梅干し。おにぎりの具として、焼酎のアクセントとしてその活動範囲は多岐に及ぶ日本古来の漬物である。梅干しといえば紀州田辺。ごくたまに頂く田辺の梅農家・ウツボM田氏の塩っ辛い梅干しは地球最強クラスの御飯の友。焼酎に入れると一粒で5杯いける実力を秘めている。さらに古来から、梅干しは二日酔いの特効薬として重宝されていた(ようである)。
一滴も呑まない日は3000日に1日ほどしかない私だが、鯨飲が続き毎夜のごとく記憶を飛ばし、超弩級三日酔いに苦しんでいた2015年9月中旬。北九州の玄関口・小倉駅でパンチU野氏と合流した私は、恒例の昼麺ドライブにしゃれこんだ。
車内は私の前夜の酒臭さに充満。本人は気づかないが、U野氏はさぞ臭かったはずだ。ご本人は「いい香り」と言って下さったけど。
都市高速で黒崎あたりでインターを降りる。さらに西へ移動する。U野氏がその素晴らしさを力説してやまない<天幻龍>さんへ初ダイブ。三日酔いにはヘビーなのだが、ビジュアルの魅力に負けてチャーシューメンを召喚。
運ばれてきたブツは旨そうな雰囲気がビンビン発揮されている。スープを啜る。……。丁寧な仕事である。コクがあって濃厚なのにあっさりとしたキレがある。思わず替玉してしまう。
無料サービスで辛子高菜とネギキムチがあった。ニラキムチは珍しくないが、ネギは珍しい。そしてラッキョウがある。その横に、何と梅干しがあった。
梅干しを一粒口に放り込む。思わずきつく目をつぶり、口をすぼめる。すかさず豚骨スープを流し込む。体内の疲れ切った細胞が息を吹き返してきた。濃厚豚骨、ネギキムチ、紅生姜、梅干し……。三日酔いの特効薬が揃っている。
その夜。北九州枝光で勉強会の後、八幡餃子が名物の<ママの餃子>へ。三日酔いが抜けたのか、その後もう一軒スナックにハシゴしたのだが、ビールや焼酎を軽く20杯以上呑んだかもしれない。ホテルに戻ってからも我がクライアント氏と部屋で夜中3時まで鯨飲を重ねた。
翌朝。スペースワールドが一望できる極上のツインルームで目を覚ました。頭が割れそうである。冷汗が止まらない。誰もいない大浴場に飛び込み、酒をじわじわ抜いていく。シアワセのひと時である。昨晩夜中3時まで一緒だったクライアント氏も飛び込んできた。酒呑みの発想と行動は極めて類似している。
時間は10時。酒が抜けきらない。そんな時はこれまで幾度となく触れてきた小倉名物「どきどきうどん(ほほ肉うどん)」。枝光の名店<かず>へ。開店と同時に一番乗りで飛び込み、ダブルにごぼう天追加。出てきたブツに大量の粗挽唐辛子と土生姜を鬼のようにぶち込み、一気呵成に熊啜。頭皮のてっぺんからイヤ〜な液体が噴き出し、目や耳に入るほど流れ出す。
店を出た。汗が引かない。前夜の酒が流れ出している。枝光駅から電車に乗った。車内はエアコンがしっかり効いているのに、汗が止まらない。小倉駅に着いた。新幹線に乗りこみ、ようやく汗が引いてきた。すると、一気にスッキリしだした。四日酔いが抜けたようである。嬉しくなって途中西明石で下車し、明石駅前の<神鷹>で呑み直してしまったけれど。
北九州八幡西区<天幻龍>さんにて、荒治療その一。
北九州八幡東区<かず>さんにて、荒治療その二。
2015年10月31日
2015年10月30日
第1320夜:自噴水と円卓の騎士【大垣(岐阜)】
自噴水。日本中に噴水は数あれど、水量の豊富さとその抑えきれぬ圧力で自力噴出する水都・大垣独特の天然噴水である。市内7か所あるらしく、駅前商店街の近くにも湧き出しているという。温泉ではないそうだ。
大垣市商連の主に若手商業者を対象としたビジョンづくりにおいて「水と文化のターミナルステーション」「水辺に集おう!」という2つのキャッチフレーズ(≒事業コンセプト)が自噴水のごとく飛び出した。
天然水を売りにしている町、水道水が美味しい町、水辺が充実している町、川が縦横無尽に流れている町、水郷巡りが風情を奏でる町、堀が巡らされた城下町、川の上に市場がある町、中心市街地にホタルが舞う町……。
日本中に水を打ち出している町は数あれど、大垣市民にとって「大垣イコール水」というほど親水性が高い。恥ずかしながら私は初めて大垣に足を踏み入れるまで大垣が水都とは存じ上げなかった。ちなみに私は神戸の水(水道水)が美味しいなど決して思わぬが「六甲のおいしい水」は愛飲している。
水道水が美味し町は本当に豊かであると感じる。これまで訪れた宮古、酒田、長岡、北海道、東近江などでは空のペットボトルにホテル等の水道水を充填た。十分すぎるほど旨い。
数ある水の町と大垣の違いは「自噴水」であるという。「自噴水」という用語を初めて耳にしたが、大垣市民なら常識中の常識であるそうだ。私は自噴水の現場を未だ拝見していないが、水芸のような雰囲気なのだろうか。
勉強会終了。台風直撃の恐れもあり、地から噴き出す自噴水だけでなく天からも雨が噴き出している21時半過ぎ。商店街若旦那衆と自噴水の近くにあるあまりにもお洒落すぎるレストラン<CUCINA>さんへ。
エレベーターで3階に上がると、モダンで幻想的でシックな空間が広がっている。著名デザイナー設計による、大垣ナンバーワンの飲食店であるらしい。
広大な円卓テーブルの上にはロウソクが、頭上にはシャンデリアが。ロマンチック極まりないが、面子は私を含め野郎限定。アーサー王と円卓の騎士伝説を連想させる。
大垣市石黒塾のアーサー王・C沢氏ら円卓の騎士ならぬ円卓商人たちと談笑を重ねる。若手商業者グループ「石黒塾」主要メンバーである同行氏たちは、長年に渡り大垣活性化を図るべく縦横無尽に剣を振るってきた。それらの活動に安住することなく、常に改良を意識されている。円卓の騎士の皆々様と聖杯ならぬ酒杯をかわすことができ光栄至極である。
普段口にすることも見ることもない洒落た料理をサカナに生ビール、ワイン、地酒「大垣城」……。地酒の切れ味に良さに目を細める。私の骨盤あたりの底に潜む熱い自噴水が湧き出してきた。
大垣一のゴージャスさ(たぶん)。
大垣市商連の主に若手商業者を対象としたビジョンづくりにおいて「水と文化のターミナルステーション」「水辺に集おう!」という2つのキャッチフレーズ(≒事業コンセプト)が自噴水のごとく飛び出した。
天然水を売りにしている町、水道水が美味しい町、水辺が充実している町、川が縦横無尽に流れている町、水郷巡りが風情を奏でる町、堀が巡らされた城下町、川の上に市場がある町、中心市街地にホタルが舞う町……。
日本中に水を打ち出している町は数あれど、大垣市民にとって「大垣イコール水」というほど親水性が高い。恥ずかしながら私は初めて大垣に足を踏み入れるまで大垣が水都とは存じ上げなかった。ちなみに私は神戸の水(水道水)が美味しいなど決して思わぬが「六甲のおいしい水」は愛飲している。
水道水が美味し町は本当に豊かであると感じる。これまで訪れた宮古、酒田、長岡、北海道、東近江などでは空のペットボトルにホテル等の水道水を充填た。十分すぎるほど旨い。
数ある水の町と大垣の違いは「自噴水」であるという。「自噴水」という用語を初めて耳にしたが、大垣市民なら常識中の常識であるそうだ。私は自噴水の現場を未だ拝見していないが、水芸のような雰囲気なのだろうか。
勉強会終了。台風直撃の恐れもあり、地から噴き出す自噴水だけでなく天からも雨が噴き出している21時半過ぎ。商店街若旦那衆と自噴水の近くにあるあまりにもお洒落すぎるレストラン<CUCINA>さんへ。
エレベーターで3階に上がると、モダンで幻想的でシックな空間が広がっている。著名デザイナー設計による、大垣ナンバーワンの飲食店であるらしい。
広大な円卓テーブルの上にはロウソクが、頭上にはシャンデリアが。ロマンチック極まりないが、面子は私を含め野郎限定。アーサー王と円卓の騎士伝説を連想させる。
大垣市石黒塾のアーサー王・C沢氏ら円卓の騎士ならぬ円卓商人たちと談笑を重ねる。若手商業者グループ「石黒塾」主要メンバーである同行氏たちは、長年に渡り大垣活性化を図るべく縦横無尽に剣を振るってきた。それらの活動に安住することなく、常に改良を意識されている。円卓の騎士の皆々様と聖杯ならぬ酒杯をかわすことができ光栄至極である。
普段口にすることも見ることもない洒落た料理をサカナに生ビール、ワイン、地酒「大垣城」……。地酒の切れ味に良さに目を細める。私の骨盤あたりの底に潜む熱い自噴水が湧き出してきた。
大垣一のゴージャスさ(たぶん)。
2015年10月28日
第1319夜:飛騨牛とまちゼミの距離【大垣(岐阜)】(後編)
大垣は名古屋と米原からそれぞれ普通列車で30分強。大垣はではうどんなのか、そばなのか。メニューにはうどんもそばも半端ないこだわりで手打ちされている旨をそれぞれA4サイズ1枚にまとめられている。2秒ほど長考し、「飛騨牛そば」を本指名。すでに何故か疲れたが、女将さんはもっと疲れただろう。
待っている間、店内備え付けの地元の岐阜新聞に目を通す。お茶はそれぞれのテーブルにボトルが置かれ呑み放題。メニューにはお得なクーポンも挟まれている。細かいが実に味のあるアットホームなサービスだ。
ブツが運ばれてきた。そばの出汁はかなり濃いビジュアル。飛騨牛に負けぬ強さが秘められているようだ。そばは乱切りで食欲をそそる。二八そばというらしい。
まずは出汁を一啜り。肉の旨みが出汁に溶け込み、一気に弾ける。そばを啜る。ノドごしよく香り豊か。私はそば通ではないので詳しくないが、うどんも試したくなってしまう。
肉を口に運ぶ。……。蕩けた。肉の底から湧き上がる上品な甘みが舌の上でさっと華やぎ、すっと消える。肉を口にした後、ご飯。……。これほど白御飯に合う蕎麦メニューは初めてだ。御飯も旨い。大垣の水で炊かれているためか、白く光り輝いている。米粒が立っている。
べったら漬も濃い目の出汁に旨さを倍加させる極上の甘みを提供。冷奴はプリプリで固いのに、大豆の味が濃厚。真夏の夜の風呂上がりにこれをたっぷり1人前味わいつつ冷たいビールをやったらコタエラレナイだろう。
アッという間に食べつくした。さっそく次回は何で攻めようか期待に胸を膨らませながら駅前ホテルにチェックイン。誰もいない大浴場を満喫し、部屋に戻る。
先ほどのお店<さらしな>さんに日本中を席巻する商店街活性化の起爆剤「第2回まちゼミ」のチラシが置かれていた。置かれているということは、参加しているのだろうか。
チラシを開いた。そば打ち講座か、出汁の取り方か、果たして……。発見した。私は戸惑った。そこには「作って楽しい!もらってうれしい!お手紙」とある。
店を間違えていたのだろうか。そこに掲載されている写真は先ほどの女将さん。「初参加」と強調されている。講座の内容は手作り手紙(カード)の製作。「そば茶とそば煎餅を頂きながら楽しい手紙の話もしますね!」とキャプションが。
意外性もまちゼミの一つの魅力といえる。固定観念にとらわれることなく柔らか頭でユーモアたっぷりの講座を思いついたなら、普段の商売も安泰である。まちゼミは何も店主の本業に特化した内容でなくともよい自由さがある。大垣の地で商売の肝とまちゼミの奥深さを垣間見た気がした。
飛騨牛そばの定食。
待っている間、店内備え付けの地元の岐阜新聞に目を通す。お茶はそれぞれのテーブルにボトルが置かれ呑み放題。メニューにはお得なクーポンも挟まれている。細かいが実に味のあるアットホームなサービスだ。
ブツが運ばれてきた。そばの出汁はかなり濃いビジュアル。飛騨牛に負けぬ強さが秘められているようだ。そばは乱切りで食欲をそそる。二八そばというらしい。
まずは出汁を一啜り。肉の旨みが出汁に溶け込み、一気に弾ける。そばを啜る。ノドごしよく香り豊か。私はそば通ではないので詳しくないが、うどんも試したくなってしまう。
肉を口に運ぶ。……。蕩けた。肉の底から湧き上がる上品な甘みが舌の上でさっと華やぎ、すっと消える。肉を口にした後、ご飯。……。これほど白御飯に合う蕎麦メニューは初めてだ。御飯も旨い。大垣の水で炊かれているためか、白く光り輝いている。米粒が立っている。
べったら漬も濃い目の出汁に旨さを倍加させる極上の甘みを提供。冷奴はプリプリで固いのに、大豆の味が濃厚。真夏の夜の風呂上がりにこれをたっぷり1人前味わいつつ冷たいビールをやったらコタエラレナイだろう。
アッという間に食べつくした。さっそく次回は何で攻めようか期待に胸を膨らませながら駅前ホテルにチェックイン。誰もいない大浴場を満喫し、部屋に戻る。
先ほどのお店<さらしな>さんに日本中を席巻する商店街活性化の起爆剤「第2回まちゼミ」のチラシが置かれていた。置かれているということは、参加しているのだろうか。
チラシを開いた。そば打ち講座か、出汁の取り方か、果たして……。発見した。私は戸惑った。そこには「作って楽しい!もらってうれしい!お手紙」とある。
店を間違えていたのだろうか。そこに掲載されている写真は先ほどの女将さん。「初参加」と強調されている。講座の内容は手作り手紙(カード)の製作。「そば茶とそば煎餅を頂きながら楽しい手紙の話もしますね!」とキャプションが。
意外性もまちゼミの一つの魅力といえる。固定観念にとらわれることなく柔らか頭でユーモアたっぷりの講座を思いついたなら、普段の商売も安泰である。まちゼミは何も店主の本業に特化した内容でなくともよい自由さがある。大垣の地で商売の肝とまちゼミの奥深さを垣間見た気がした。
飛騨牛そばの定食。
2015年10月26日
第1318夜:飛騨牛とまちゼミの距離【大垣(岐阜)】(前編)
飛騨牛。日本屈指のブランド牛である。日本中落ち着きなく飛び回っている私だが、ブランド牛を口にする機会はめったにない。理由は単純。高価すぎるからだ。せいぜいブランド牛を使用した駅弁程度だが、2年ほど前に幾度となく頬張らせていただいた長崎県平戸市の平戸牛は忘れられぬ味である。
10年弱前、飛騨高山に旅行で訪れたことがある。風情満点の街並みを散策した後、ステーキハウスへ。しかし飛騨牛を注文する度量がなく、アメリカ産の1ポンド(450g)ステーキに落ち着いたことを鮮明に覚えている。
2015年9月上旬。小雨降りしきる大垣駅に15時前に降り立った。この時で大垣訪問は3回目だが、過去2回はや打合せギリギリに到着し、終了後は脱兎のごとく帰路に着いていたので大垣市内で固形物を口にする機会がなかった。唯一は大垣駅構内<ロッ●リア>のバケツポテト(Sサイズ5ヶ分)である。
朝昼何も腹に入れていなかった私は、商店街を改めてじっくり散策して飛びっきりの地元グルメを満喫しようとした。しかし、外は雨。アーケードがあるので問題ないのだが、それ以上に空腹に負けてどこかに素早く飛び込みたかった。
そんな私の視界に真っ先に飛び込んできたのが駅前<さらしな>さん。「飛騨牛」というノボリが頼もしい。しかし、うどん(そば)屋さんである。
店頭掲示メニューが魅力に満ち溢れている。A5級飛騨牛を使った「牛めし膳」、難波で味わう麺抜きの「飛騨牛肉吸い定食」…。心震える。しかも1000円程度。漱石氏1枚程度でA5等級ブランド牛が味わえるのだから余計に迷う。
肉吸いは大阪難波の<千とせ>が圧倒的に有名。14時半に閉まってしまうのでめったに口に出来ないが、二日酔いに最高である。同時に、ビールのアテになる。肉吸い定食に傾いたが、ミッションを控える身。いったんホテルの大浴場で酒を抜いて素知らぬ顔をするという禁断のゲリラ戦法も頭をよぎったが、裂帛の気合を込めて打ち消した。
牛めし膳と口に出かかった時、飛騨牛をたっぷり使った「肉そば(うどん)」メニューを見つけた。よし、これだ。普段は麺のみ、空腹ならば大盛一択でサイドメニューは眼中に入らない。しかし、ランチタイム(15時まで)ならプラス150円で白御飯(小)、大垣の豆腐を使ったミニ冷奴、香の物(べったら漬)が付く。水の都自慢の豆腐が気になる。
ランチセットで勝負である。接客の素晴らしいママさんに伝えようとした時、再び思いとどまった。うどんにすべきか、そばにすべきか。名古屋は東京文化と大阪文化の境かもしれない。では、名古屋圏と関西圏の中間地点はどこか。大垣なのである(たぶん)。〔次夜後編〕
大垣駅前の人気店「さらしな」さん。
10年弱前、飛騨高山に旅行で訪れたことがある。風情満点の街並みを散策した後、ステーキハウスへ。しかし飛騨牛を注文する度量がなく、アメリカ産の1ポンド(450g)ステーキに落ち着いたことを鮮明に覚えている。
2015年9月上旬。小雨降りしきる大垣駅に15時前に降り立った。この時で大垣訪問は3回目だが、過去2回はや打合せギリギリに到着し、終了後は脱兎のごとく帰路に着いていたので大垣市内で固形物を口にする機会がなかった。唯一は大垣駅構内<ロッ●リア>のバケツポテト(Sサイズ5ヶ分)である。
朝昼何も腹に入れていなかった私は、商店街を改めてじっくり散策して飛びっきりの地元グルメを満喫しようとした。しかし、外は雨。アーケードがあるので問題ないのだが、それ以上に空腹に負けてどこかに素早く飛び込みたかった。
そんな私の視界に真っ先に飛び込んできたのが駅前<さらしな>さん。「飛騨牛」というノボリが頼もしい。しかし、うどん(そば)屋さんである。
店頭掲示メニューが魅力に満ち溢れている。A5級飛騨牛を使った「牛めし膳」、難波で味わう麺抜きの「飛騨牛肉吸い定食」…。心震える。しかも1000円程度。漱石氏1枚程度でA5等級ブランド牛が味わえるのだから余計に迷う。
肉吸いは大阪難波の<千とせ>が圧倒的に有名。14時半に閉まってしまうのでめったに口に出来ないが、二日酔いに最高である。同時に、ビールのアテになる。肉吸い定食に傾いたが、ミッションを控える身。いったんホテルの大浴場で酒を抜いて素知らぬ顔をするという禁断のゲリラ戦法も頭をよぎったが、裂帛の気合を込めて打ち消した。
牛めし膳と口に出かかった時、飛騨牛をたっぷり使った「肉そば(うどん)」メニューを見つけた。よし、これだ。普段は麺のみ、空腹ならば大盛一択でサイドメニューは眼中に入らない。しかし、ランチタイム(15時まで)ならプラス150円で白御飯(小)、大垣の豆腐を使ったミニ冷奴、香の物(べったら漬)が付く。水の都自慢の豆腐が気になる。
ランチセットで勝負である。接客の素晴らしいママさんに伝えようとした時、再び思いとどまった。うどんにすべきか、そばにすべきか。名古屋は東京文化と大阪文化の境かもしれない。では、名古屋圏と関西圏の中間地点はどこか。大垣なのである(たぶん)。〔次夜後編〕
大垣駅前の人気店「さらしな」さん。
2015年10月25日
第1317夜:天ぷら三十六人衆【酒田(山形)】
酒田三十六人衆。義経氏を匿った奥州藤原氏が頼朝氏に攻め滅ぼされそうになった際、三代目秀衡氏の妹御直属家臣36名が酒田まで逃れ、現在の街の礎を気付いたという歴史がある。
神話のごときおとぎ話のようだが、実際に現在も三十六人衆の末裔がおられるという。なかなかご本人にお目に係る機会はなさそうだが、「三十六人衆」という銘柄の地酒は割と手軽に酒田で味わうことができる。
庄内空港でも販売されているが、2015年9月上旬の肌寒い酒田のメイン通り・中通り商店街2階のカウンターの鎮座していた。カウンターに腰掛けた私の目の真ん前である。
商店街2階に位置する超人気居酒屋<魚山人>さんへS野理事長とS藤女史で。これまで2度突撃して満員で入れなかったのだが、3度目の正直が実現。まずは生でノドを潤し、魅力があふれ出そうなメニュー拝見。全部注文したいほどの多幸感である。
これまで酒田では刺身を満喫してきたので、地物の天ぷらに惹かれた。旬の終わりを間もなく迎えるお隣の鶴岡名産だだちゃ豆(枝豆)をやりながら地野菜の天ぷらと地魚の天ぷらを指名。今日はほぼ天ぷら一択である。
お通しが登場。大きな舞茸と万願寺級のしし唐揚げ出し天ぷらである。お通しも天ぷらとは予想外。これだけで十分にメインを張れる逸材である。
生を2杯呑んだところで、すかさず地酒に切り替える。豊富な銘柄で迷ったが、目の前の「三十六人衆」一升瓶が圧倒的な存在感で眼前にてオーラを放っている。これを冷やでやる。豊潤で爽やかだか芯の強い香りが鼻から抜けていく。
地物野菜天ぷら盛合せが運ばれてきた。すごいボリュームである。トマトといった変わり種もある。口の中で熱々の汁が弾ける。すかさず冷やの三十六人衆で押さえつける。コーンの柔らかさと甘み、椎茸のポクポク、巨大しし唐に爽やかで上品な苦み…。他にもあったが種類を忘れてしまうほどの充実感である。
地魚天ぷら盛合せ天ぷらも圧巻である。キス、烏賊……。メゴチもあっただろうか。奥深い岩塩にチョン付けし、口に運ぶ。……。荒波のイメージが強い日本海に揉まれた極上の白身。淡麗かつ上品なのに、芯の通った三十六人衆の強さが感じられる。冷やの地酒で追いかけると、旨さにふくよかさが増す。店名に相応しい山と海の恵みたっぷりである。
一升瓶が残り少なくなった。マスターが「ハイ、あげる」と瓶ごと下さった。大きなぐい呑みに自分で注ぎ豪快に呷る。満腹に目を蕩けさせていると、お待たせ〜と「だだちゃ豆のかき揚げ」が降臨。すっかり忘れていた。かぶりつく。これだけ天ぷらを食べ続けると胸焼けするが、この店はカラリと上品。いくらでも入る。素材の良さが空前絶後に高められている。
地酒を呑み干した。3人でバー<アバディーン>へ。車で理事長を迎えに来られた奥方様も緊急参戦。奥州藤原氏ゆかりの三十六人衆が酒田に錨を下ろして800年強。商人町・酒田は商人にその気脈が受け継がれているようである。
旬の地物野菜の天ぷら。感動。
地酒「三十六人衆」を豪快に。
繊細と豪快が高次元に同居する地魚の天ぷら。
神話のごときおとぎ話のようだが、実際に現在も三十六人衆の末裔がおられるという。なかなかご本人にお目に係る機会はなさそうだが、「三十六人衆」という銘柄の地酒は割と手軽に酒田で味わうことができる。
庄内空港でも販売されているが、2015年9月上旬の肌寒い酒田のメイン通り・中通り商店街2階のカウンターの鎮座していた。カウンターに腰掛けた私の目の真ん前である。
商店街2階に位置する超人気居酒屋<魚山人>さんへS野理事長とS藤女史で。これまで2度突撃して満員で入れなかったのだが、3度目の正直が実現。まずは生でノドを潤し、魅力があふれ出そうなメニュー拝見。全部注文したいほどの多幸感である。
これまで酒田では刺身を満喫してきたので、地物の天ぷらに惹かれた。旬の終わりを間もなく迎えるお隣の鶴岡名産だだちゃ豆(枝豆)をやりながら地野菜の天ぷらと地魚の天ぷらを指名。今日はほぼ天ぷら一択である。
お通しが登場。大きな舞茸と万願寺級のしし唐揚げ出し天ぷらである。お通しも天ぷらとは予想外。これだけで十分にメインを張れる逸材である。
生を2杯呑んだところで、すかさず地酒に切り替える。豊富な銘柄で迷ったが、目の前の「三十六人衆」一升瓶が圧倒的な存在感で眼前にてオーラを放っている。これを冷やでやる。豊潤で爽やかだか芯の強い香りが鼻から抜けていく。
地物野菜天ぷら盛合せが運ばれてきた。すごいボリュームである。トマトといった変わり種もある。口の中で熱々の汁が弾ける。すかさず冷やの三十六人衆で押さえつける。コーンの柔らかさと甘み、椎茸のポクポク、巨大しし唐に爽やかで上品な苦み…。他にもあったが種類を忘れてしまうほどの充実感である。
地魚天ぷら盛合せ天ぷらも圧巻である。キス、烏賊……。メゴチもあっただろうか。奥深い岩塩にチョン付けし、口に運ぶ。……。荒波のイメージが強い日本海に揉まれた極上の白身。淡麗かつ上品なのに、芯の通った三十六人衆の強さが感じられる。冷やの地酒で追いかけると、旨さにふくよかさが増す。店名に相応しい山と海の恵みたっぷりである。
一升瓶が残り少なくなった。マスターが「ハイ、あげる」と瓶ごと下さった。大きなぐい呑みに自分で注ぎ豪快に呷る。満腹に目を蕩けさせていると、お待たせ〜と「だだちゃ豆のかき揚げ」が降臨。すっかり忘れていた。かぶりつく。これだけ天ぷらを食べ続けると胸焼けするが、この店はカラリと上品。いくらでも入る。素材の良さが空前絶後に高められている。
地酒を呑み干した。3人でバー<アバディーン>へ。車で理事長を迎えに来られた奥方様も緊急参戦。奥州藤原氏ゆかりの三十六人衆が酒田に錨を下ろして800年強。商人町・酒田は商人にその気脈が受け継がれているようである。
旬の地物野菜の天ぷら。感動。
地酒「三十六人衆」を豪快に。
繊細と豪快が高次元に同居する地魚の天ぷら。