2014年10月31日

第1083夜:地域を愛し、愛されて〜環山楼塾〜【八尾(大阪)】

 地域との共生。大阪府八尾市内の主に製造・サービス業に携わる若手経営者&その卵たちの育成塾「環山楼塾」全10回シリーズ最終回のテーマである。環山楼塾OBも加わられた最終回は2014年9月4日。講師は我が神戸新長田時代の盟友・近畿タコシーM崎社長である。

 経営者必見らしいビジネス情報番組『ガイア●夜明け』拡大版(テーマは接客革命)で30分近く特集された近畿タコシー。そのDVDを塾生たちに見て頂こうと用意していたら、色々とロックが掛かっていて再生できず。急遽、M崎社長のトーク一本50分勝負に。

 お題(私が決めたのですが)は「地域を愛し、愛される企業に〜企業の地域貢献とは〜」。熱弁とは、このことである。海の家タクシー、イルカタクシー、スィーツタクシー、かき氷タクシー……。思い付き企画を瞬殺で実現してしまう御年還暦越えとは思えぬ行動力に感服する。

 身振り手振りダイナミックに、時には熱く、時にはギャグを挟んでおスベリになられつつ、グイグイと塾生のココロを波立たせていく。私はスライドショー係だったが、斜め後ろから社長のお姿を見て、酸欠で倒れるのではと危惧した。案の上、講演終了後は退出してロビーで一人、真っ白な灰と化していたそうだ。

 産官民が一体となって「住みたくなる八尾」を目指し、ブランドイメージを向上させていくためには何が必要か。防犯防災、緑化、教育環境、医療集積、コンパクト、利便性……。要素は無数にあれど、それらを行政だけでなく民間からも引っ張っていける人材育成も欠かせぬ。

 事業所同士のコラボは新たな魅力を創造し、八尾地域全体の魅力向上と将来的な利益還元にも寄与する。地域と地元企業がギブ&テイク(=Win−Win)の関係を保ちながら、CSR(起業の社会的責任)を活用、発信していく。他地区の成功事例はアレンジして導入しつつ、豊富な八尾の地域資源を「経営資源」として捉える。地域は最高のマーケティングの場でもある。

 塾生同士の横のつながり(横糸)とOBを絡めた縦のつながり(縦糸)を紡ぎ合わせると、どれだけ大きな帆布が編まれるか。その帆布に、新たな八尾の事業所像を描いて頂きたい。

 同業種だけでなく異業種連携も促進させ、市内外との地域間交流も加速させる。塾生たちとさらに広く深く連携、交流を深め、新たなビジネスチャンスを生み出していく。八尾の市内事業所だけでなく、八尾市民からも愛される事業所として1000年企業を目指して頂きたい。

 懇親会では、すでに親睦会から塾生相互の事業所や工場見学などが活発に進められている。その様子を見て、私も目を細めた。新長田を離れて4年半。商業商店街・まちづくり・被災地復興以外の初めてのミッションだったからだ。環山楼塾の半年は彼らだけでなく私にとっても財産になるだろう。

 2次会のバーでは、八尾から世界へ羽ばたきつつある景気の良さそうな話も聞こえてきた。製造業の街・八尾。ドイツ視察ツアーの話も飛び出した。私も同行を決心する。私の主要目的は、ビールとウィンナーだけれども。

141031環山楼塾@.jpg
閉塾式。

141031環山楼塾A.jpg
1次会打ち上げ。
posted by machi at 09:29| Comment(0) | 大阪府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月30日

第1082夜:22時だヨ!一人で集合【東村山(東京)】

 『8時だヨ!全員集合』。私はひょうきん族世代なのでそれほど熱心に観ていたわけでもないが、私以上のアラフォーなら必ずご存じと推測されるドリフの超人気お笑い番組である。

 この番組から数あるギャグが生み出されたが、志●けん氏による「ひぃがぃむぅ〜らぁやぁ〜まぁ〜♫」というフレーズが私にとってひときわ印象深い。

 どのようなシチュエーションで放たれたギャグが全然覚えていないが、とにかく「東村山」というところは何もないド田舎というイメージが幼少の頃に刷り込まれた。是非はともかく、志村氏は東村山の知名度普及に多大な貢献をされたといえる。そんな東村山が東京都内とはつい最近まで存じ上げなかったが、かの地に某研修施設がある。

 三陸から7時間以上かけていったん神戸に戻り、用務を済ませてから新幹線で東京へ。中央線に乗換え、国分寺で下車した私は八王子のH見氏を呼び出した。

 あまりのバタバタに加え、車中や機中でひたすら眠ることも許されず急ぎのパソコン猿打を強いられていた私は、朝から何も腹に入れていなかった。会議や人前でのお座敷、資料づくり等の前やその最中は固形物を腹に入れると眠くなり集中力が皆無になるので、空腹を堪えていた。国分寺到着20時。ようやく目途がつき、打合せを兼ねてH見氏と焼鳥屋へ。

 22時前、氏と別れた私は、指定のタクシーに乗り東村山にある研修所へ向かった。30分もかかるという。トークの軽快な運転手さんは、いかに東村山が何もなくて不便であるかということを私に滔々と説明する。

 一般に企業や自治体の研修所は、私が訪れた限りだが極めて辺鄙で隔離された場所にそびえ立つ。外に出て呑みに行こうにも、車がないととても無理。オトナしく軟禁状態で同行諸氏と親睦を深める以外、やることは何もない。極めて合理的なシステムといえる。

 同じ釜の飯を喰う仲間がいない私は、22時半前に一人で研修所に集合。完全土足厳禁だったが、上履きを忘れてしまいスリッパを借りる。案内された部屋は妙に広く立派だが、寝間着もタオルも歯ブラシも髭剃りもTVもない。研修所であることをすっかり忘れていた。バス&トイレはもちろん共同である。

 寝間着がないので、トランクス1枚で寝るしかない。しかしその前に風呂に入りたいが、タオルがない。部屋の洗面所の横に白い布きれがあり、おっ?タオル発見と思いきや、雑巾。

 スーツを着たままハンカチを手に大浴場へ。だだっ広く心地いい。移動距離11時間、目と肩と空気頭の凝りがホロホロと湯に溶けていく。サッパリして部屋で一人、念のためにスーツケースに忍ばせておいたバーボンをグビリとノドに放り込む。

 部屋の外はテニスコートが見えるが、居酒屋もスナックもなさそうだ。ひぃがぃむぅ〜らぁやぁ〜まぁ〜♫のフレーズが蘇る。私はいつの間にかドロのように眠り込んでしまった。

IMGP0027.jpg
健康的かつ機能的な研修施設。
posted by machi at 15:23| Comment(0) | 東京都 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月29日

第1081夜:地物の海鮮丼【宮古(岩手)】

 『大江戸釣客伝(上・下)』(夢枕獏 講談社文庫)。江戸時代、生類憐みの令が発布される暗黒時代に釣りの道を究めようとした男たちを描いた傑作歴史小説である。吉川英治文学賞、泉鏡花文学賞、舟橋聖一文学賞の3冠に輝いたことからも、傑作ぶりが伝わる。

 私は中学生の頃、釣りに勤しんでいた。自転車で数分。海に到着する。特に中3の夏以降、受験直前まで毎週土日はほぼ釣竿を降っていた。高校に進学するとパタッと縁遠くなり、おそらく4半世紀釣竿を握っていない。この小説を読んで、体の中心に付随する自身の竿だけではなく、釣竿を久々に握ってみたくなった。

 ある冬の峠に雪が降り積もる昼。江戸から遠く離れた岩手県宮古市へ向かうバス車中でこの作品に没頭していると、釣りも久々に試したいが、とにかく魚が食べたくなった。

 13時、宮古駅前到着。私は駅前の<魚彩亭すみよし>に駆け込んだ。ランチメニューも充実している。私は店に入るなり、「宮古丼」を初注文。すべてが宮古産の海鮮丼である。

 うに丼、いくら丼、二色丼、三色丼……。他の観光地で見られる観光客相手の豪華丼なら1000円は下らず、3000円超す店もある。宮古は観光地なのだが商売が上品で控えめのため、他より安価。ちなみに我が注文の「宮古丼」は900円。安すぎではないか。黒板ボードに書かれていただけだったので、ビジュアルが分からない。めかぶだけだったらどうしよう。

 店内の漫画雑誌をパラパラ眺めていると、「お待たせしました〜」と運ばれてきた。目にした瞬間、思わず目を見開いた。かすかに笑みを浮かべてしまったかもしれない。豪華絢爛である。宮古の海の恵みがびっしり詰まっている。味噌汁、小鉢、漬物付きだ。

 タコ、マグロ、ホタテ、イカ、イクラ、シメサバ……。どれも大きな切り身で、たっぷりの量である。私は本わさびを醤油に溶き、刺身として味わい始めた。

 赤身マグロのワインのような上品かつ優雅な妙味。タコのプリプリした弾ける淡味。ホタテの蕩けるような甘さが際立つ嬉味。シメサバの絶妙な酢加減がプロの力量を見せつける凄味。甘さを抑えた分厚い玉子焼きも抜群の箸休めだ。日本酒を熱燗でヤリたくなる欲望と闘う。

 刺身を食べ進めても、御飯が見えない。その上にびっしりとめかぶが敷き詰められている。丼の上には、イカ、イクラ、めかぶがたっぷりと残った。小皿に残ったワサビ醤油をまんべんなくぶっかける。極上ネバネバ丼の登場である。

 今度は一気呵成にワシワシぶっこむ。……。絶頂にして破裂、官能と貞操、静と動。舌の上でぬらりと動き、ノド、食道、胃へ滑り落ちていく。途中、たっぷりイクラがプチプチ口の中で弾ける。御飯も単なる白飯ではなく、酢飯だ。これだけの贅沢丼が、わずか900円である。

 宮古には様々な丼がある。値段、量、品質、サービス。私がこれまで三陸で頬張ってきた丼では、間違いなくぶっちぎり。ぜひお試しあれ。

141029宮古丼@すみよし.JPG
宮古丼。これで1000円以下。
posted by machi at 08:45| Comment(0) | 岩手県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月28日

第1080夜:冷めた方がウマい唐揚【宮古(岩手)】

 唐揚。豚、川エビ、ごぼう……、タネは無数に存在するが、唐揚といえば「鶏肉」。それもモモ肉が代名詞である。熱々揚げたてとキンキンに冷えた生ビールやレモンサワーとの相性は今更ながら。個人的には神戸三宮東門街<愛愛>の「かしわの唐揚」が世界最強である。

 居酒屋、弁当、コンビニ惣菜、テイクアウト専門店、ケン●ッキー……。鶏の唐揚の活躍の場は地球規模だが、絶対的な旨さのルールがある。「揚げたて」。これに尽きる。どれだけ旨い唐揚でも、冷めると旨さが半減どころか無に帰する時もある。

 中には「冷めても旨い」をキャッチにしている唐揚もいる。それは揚げたてに比べたら味は落ちるが、まあまあのところで踏みとどまっていますよ、という意味を表している。あくまでも「冷めても」な点がポイントだが、「冷めた方が」ウマい唐揚が存在していたとしたら。

 岩手県宮古市。JR&三鉄宮古駅を出て徒歩2分にある4階建ての商業ビル<キャトル>。ギリギリ津波被害を免れたため、大津波後は絶好調であるらしい。その1階テナントが<ミヤビル>という、キャトル店単独の食品スーパーである。

 漁師町・宮古らしく海産物が安くて豊富。宮古が誇る2大製麺メーカー(ハニー・小笠原)宮古ラーメンもバリエーション豊か。愛飲のサン●リーゴールドラムのボトルが1000円強。

 大津波直後から頻繁に宮古入りしている私は、昼は定食屋かラーメン屋、夜は居酒屋なのであまり買い出しすることはないが、たまに昼飯の惣菜や長期間連泊する時の夜伽に利用させていただいている。

 惣菜もしずる感たっぷりでどれも旨いが、パック売りされた鶏の唐揚が冷蔵ケースに並べられている。1パック5〜6ヶ入って200円以下。発泡スチロール&ラップタイプなので、そのままレンジで温めない方がよい。

 オーブントースターがあればベストだが、そんな文明の利器は商店街事務所にも食品スーパー(ミヤビル)のサービスカウンターにも、ホテルの自販機&電子レンジコーナーにもない。

 ある昼。ミヤビルで唐揚を何気なく捕獲した私は、何の期待もせずただ機械的に口に運んだ。その瞬間、目を見開いた。思わずエエッという呻きが口から漏れた。驚愕の旨さだった。

 あっという間に冷えた唐揚が胃袋に収められた。冷えた唐揚、しかも食品スーパーの安価なものでこれだけの実力を兼ね備えているとは。熱々ならどれだけ旨いのか。

 後日、トースターの代わりにホテルのレンジで温めてみた。熱々である。口に運ぶ。……。うん?かなり油っぽさが増している。これはこれで旨いが、冷めている方がウマいような気が。「冷めてもウマい」のではなく「冷めた方がウマい」唐揚。宮古駅前商業ビル<キャトル>1階食品スーパー総菜コーナーでぜひ捕獲あれ。

141028ミヤビル唐揚@宮古.jpg
冷めた方がウマい気がする究極かもしれない唐揚。
posted by machi at 10:35| Comment(0) | 岩手県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月27日

第1079夜:ひとつ。ふたつ?【宮古(岩手)】

 <たらふく>。三陸で最も有名なラーメン店の一つである。我が定宿・宮古セントラルホテルから徒歩30秒程度にあり、宮古で数少ない行列のできるお店である。私が思うに、これぞ宮古ラーメンの典型。宮古人に何十年も愛され続けている。イチゲンには到達困難な立地。10時半開店と同時に満席になる。15時ぐらいが狙い目だが、客が途切れることはない。

 私はこれまで何食宮古ラーメンを啜ったか数えられない。市内のメーカーも宮古ラーメンを売り出しているが、「宮古ラーメン」と染め抜かれたノボリもなければ、ご当地ラーメンとして売り出す気も毛頭なさそうだ。競争が似合わぬおっとり気質の宮古らしくて微笑ましい。

 どんな店であれ、初体験は緊張を強いられる。店独特のルールがあったりするからだ。私は行列に並ぶことが生理的に受け付けないのだが、あまりに空いている店も興味が惹かれない。

 程よく混んでいるベスト状態の時、常連の振る舞いや作法、注文方法を観察できるメリットもある。水はセルフか、食券方式か、キャッシュオンデリバリーか後払いか。常連ならではの謎の略語はあるか(肉吸小玉など)。食べ終えると食器をカウンターに戻すのがマナーかどうか……。普段では考えられぬ集中力を発揮する。これを仕事でも発揮できればといつも思う。

 <たらふく>さんのメニューは掛け値なしの逸品かつ一品勝負。「中華そば 500円」一択である。ゆえに常連は誰も「中華そば」と言わない。指を立てながら「ひとつ」、二人連れなら「ふたつ」と注文する。2人で3本指を立てる場合、3杯を2人で分けるという意味である。

 宮古滞在1年目。商店街の方々にこの店がいかに有名か教えていただき、狙い目という遅めの昼食時間に暖簾を潜った。このようなルールまでは聞いていなかった。テーブルで私も最初戸惑った。注文しようとメニューを見ようにも、胡椒と一味唐辛子しかない。

 キョロキョロしている私に店員さんがすかさず「1杯ですか?」。私は「は、は、はぁぃ…」とか細く返した。気分は番町皿屋敷。余裕が生まれ常連を観察すると、商品とお金は引き換えが暗黙ルールだ。

 メンマもチャーシューも自家製。このチャーシューが実に旨し。麺も通常の1.5倍はある。自家製手もみちぢれ麺で、あっさりなのにコクがある煮干ベース出汁は二日酔いに最高。食べるほどに旨さが増す。この惹きの中毒性は凄まじい。神戸で生息している時も頻繁に思い出す。

 この店の都市伝説を耳にした。「焼き豚増し」があるという。私は注文の際、蛮勇を振り絞ってつぶやく。しばし沈黙の後、「100円増しですが…」。思わず小さくガッツポーズ。ブツは100円増しとは思えぬタップリ感。200円増し、いや、300円増しでよいから定番化を強く願う。

 他にもノリ多め、メンマ多め、ネギ多め、全部多めなどで100円増し、200円増しにすれば既存食材でバリエーションは増えそうだが、中華そば一択の潔さも実にすがすがしい。

 私の横で老夫婦が啜っている。食べ終わると、さらに2杯運ばれてきた。私は目を剥いた。すごい勢いで2杯目へ。いわゆる4つという荒業。私もまだまだ修行が足りない。

141027たらふく@宮古.jpg
至福の「ひとつ」。
posted by machi at 05:37| Comment(0) | 岩手県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする