本来は30分ほどで到着するはずが1時間かけて京都駅に何とか到着。取り急ぎ改札に向かう。巨大な電光掲示板はすべて「調整中」(運休)。いったん改札を出て地下鉄に乗換え、河原町あたりから阪急で帰路に着くべきか。しかし、とても午前中帰宅に間に合いそうもない。
ウロウロしつつ作戦を練っていると、在来線改札の長蛇の列以外に、もう一つの長蛇の列があった。新幹線切符売場である。新幹線は力強く正常運行しているという。
神戸から京都間は新快速列車が充実し、しかも料金は新幹線の3分の1程度。この区間のみを新幹線利用したことはなかった。そもそも新幹線を使うという発想がなかった。
私の中のフワフワしていたパズルのピースが嵌った。新幹線で新神戸まで行こう。そこからは市営地下鉄で1本だ。長蛇の列を眺めていると、いつ新幹線に乗れるや分からない。私はすかさず携帯を取り打し、ネットでエキスプレス予約。なんと15分後の座席を確保できた。
帰路の目途が立つと、安堵感からか一気に空腹が襲ってきた。祝杯を挙げたい気分だが、時間の余裕はない。車中で駅弁をツマミに飲む軍略も一瞬頭をよぎったが、乗車時間は30分弱。しかも思いっきり混みあっているはずで、ゆっくり楽しめる保証はない。
立ち飲み、駅弁吞みは断念し、プランCを選択した。アルコール摂取を諦め、立食い駅そばで空腹を満たす作戦である。すかさず構内<麺串>へ。券売機の前に佇む。迷った時は天ぷらそば(うどん)一択なのだが、モーニングセットなるボタンに目を吸い寄せられた。
かけそば(またはうどん)とライス、生卵付き380円。時間は11時まで。時計確認。10時57分。普段セット物をあまり頼まぬが、昨夜中に帰れなかったからこそ、在来線で守山から途中下車を強いられたからこそ、巡り合ったモーニングセット。これも何かの御縁である。
カウンターの陣形を確認。天かす無料入れ放題。心の中でガッツポーズする。「かけ」は少し寂しいので一気にテンション上がる。天ぷらそばを注文していたらカブってしまうところだ。台風の神様が私に垂らした蜘蛛の糸。七味だけでなく柚子七味も配備され、芸が細かい。
30秒ほどでかけそば登場。天かすをたっぷりぶち込み「ハイカラそば」にランクアップ。柚子七味も多めに。ライスと生卵も到着。ライスにほんのり添えられた鰹節と梅干が心強い。
そばを啜る。天かすの油が溶けコクと旨みが倍加した出汁を啜る。鰹節に醤油を垂らし、ご飯をワシワシ呑み込む。御飯が半分になった時点で生卵を投下。濃厚卵かけご飯にウットリ。
新幹線に乗る。混みあっているとはいえ、リクライニングする座席はひたすら立ちっぱなしだった体を喜ばせる。呆気ないほどあっという間に新神戸到着。しかし、油断ならない。地下鉄が情報通り運行していることを祈りつつ、私はエスカレーターを駆け下りた。

魅惑のモーニング。