四番街が直営するマンション1階のセットバックした開閉屋根付オープンカフェ<五番街>で、四番街のK茂理事長と若手リーダーK脇氏らとヒアリングを兼ねた意見交換。炎暑だが、<五番街(オープンカフェ)>は涼しい風が吹き抜けて最高の気持ち良さ。汗がすっと引く。
涼しいのだが蚊が襲ってくるので、理事長は店の中から蚊取り線香を取り打してセッティング。勝手知ったる我が家という雰囲気だ。
店から一人のオバ…じゃなかった貴婦人がマシンガントークをかましていく。さすが府内屈指のディープスポット。ところがこの貴婦人、理事長曰く布施だけでなく東大阪で最も著名な市民(商業者)という。全国に講演でぴっぱりだこらしい。以前は商店街で煙草屋を営んでいたそうだが、なんと2、3坪の店で年商1億数千万円を売り上げていたという。恐れ入る。
K茂理事長から布施地区商店街における様々な歴史や取組の経緯をお聞かせいただく。7月と8月に隔週開催される「土曜夜市」は35年を数える一大恒例イベント。凄まじいほど来場者が殺到するそうだ。商店街周辺はマンションが雨後の筍のごとく新たに建設されている。
極めてユニークなのが、四番街の一部が東大阪市ではなく大阪市であること。市を跨いでいるアーケードも珍しい。
十数年前まで、布施は大阪府内で最もひったくり被害が多かったという。大阪一ということは、自嘲気味に言われていたが自他とも認める日本一。もしかすると世界でもベスト10に入っていたのかもしれない。
商店街で買物する際、自転車の買い物かごに買い物袋を入れたまま店に入ると、あっという間になくなっているそうだ。女性の夜道の一人歩きは厳禁で、男性社員が駅のホームまで同行せねばとんでもないことになるという。戦前やせめて昭和の話のようだが、平成12年前後の話。つい最近である。
理事長らは警察や行政と懸命な努力と工夫を重ね、駅前に誰がどう見ても交番にしか見えない「立ち寄り所」を設置した。この抑止力は凄まじく、犯罪件数は一気に減り治安が良くなりはじめたという。ひったくり日本一の座からも転落したそうだ。
仕事柄、かなりディープスポットに足を運ぶ。布施駅前商店街、壮絶な犯罪対策の歴史である。ある意味、東日本大震災の被災地よりタフである。やってやるぞという気合がみなぎる反面、少し引いてしまいそうになったけれど。

四番街にある喫茶<五番街>。

犯罪を激減させた交番にしか見えない立寄り所。