2015年05月31日

第1224夜:メガトンパンチ松吾郎【小倉(北九州)】(中編)

 口に運ぶ。……。コリコリである。生臭みやクドさ、脂っぽさ皆無。純粋な風味と旨みだけが舌に残る。日本酒に切り替える。地酒や地焼酎の銘柄も豊富。プレミアム焼酎(佐藤・赤兎馬など)がズラリとメニューに並ぶ中、2015年春現在、日本で最も高価かつ人気を有していると思われる山口の地酒「獺祭」まで呑み放題ラインナップに名を連ねている。

 獺祭が運ばれてきた。グラスにナミナミと注がれている。鯖刺身の余韻が残っているまま、獺祭を口に含む。……。風味が倍加する。慈しむようにチビチビ呑んでも味が分からない。豪快にガブガブとノドに放り込んでこそ、酒の旨さの芯が分かるのかもしれない。

 大トロが4枚も小鉢に入って出てきた。野沢菜を独特のネバリを立たせた薬味が添えられている。ワサビ醤油では大トロの脂に負けてしまうのだろう。

 3種類の白身魚を用いたすりみ揚げ。熱々でボリューム満点。ふんわりなのに、歯ごたえもしっかり。甘辛いタレが全体を包み、胃も心も満足させる極上の一品に仕上がっている。

 大皿に湯気を上げたカニがたっぷりと運ばれてきた。蒸したて。身が甘い。ミソたっぷり。無言でせせりつく。手も口の周りも衣類もカニの身がハネてベトベトだが、全く気にならぬ。

 長崎方面の高級魚らしいアカカブの干物にも刮目。上品で淡白な旨みが濃縮。凄まじいピッチで獺祭が体内に吸収されていく。この干物だけで4合瓶は軽く呑み干してしまうだろう。

 お猪口グラスにポン酢色のゼリーのごとき物体が入っている。そして、表面が動いている。白魚だった。ピチピチと跳ね踊っている。噛まずにクイっと一気飲み。絶妙の句読点である。

 すでに満腹である。プレミアム生と獺祭も各数杯ずつ。十分に満喫した。この店が大流行りなのも十分に頷けた。口コミであっという間に広がり、リピーター獲得に繋がるのだろう。しかし、目の前のカセットコンロが手つかずのまま放置されたままである。

 メインディッシュの乱れ打ちで終了かと思いきや、序章に過ぎなかった。K山氏が自信を持つ美しいサシが入った鹿児島牛すき焼がドカ〜ンとメガトン級の迫力で運ばれてきた。肉も野菜もたっぷり。K山氏は松吾郎氏が繰り出すメガトンコースを承知されていたようだが、松五郎童貞の我らはただただあんぐりするばかり。驚嘆の余り瞳孔も開きっぱなしである。

 お店のお姐さんが懇切丁寧に焼き方をご指導下さる。焼(肉)奉行S本氏の出番到来である。満腹だが、このビジュアルを目にして心が震えぬわけがない。奉行の名裁きを待つ間、生卵を小鉢に割る。さりげないが、普通じゃない黄身の濃さと膨らみである。

 生卵にチョン付けし、口に運ぶ。……。別腹である。霜降りなのにサッパリ。煮込まれた野菜の旨さに舌を巻く。タレの沁み込んだ厚揚がタマラナイ。さすがに胃が打ち止めでシメのうどんまで私はたどり着けなかったが、こだわりの絶品うどんだったかもしれない。〔次夜後編〕

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大トロがたっぷり。

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蒸したて(茹でたて?)のカニ。

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シメが和牛すき焼。

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すき焼奉行にお任せ。
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2015年05月30日

第1223夜:メガトンパンチ松吾郎【小倉(北九州)】(前編)

 パンチパーマ発祥の地・北九州小倉。この数年、特に北九州の副都心・黒崎で鬼のようにお世話になっている麺友・U野氏は、私が知る限り日本唯一のパンチパーマ商業系まちづくりコンサルタントである。競輪、パンチパーマ、アーケードが小倉三大発祥であるという。アーケードはともかく、オトコ臭さに満ち溢れている。

 北九州は100万近い人口を有する日本有数の大都市でありながら、本当に平成の御代かと思わせるほど、シロウトも標的となる武闘派抗争の地でもある(最近は警察をはじめ関係各位の壮絶な努力でかなり平和になったそうだ)。

 そんなユーモア(パンチ)と殺伐(抗争)のパンチ飛び交う北九州(小倉)にて、酒を呑み始めてから、呑み屋に通い出してから四半世紀を経た私の価値観、道徳(背徳)、偏った常識と思い込みを完全に打ちのめす第3のパンチを喰らった。春めいた暖かい3月の夜である。

 北九州若松地区で商店街の旦那&若旦那衆と勉強会を終えた後。普段は若松で懇親会となる。ところがその日は、会議に参加されているドンK山氏の運転で小倉へ。北Y氏が商品(肉)を納めている駅前ビル<COLET>すぐ近くのビル4階フロアを制圧している<ぱんち松吾郎>さん。100人ほど入れるのに数か月先まで予約が埋まっているという超人気店らしい。

 正直申し上げて、最初は二つの理由で気が進まなかった。一つ目は店名。激安系にありそうなイロモノ感が染み出ている。旨い料理にありつけるとは思えない。2週間に一度は小倉で地元人らと呑んでいるが、良かれ悪かれ全くその店の評判や噂を耳にしたことがなかった。

 二つ目は小倉への移動。翌日は小倉から新幹線で帰路に着くだけ。わざわざ若松に戻る意味が少々薄い(2次会参加前提なら別)。普通なら小倉のホテルを予約していたはずである。

 少しの期待と大きな疑問を抱きつつ、ロフト式の小上りにご案内いただく。かなりいい雰囲気だ。内装も凝っている。店内は大賑わいで、宴会グループの歓声が店内にコダマする。私達が通された入口横ロフト小上がりは、実は超VIP席。数多くの芸能人もこの店のファンらしく。彼ら彼女らのために顔を指されないように設えられたそうだ。細かい気配りである。

 芸能人でもなく顔も指さない私と若松チーム(K山氏・S本氏・Y本氏・U島氏)は、取り急ぎ生ビールで乾杯。日本でも珍しいキ●ンのプレミアム生ビールだ。北九州でこの銘柄が呑めるのはこの店だけらしい。しかも、ステンレス製のいつまでも冷たさが維持される魔法のジョッキである。呑み放題コースに含まれていた。料理もお任せコースだった。

 気合の籠ったお通し(おきゅうと・茶碗蒸し)でプレミアムな魔法のジョッキをガンガン空けていると、鯖の刺身がたっぷりと運ばれてきた。見た目からして鮮度抜群。鯖の刺身はよほど自信のある店でないと中々お目にかかれない。〔次夜中編〕

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お通し(?)から気合満点。

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魔法のジョッキで「キ●ン」プレミアム生ビール(飲み放題)

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鮮度最強、鯖の刺身。
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2015年05月28日

第1222夜:空の竜宮城V〜豚牛鶏鯵祭〜【小倉(北九州)】

 げんちゃんアジ(玄?ゲン?)。掛け値なしに知る人ぞ知る玄界灘(洞海湾?)で水揚げされる希少極まりない北九州のブランド鯵(あじ)である。極太のサバより巨大で、その干物は淡白で旨みが濃縮されている。1匹2000円は下らぬらしく、居酒屋で注文すると5000円は確実な極上の逸品に化ける。

 花冷えの夜。そんな貴重極まるブランド鯵の開きを北九州小倉の新旦過飲食街<空>さんで堪能した。数か月先まで予約でびっしりだが、3度目の訪問が実現した。オーナーのT中氏が勉強会メンバーのため、定休日なのに(定休日だからこそ)特別に店を貸切で開けていただける。懇親会の仕込みのため勉強会参加が遅れることもしばしば。申し訳ない気持ちで一杯だ。

 旦過市場の若旦那衆&市&会議所の定番メンバーで21時半ごろ<空>へ飛び立つ。生ビールでガツンと乾杯。すでに鍋がセットされている。野菜と豚バラ肉。沖縄珍味とうふようをチビチビつまみながら談笑していると、鍋がグツグツと煮え立ってきた。

 豚バラ肉をサッと湯に潜らせ、極上のポン酢にチョン付けして口に運ぶ。……。奥深い甘みが広がり、余韻が残る。笑みがこぼれる。野菜も熱々のトロトロ。しゃぶしゃぶは牛より豚の方が個人的に数倍愛している。値段もお手頃だし。

 豚を半分ほど食べ終えたところで、T中氏が鍋に下ごしらえされた大量のホルモンが投下された。特製のタレもぶっかけた。極上のモツ鍋に確変する。引田●功もビックリの早変わりイリュージョンである。モツの歯ごたえと野趣満点の風味に舌が踊り狂う。

 モツを半分ほど食べ終えると、次は大きなスルメイカが投げ込まれた。柔らかく風味を増した歯ごたえを楽しんでいると、今度は鶏せせり肉がぶち込まれた。豚バラ肉が先鋒を務め、次鋒の牛ホルモン下で一気に世界が一変。スルメイカの堅実な中堅ぶりに頼もしさを感じ、副将の鶏せせり肉が絶妙の食感と味加減を放つ。シメの大将はちゃんぽん麺である。

 家庭では再現不可能なプロの実力を感じさせる子持ちカレイの煮付で箸を休めつつ、プレミアム焼酎や生しぼり厳守をグビグビ。頭の中で賛美歌が鳴り響いていると、巨大なホットプレートが眼前に鎮座した。そこには、冒頭に紹介した「げんちゃんアジ」の開きが。大量の大根おろしを直接ぶっかけると、湯気がグワっと沸き立った。

 T中氏オススメは取り皿に取り分けず直接ホットプレートに箸を付ける作法。箸を伸ばす。身離れが良い。肉厚に大根おろしと絡めて口に運ぶ。……。天から降ってきた一本の矢が脳天から肛門まで突き抜けた。舌の上でタップダンスが繰り広げられた。豪快と繊細。野趣と洗練。玄界灘に波濤が押し寄せた。当たり前だが、鯵の開きの味。しかし、飛びっきり極上だ。

 思いっきりN尾氏が主役の下ネタで盛り上がっていると、乙姫様(会議所D井嬢)御降臨。姫に飛びっきりの下ネタをご披露するオスの魚類たち。鯵ならぬ味のあるいい笑顔である。

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鍋の七変化。

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驚嘆の「げんちゃん鯵」。
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2015年05月27日

第1221夜:透明な御馳走【小倉・折尾(北九州)】

 烏賊の活造り。皿の模様が見えるほど透き通った烏賊の刺身である。スーパーなどでパック売りしているタイプではなく、鮮度抜群の一パイをそのまま豪快に盛り付けられていることが多い(ような気がする)。産地に行かねばめったに口に出来ないご馳走である。

 貧乏大学生の頃、ツーリングで函館の民宿へ。1泊2食付5000円程度だったか。朝飯は旅館のオーナー兼漁師と一緒に、烏賊の刺身。衝撃を受けた。透き通った烏賊の刺身は初めてだった。ぴんとエッジが立っている。その壮絶なコリコリ感に門悦。忘れられぬ体験に。

 それ以降20年間、透き通った烏賊を口にする機会がなかったが、烏賊刺しが大好物に。居酒屋でも8割以上の確立で注文する。寿司屋でもアオリ、スルメ、ケンサキ、そして下足を含め塩レモンで満喫している(鮮度が良い烏賊限る)。

 ある春と呼ぶには冷え込みの厳しい北九州小倉の夜。同行氏たちと大人気薩摩料理店<さつま路>へ。焼酎をヤリながらオススメ料理に舌鼓。手羽先も旨かった。そして、20年ぶりに烏賊の活造りが眼前に現れた。透き通り、輝いている。美しきクリスタルだ。コリコリした食感に涙がこぼれそうになる。薩摩焼酎ロックのピッチが噴火する。

 同行氏曰く、烏賊は時間を少し置いたほうが熟成し、ねっとりとした甘みが増して旨いという。なるほどと唸らされた。牛肉と同じか。残った烏賊刺しを天ぷらに。柔らかさと甘みが増した。これほど美味く、贅沢な烏賊の天ぷらは初めてかもしれない。

 その翌日。北九州折尾にて商連旦那衆と勉強会の後、ポニーに乗り込み、遠賀郡の鮨屋<仲むら>さんへ。このお店にお米を納めているS理事長が、極上日本酒「賀茂鶴大吟醸ゴールド」を店主承諾で持ち込まれた。金箔入りである。生で乾杯した後は、金箔酒を冷やでグビグビ。透明だがわずかに白味がかった酒の中に金箔を発見すると、思わず笑みがこぼれる。

 マスター御自らの手による作品と思しき皿に、絶品料理が止めどなく運ばれてくる。どれも絶品。そして、烏賊の活造りが二日連続で降臨してきた。烏賊の水揚げで名高い呼子が近い北九州。20年口にする機会のなかった活造りが、何と2日連続。引きの強さに戦慄する。

 初日は焼酎、2日目は日本酒で挑む。口に運ぶと、吸盤が舌に引っ付いてくる。エッジが効いている。甘みは少ないかもしれぬが、生臭み皆無の壮絶鮮度。7割近く食べ終えた後、初日は天ぷらだったが、2日目はバター炒めに。香ばしい甘さとコクが口と鼻にあふれ出す。

 にぎりも豪華。ボタンエビや大トロ、いくらウニなど10カン以上。もうこれ以上食えないが、もう少し強い酒を呑みたいと思いつつお開きに。タクシーで再度折尾へ向かい、ポニー厩舎の前のカラオケ風居酒屋へM氏、K原氏、Y野氏と。

 ギリシャのブランデーが出てきた。ぶっ飛びそうなほどの口当たり。それから焼酎の切り替え。心地よく酔いながらカウンターで談笑し、終電で小倉のホテルへ。翌朝の二日酔いぶりはメガトン級。視界は透明ではなく靄と霞がどんよりと掛かっていたが、思い出しニヤケ笑いが止まらない。商店街や市場の旦那衆オススメの店は本当に外れなし。

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<さつま路>さんの活造り。

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<仲むら>さんの活造り。
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2015年05月25日

第1220夜:平成34年【折尾(北九州)】

 近くて遠い未来。駅舎建替と高架化、街路整備、区画整理の3大都市整備事業が進められている北九州折尾地区。スケジュールこれ以上遅れなければ平成34年に完了予定である。

 折尾に通い始めて足かけ3年。2年目からは集中的に地域住民に対する座談会形式でのニーズ調査、折尾の10年後の未来希望図を作成するビジョンづくりコースを実践し、急なスケジュールだったが未来希望図に具体性を持たせるプランづくりコースも2015年1月から3か月にかけて集中的に開催。私もそのお手伝いをさせていただいた。

 新たに理事長に就任されたS理事長がリーダーシップを発揮し、細かな資料や成果物作成の取りまとめは商連K原事務局長が担われた。また、途中から折尾地区の総合整備事業の核となる折尾駅舎建替と高架化に関して、火中の栗を拾う勢いで折尾駅長様も研修会に参加。従来は推測のまま進めてきた議論が、実情を認識することでより深まった。

 今回のプランづくりで折尾商連が目標を定めた年次は平成27年からの4年間(平成31年度まで)。初回に折尾地区(折尾商連)の強み(地域資源)と弱み(課題)および商連を取り巻くステークホルダーリストアップ。2回目以降は降、短期・中期・長期テーマごとに議論を重ね、活性化プランを検討。成果物に落とし込んだ。

★短期テーマ「大型SC休業期間中の買物客対策と消費喚起」
★中期テーマ「再整備後のJR折尾駅高架下と警察署跡地の有効活用」
★長期テーマ「区画整理に伴う新規顧客の獲得と回遊性の向上」

 直近の課題の短期テーマでは、商連が独自で発行しているプレミアム商品券を平成27年度は従来の1割プレミアムから2割に増額。ただし、平成28年度以降に従来の1割に戻した際の客離れが懸念あされることから、前身から含めた折尾商連還暦記念(設立60周年記念)とした。

 時期ごとに設定してプランを作り上げることが出来たことは習得度の高さが感じられる。今後はこのプランを実践に移行させるための詳細な計画づくりが求められる。詳細に検討し、JRや行政に提言書としてまとめるまで熟度と精度を高めたい意向をお持ちである。

 都市整備事業は平成34年に完了予定だが、予定は未定。よほどの政治判断がない限り期間は延長されることがあっても縮小されることはない。全く予断を許さない。

 大地主でもあるJRの意向次第で、特に商業の再整備計画は回遊性を含め大きく変動する可能性がある。改札口も現在の3か所から1か所に集約されるため、導線も大きく変動するだろう。

 少子高齢化の中、何もしなければじわじわと真綿で首を絞めつけられるだけ。劇薬でもある再整備計画がカンフル剤となってすばらしい街に生まれ変わる可能性も大いに秘めている。平成34年にハッピーになるためには、まさに今が正念場である。

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折尾駅長もご参戦いただいたプランづくり。
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