2015年02月27日

第1160夜:甘く危険なワイルドアフリカ【小倉(北九州)】

 「ワイルドアフリカ」。この世に生を受けて40年あまり。酒精に溺れるようになり●●年。未だ目にしたことのないヒョウ柄ボトルのリキュールである。北九州商工会議所M渡氏が出張先(アフリカではなく東南アジア)で捕獲してきた逸品だ。

 北九州旦過市場の竜宮城でフグ祭に酔いしれた師走の夜。別忘年会で竜宮城に入城叶わなかったM渡氏と23時半ごろ合流。私もこの数年で幾度となく連れて行っていただいた<ムーランルージュ>へ。氏とは月2回以上お会いしている気がするが、2014年最後の二人呑みだ。

 カウンターに座り、氏がキープしているプレミアム焼酎かスコッチウィスキーをロックで遠慮なく厚かましくガバガバ喉に放り込んでいると、明らかに見慣れぬ異質すぎるボトルが目の前に置かれた。前述の「ワイルドアフリカ」である。

 まさに`野生の王国´といった存在感と力強さ。ネーミングのタフさやビジュアルのワイルドさは、まさに酒精界の百獣の王といった風格。度数は99度以上ありそうな空気感である。

 こんなボトルを店でキープしているM渡氏を畏怖と羨望のまなざしで見つめながら、好奇心に負けて少し試飲させていただくことに。

 ライオンではなくいかついヒョウの顔が前面にプリント。実際に、ヒョウ柄の布地でボトルが巻かれている。服を着せられた犬やカバーされた電話機などは目にすることはあっても、アルコールボトルは初めて。「馬渡様」と書かれたネームタグが凄まじい存在感を放っている。

 グラスに少し注いでもらう。少し茶色がかった白。かなりトロリとしている。匂いに鈍感な私ですらほのかに甘い匂いを感じられる。口に近づけて、一口含む。……。カルアミルク?

 私はバーでは普段スコッチかバーボンのロック、カクテルならジントニックかモヒートかギムレットしか呑まない。甘いモノが基本的に苦手なので、普段なら甘さ全開のスィート系は眼中に入らない。カルアミルクも昔、誰かに一口飲んでみてと勧められ、ホントに一口舐めただけ。ミルクそのものも得意ではないので、以降口にすることはなかった。

 ラベルをよく見ると、「CREAM」と書かれている。奇抜すぎるデザインとヒョウのいかめしさに気を取られ、気づかなかった。好きな人にはコタエラレナイ味のはずだ。

 M渡氏か店のおネエさんか誰か忘れたが、アイスに垂らすと旨いとおっしゃる。おネエさんの一人がコンビニダッシュし、ハーゲンダ●ツのカップを大量入手。私も普段アイスは年に1度口にするかどうかだが、好奇心に負けて垂らしてみた。ちなみにアイスはラムレーズン味。

 口にしてみた。……。驚いた。アイスのコクが増し、甘さが控えめになってキュッとオトナの味わいに。惚れた女性にアタックしたいが勇気のない紳士諸兄、ぜひこのボトルを入手した際、ワイルドとナイーブを併せ持つこの酒を。度数は意外と強いので、彼女より貴兄が先にノックアウトされぬようご注意を。

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凄まじい存在感。
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2015年02月25日

第1159夜:空の竜宮城【小倉(北九州)】(後編)

 一切れをすっと呑み込んだ。生まれて初めてブリ刺しを呑み込むことが出来た。すると、箸がさらに伸びた。先ほどより旨みをじっくり落ち着いて味わえた。一人4切れ。残り2切れはひるむほどサシが入ったトロ部分。醤油にたっぷり浸し、ネギと一緒に口に運んでみた。……。ネギが脂を消し、お互いの長所を引き立て合っている。鴨はネギだけじゃなかったのだ。

 続いてゴマサバ刺しにゴマだれを垂らした遊び心溢れる一品。そのままよりも少し醤油に付けた方がよい。口に運ぶ。……。鮮度抜群、臭みも脂っぽさもゼロ。ブリ刺しの後だからか、淡白な白身魚に思えたほどだ。

 ポットにたっぷり入った「フグひれ酒」が登場。ただ熱々燗に市販のひれを浮かべるだけではない。香ばしさと奥深い旨みを最大限引き出す手間と技術が施されている。お猪口に注いで口に含む。太陽と海洋。ワビとサビ。濃淡かつ浮遊。水墨画の如き洗礼された呑み口だ。

 プリプリ牡蠣と超ブランド下仁田ネギの蒸し焼きも一大イリュージョン。T中氏がホットプレートのフタを外した時、一同ウォーッと大歓声。プリプリを口に運ぶ。……。海のミルクが口の中で大洪水。オトコなら憧れる極太下ネタ、じゃなかった下仁田ネギのシャキシャキ感、上品な青き苦味にも驚嘆。齧ると、中身が鉄砲のごとく飛び出すほどのパンチ力だ。

 鱈白子揚げ出しもフグに負けていない。トロトロ、フワフワ、まったり。揚げ出しのコクが淡白かつ豊かな旨みを後押しし、思わず目を細めてしまう。

 生やひれ酒だけでなく、どなたかが持ち込んだプレミアム焼酎「佐藤」をロックで痛飲。しかも`黒´バージョン(黒佐藤)。真剣な話とバカ話がミルフィーユのごとく重層していく。

 フグで欠かせぬのが、てっちり(鍋)。それも、白菜とフグのみの一本勝負。フグも凄まじい量。粋を極めた上品極地の端麗な旨みが出汁に溶け込んでいく。こだわりのポン酢に少し浸し、豪快にかぶりつく。……。ポクポクした身からあふれ出す奇跡。頭が真っ白になった。旨みを吸い込んだ白菜も数時間煮込んだらしく、歯ごたえを残しながらも口の中で溶けていく。

 私は普段、鍋のシメは麺一択である。しかし、てっちりだけは雑炊に軍配を上げざるおえない。てっきり卵を半熟に溶いた逸品と思いきや、想像を遥かに超える一品が出てきた。茶碗にご飯を少しだけ盛り付け、鍋の出汁をぶっかけただけである。卵も醤油も何もなし。

 半信半疑で口に運んでみた。……。天の岩戸が開いた。驚嘆、絶頂、瞠目、飛翔。今でも信じられぬ旨さ。純粋にして無垢、本質と骨格。すべてを昇華した後に残る結晶だった。

 河豚、鰤、鯖、牡蠣、鱈……。<空>という名の竜宮城。千両役者たちのタップダンス。店を出たら、私は老人になっていても本望。私の隣に座る商工会議所D井嬢が乙姫様のごとく輝いていた。乙姫様は夢中で食べていただけだったけど。

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てっちり。至福。

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牡蠣。狂喜。

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御飯に鍋の汁を掛けただけ。飛翔。

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2015年02月24日

第1158夜:空の竜宮城【小倉(北九州)】(前編)

 <空>。北九州の台所・旦過市場周辺の暖簾街にある鮮魚系居酒屋である。ランチもやっているらしいが、夜は2〜3ヶ月先まで予約で埋まっている超人気店。オーナーのT中氏は旦過市場の青年部のリーダー格。勉強熱心で聡明でホスピタリティに溢れた御仁である。

 2014年12月上旬。旦過市場勉強会を終え、市場の若旦那衆や市、会議所の皆さま方10人で氷雨降る中<空>へ。本来なら定休日なのだが、特別に開けて頂くことができた。何故なら、T中氏は私がお手伝いしている勉強会の主要メンバーであるから。私の仕事上、役得は多いように思えるが、これほど強く多幸感を味わったことはない。

 市場のメンバーも酒や野菜を提供。実質的に呑み放題かつオーナーお任せコース。生ビールで乾杯し、早速青磁色の平皿に美しく並べられた白金の大輪に箸を伸ばす。一発目は「てっさ」(フグ刺し)である。一皿に何枚並べられているのか数えきれないほど。それが何と4皿。2.5人の1皿の割り当てだ。白身に皿の青磁色が透けて混じり、幽玄の美を醸し出している。

 シアワセのあまり弛緩した顔でこだわりのポン酢にまずは1枚チョン付けし、目を見開き自身の鼻息で関門海峡まで飛ばされそうになるのを堪えながら、口に運ぶ。……。シコシコした歯ざわりの中から溢れる淡白で上品で透き通った旨みが肉の奥からにじみ出る。浴衣姿のおしとやかな美女の白きうなじのごとき色っぽさ。

 いくら食べても減らないという奇跡。一度どうしても試してみたかった、箸でグアッとフグ刺しを横滑りさせ、一気に数枚の切り身を口に運ぶという超お大尽な庶民に許されぬ荒業である。周囲からも勧められ、グァッと鬼掴み。フグ刺しを`頬張る´というあってはならないウラシマ喰い。口の中いっぱいにフグが踊る。私は、竜宮城で暴れ躍る鮟鱇になった。

 てっぴ(フグ皮)プルンプルンなのに、臭みも脂っぽさも皆無。純粋に昇華したコラーゲン(たぶん)。一発目のフグ刺しで満腹になりそうだ。これほど嬉しき不安は初体験である。てっぴでアクセントをつけ、超高級青ネギをフグの白身で巻いたりする。天罰間違いなしである。

 続いての役者は、ブリ刺し。しかも、ただのブリではない。対馬産ブリを4日間熟成させた飛びっきり食べごろの逸品。ところが、脂の強い魚の刺身は実は私は大の苦手。ハマチやサーモンは当然で、タイもそれほど好まない。大トロなどもっての他で、中トロよりも赤身を愛している。ブリなど最も普段遠ざける、選択肢どころか視界にすら入らない我が天敵の刺身だ。

 せっかくの逸品である。刺身を醤油にたっぷり浸し、私は世界遺産登録を目指す北九州市の某製鉄所の高炉に飛び込む気持ちで震えながら口に運んだ。……。うん?アレッ?……。脂は感じるけど、全く臭みがなくサラリとしている。フワっと飛び、さっと散り消える。フグ刺しとはこれほど刹那的な余韻を奏でるものだったのか。〔次夜後編〕

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てっさ。感涙。

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鰤と鯖。驚嘆。
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2015年02月22日

第1157夜:Xmas Lunch with M【伊丹(兵庫)】

 マダムM。まちづくり業界で今やその名を知らぬ者無き、兵庫県伊丹市の中心市街地活性化を市民の立場から推進するNPO法人「いたみタウンセンター」の理事長である。

 ご本人曰く、数年前までは専業主婦?だったとか。何かの因果でまちづくりにどっぷり関わるようになり、今やまちづくりの無間地獄にハマって抜け出せぬ悲壮感すら傍から見ていて感じられる。私自身、マダムには前職の神戸・新長田時代からお世話になりっぱなしである。

 前向きな姿勢、全体を捉えるバランス感覚も長けているが、何といっても気配りの人。気配りがドレスを着て歩いているようである。マダムは様々な所へ出かけるたびに、しょっちゅうお土産を下さる。感謝が尽きない。私は少しもマダムに返せていない。

 世界最高のウィスキーとなった「山崎」。サン●リー山崎蒸留所のシリアルナンバー入り(267675)シングルモルトまで頂いてしまった。大切にチビチビ自宅で味わっている。

 2014年12月24日、クリスマスイブ。いたみタウンセンター事務所にて用務があった私は、強引にマダムを昼食に連れだした。普段のマダムの心づくしのたとえ1%でも私はお返ししたかった。イブの昼、クリスマスムードの伊丹郷町をマダムと歩く。ランチデートである。

 麺類(ラーメンやうどんなど)、丼(カツ丼一択)の私が普段は絶対に足を運ばないタイプのおしゃれなイタリアンバールへ。ランチセットを注文。マダムと談笑していると、冷菜3種盛りが運ばれてきた。説明を受けたけど、私には難しすぎて何一つ覚えていないが、旨かった。

 温かいスープを楽しんでいると、メインディッシュ(鶏もも肉と香菜のペペロンチーノ)が運ばれてきた。クリスマスなので鶏肉を選択。しっかり麺類を摂取できたので大満足である。残ったスパゲティソース(オリーブオイル?)にバケットを浸して口に運ぶ。下品という名の上品な作法である。

オヤジ一人では絶対に体験できない女子ムード満点のイタリアンなクリスマスランチ。目の前には美魔女。思いがけないクリスマスランチデートの実現に、日本中のまちづくり関係者(オトコ)の羨望を独り占め。実に誇らしい気分だ。

めったに口にしないデザートを口に運びながら珈琲を呑んでいると、マダムがクリスマスプレゼントを下さった。身を空けてみる。ベルギーの「ゴールワーズ・クリスマス」という発泡酒。デュ・ボック蒸留所のクリスマス限定版とある。焙煎したモルトの甘みとスパイスの香りのバランスが絶妙という。サンタさんの顔がラベルにプリントされている。

 昼から呑むわけにはいかぬので、大事にカバンにしまう。イブの昼にプレゼントのやり取り。はた目からは初々しいカップルというより、ワケありの中年男女にしか見えぬビジュアルであるけれど。

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いつもありがとうございます。
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2015年02月21日

第1156夜:駅のホームは焼肉の香り【鶴橋(大阪)】

 鶴橋駅。大阪環状線と近鉄線が交差するパワフルな駅である。初めてホームに降り立った時、誰もが「おや?」と戸惑うであろう。その後、胃袋が激しく刺激される。何故なら、焼肉の香ばしい匂いがホームを制圧しているからだ。

 鶴橋はコリアンタウンとして知られている。東京では新大久保の辺りも同様のイメージだが、鶴橋のディープな雰囲気は他の追従を許さない。観光客が浮かれて歩けるような雰囲気はない。そのまんま、韓国である。

 駅前には焼肉屋が軒をズラリと並べる。通りだけでも30軒ほどありそうだ。細かい路地店や周辺店舗を加えると、100店舗ほどあっても不思議ではない。

 焼肉を食べに行く際、「●●という店に行こう」と「鶴橋に行こう」では雲泥の差がある。後者には`とりあえず鶴橋は焼肉を食べに行こう。店は着いてから考えよう´となる。これだけ集積すると、商圏は広域化する。同業種の集積は、商店街活性化の大きな手法の一つである。

 ある夜。近鉄八尾駅前でY本中小企業診断士と軽く呑んだ後、鶴橋へ移動した。私もY本先生も鶴橋で乗り換えねばならぬため、ホームに降り立った。その瞬間、狂おしいまでの焼肉スメールが鼻孔に飛び込んでくる。時間は19時半。まだ宵の口である。

 先生と改札口を出た。どこかの焼肉屋で軽くツマミながら呑み直すことに。焼肉屋がびっしり軒を連ねるメインストリートに立つと、凄まじい人手である。日曜なのでサラリーマン風情は少ないが、カップルや女性グループ、男性グループ、家族連れでどの店も満員。外まで行列が溢れている。私たちは「並んでまで」といく気分ではなかった。

 とりあえずすぐに入れそうな店に飛び込んだ。店内は満席だったが、10分ほどで空くと店員さんがおっしゃる。そのままレジ横の椅子に腰かけて先生と談笑していると、お茶が運ばれてきた。独特の風味。ノドを軽く湿らせていると、確かに10分ほどで席へ通された。

 二人とも一軒目で食べて呑んでいる。決して空腹ではない。とりあえず「ホルモンセット」なるものを注文。いろんな部位が5種類ほど入ったブツで、大皿に盛られてきた。

 私はレモンチューハイに切り替え、先生と乾杯。ホルモンセットも中々のボリュームと鮮度。冷たく酸味と甘さが同居したチューハイとの相性は今更ながら抜群。私は次々と焼けていくホルモンをツマミに杯を重ねた。

 何杯飲んだだろうか。焼肉はセットで十分だったので、追加しなかった。お会計をお願いすると、2人で2500円以下だった。思わず私は「え〜っ」と驚嘆の呻きを漏らしながら、「安すぎないか」と問い詰めてしまった。

 同業種の集積は競争を生み、競争は接客と商品と価格を含めたサービス全般のレベルを上げる。レベルが上がると商圏が広域化し、お客がさらに増える。シアワセの好循環である。

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焼肉店だけが林立する鶴橋駅前(焼肉ストリート?)。
posted by machi at 06:54| Comment(0) | 大阪府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする