2014年07月30日

第1020夜:磯鶏ラーメン街道【宮古(岩手)】(前篇)

 磯鶏地区。宮古市中心部から車で5分程度の沿岸地域である。大津波で周囲は壊滅したが、復旧期から復興期へすでに以降。全国チェーンのホテルや日本最大の家電量販店も国道45線沿に林立し始めたが、ラーメン店の数もかなりのもの。「磯鶏ラーメン街道」と名付けたい。

 ただし、宮古人感覚に染まってしまった私は、磯鶏まで歩きたいとは思わない。「宮古駅前で500人に聞きました!宮古市民が選んだラーメン30」(宮古市観光協会発行)掲載店はかなり攻め込んだが、磯鶏地区は私にとって未開の地。どうしても車が必要だ。

 磯鶏ラーメン街道攻略を決意した私は、パートナー(運転手)に末広町商店街O田青年部長を指名。スポーツ用品店勤務で営業回りや店番で超多忙だが、そのことは忘れることにした。

 ある二日酔いが抜けきらない三陸宮古の正午過ぎ。こんな昼は汁モノがふさわしい。岩手県はラーメン王国なので、うどん屋(そば屋)が極めて少ない。選択肢はラーメン一択だ。

 <宝介>さんは岩手県を中心に展開していると思しきロードサイド型ラーメンチェーン。県内を車で移動しているとたまに見かけることはあったが、店に飛びこんだことはなかった。O田氏は<宝介>に車を止めた。昼時ゆえ、駐車場も混雑している。

 券売機で「ニラ南蛮ラーメン」(こってり味)780円のスイッチを押す。店頭ノボリ、券売機の位置、メニュー。どれをみてもこのラーメンが思いっきりイチオシのようである。

 私は、迷わなかった。私の最も愛する野菜は「ニラ」。南蛮の意味が分からぬが、イチオシでなくても注文していただろう。二日酔いの荒治療に、ニラとこってり味は頼もしい限りだ。

 テーブル席に着くなり、天国のような一角が眼に飛び込んできた。巨大炊飯器、大量の3種類のキムチ(白菜・ニラ・もやし)が鎮座している。その上には「ごはん ニラ南蛮 キムチ ラーメンご注文の方に限り無料」という力強すぎる巨大POP。食べ放題である。

 一気にテンションが跳ね上がった。ラーメンが出てくる間、私は自ら高揚感を抑えきれずに茶碗にライスを盛った。3種類のキムチもたっぷり小皿にとり、テーブルに運んだ。

 白菜キムチは熱々白御飯に最強クラスである。私的に、大根キムチ(カクテキ)と胡瓜キムチは焼肉が合う。そしてニラキムチは何といってもラーメンである。神戸の<もっこす>、大阪難波の<金龍>といったニラキムチ無料常備ラーメンチェーンをこよなく愛している。

 ちょうど抜群のタイミングで、お待ちかねの「ニラ南蛮ラーメン」が運ばれてきた。なかなかのボリュームである。背脂が鉢一面に浮いている。分厚いチャーシュー、分厚いメンマ、たっぷりの刻みネギも実に心強い。しかし、ニラがどこにもない。どこだ、ニラは?

 目の前のO田氏に疑問を投げかけると、氏はニラ南蛮を指差した。うん?……。私は、事象を把握するために2秒を要した。ニラキムチは取り放題だから自由にトッピングしてくれということらしい。要するに、「こってり醤油豚骨ラーメン」のことだった。〔次夜後編〕

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<宝介>さんの定番(らしい)。ニラ南蛮ラーメン。

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テンション上がる一画。
posted by machi at 06:31| Comment(0) | 岩手県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月29日

第1019夜:旬のイサキの一本釣り【田辺(和歌山)】

 イサキ。淡白で上品な奥深い旨みと筋の通った歯ごたえが嬉しい、焼いてよし、生でよしの海の恵みである。食べる機会が多そうで少ない逸品でもある。

 田辺沖の紀州灘は黒潮の分枝流と瀬戸内の内海水が混じり潮の流れが早く、その海で採れるイサキは身が締まって最高。このようなことを頼もしく紹介したポスターが居酒屋<一吉>さんのトイレに思いっきり張られていたので、思わず見やる。

 手釣りという漁法で一尾一尾丁寧に釣り上げることから体に傷がつかず、活かしたまま寄港し水揚げ前に活〆するので抜群の鮮度を保っているらしい。一本釣りは`採りすぎない´という環境にも配慮した漁方であるそうだ。2014年はかつおの不漁が深刻で、一本釣りの良さが見直されるかもしれない。その代わり、とんでもなく高値になるかもしれない。

 以前このお店で味わった、田辺駅前商店街T中理事長オススメの「白身魚の塩ユッケ」が最高だった。その時はイサキの旬ではなくヒラメで代用したが、創作系が苦手な私が瞠目するほどの見事さ。思わずこのバカブログでも書き散らした(⇒第906夜:白身魚の塩ユッケ【田辺(和歌山)】http://www.aho-boiled.com/article/388455920.html

