間違った先入観を一瞬で蹴散らした。グルクンに失礼しましたと心で誤っていると、貝の壺焼きのようなものが運ばれてきた。何の貝だろう。……。栄螺だった。
見たことのないヒョウ柄模様。台湾栄螺というらしい。しかし、普通の壺焼きではなさそうだ。黒っぽいペースト状のものが栄螺の入り口(というのかな)を覆っている。箸でひと舐めする。……。ひでぶっ!ぐぁぎゃ!あべし!……。喜びと感動の秘孔を突かれた。唸り声を上げた。どうしたらよいかわからないほど冷静さを失った。何という旨さだ。
私は貝類が大好物。中でも牡蠣と栄螺が2強。特に栄螺はこの数年1位の座を譲らない。刺身と壺焼きしか食べる機会はないが、この2つがメニュ―にあれば頼まずに居られない。〔次夜後編〕

酒のアテにもなった絶品のタコライス。

私のグルクン感を覆す絶品。

最強の栄螺壺焼。