 理事長や同行氏曰く、本当に旨いのはイサキの塩ユッケであるそうだ、前回はシーズン外れで対面叶わず。今回は旬の6月に初めてお目通りいただけた。

 紀州白梅入り焼酎炭酸割りをヤリながら、口に運ぶ。……。歯ごたえ、淡白、奥深い地味。紀州の恵みにオリーブオイルが太陽を照らす。最高。世界情勢から超ミクロな話まで縦横無尽に歓談しつつ、絶品料理に舌鼓を打つ。田辺駅前商店街呑み会には、イサキ以上にポテトフライが欠かせない。

 24時頃、気風のいい豪快ママさんが切り盛りする<きまま>へ4人できままに立ち寄り。同行諸氏も焼酎をジョッキにロックで鯨飲。ママの絶品アテが満腹だけど嬉しいが、何より珍味なのは「イサキの卵の煮つけ」。こんなに大きいのか。極上のフグの白子にも似た味わい。淡麗かつ重厚、軽さと厚さ。口の中でプチンと弾け、溶ける。これは焼酎が止まらない。

 その4時間前。商店街、会議所、市、まちづくり会社などで構成する田辺創業支援プロジェクト「ビジネスサポート田辺」が2年目キックオフ。初年は受入態勢づくりが主だったが、今年は創業者募集および5回にわたる創業セミナー開催。第1回が8月10日に開講する。

 個別面談、イベントチャレンジ出店等を経て商店街への創業出店につなげていく。活きのいいイサキのごとき若手を傷つけることなく一本釣りし、商店街で活〆するので鮮度抜群。ただし、腐らないようにしっかりと保存し、逆にうまみ成分を高めていかねばならない。

 夜中1時半ごろ店を出る。グデングデン気味になりホテルまでの狭い路地をフラフラ歩いていると、私のカバンが旬のイサキのごとき活きのオニイさんの手荷物にぶつかったらしく、創業希望者を一本釣りするどころか、逆に私が一本釣りされて絡まれてしまった。

(付記)夢へのパスポートは田辺から。創業ゼミ受講生大募集中。詳しくは田辺商工会議所ホームページへ⇒http://www.aikis.or.jp/~t-cci/

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イサキの塩ユッケ。紀州白梅を入れた麦焼酎炭酸割りと最高。
posted by machi at 06:48| Comment(0) | 和歌山県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月28日

第1018夜:タイムリーヒットのヒント〜環山楼塾〜【八尾(大阪)】

 伍魚福。天下御免の春の風物詩「いかなごのくぎ煮」の登録商標を持つ、神戸市長田区最強の珍味メーカーである。前職の神戸新長田時代、市場主催「いかなごのくぎ煮コンテスト」等で共催していただくなど、MCC食品様と同じく鬼のようにお世話になってきた。

 大阪八尾市の若手経営者育成塾「環山楼塾」前半折り返しとなる5回目のセミナーは「ヒットのヒント〜神戸で一番おもしろい会社を目指して」。講師は伍魚福の実質的2代目であるY中社長。超ご多忙の折、1年前からのオファーが実り、講演が実現した。

 私自身、山中社長ご自身の講演拝聴は初めて。「珍味を極める」という自社キャッチフレーズ作成過程とそれを実現するための「エンターテイニング」スパイラルという仕組み。社長ご自身の経歴。自社の経営理念。自社工場を持たず協力工場と連携する「ファブレス経営」。多品種小ロットを実現する「ハブ&スポークシステム」。一般公募による「くぎ煮文学賞」創設……。

 社名の由来には驚かされた。占い師が決定という。5種類の魚を飴で炊いて魚を作るようにとお告げ(アドバイス)があったそうだ。

 廃棄ロスほぼゼロ実現、「新チャネル開発部署」新設しスーパーマーケットに進出、卸通販の事業化、ヒット商品提案制度、コトPOP、経営品質向上プログラムによる社内改革……。経営品質賞への応募は特に取り組む値打ちが高いそうだ。これらを通じ、正社員だけでなくパートからも意見提案、企画を吸いあげる仕組みを確立したことに驚嘆させられる。

 「結果が出なければ行動を変えなければならない」。マネジメント強化プログラムの要点であり、レベルを高める成果行動目標を設定、整理することにつながる。経営スローガン(2014年)は「より良い人生のために、より良い仕事をしよう!」。ライフプランを社員が考え、作ることで会社がそれをいかにサポートできるか考えておられるそうだ。圧巻である。

 創業者はどんな企業でも圧倒的存在感を放つカリスマで、二代目は難しい立場に置かれるそうだ。何となく想像できるが、二代目にしか分からぬ苦労が察せられる。質疑応答でもそのあたりの対処法が話題となった。

 山N社長の講義はとても90分では足りなかった。経営、組織、アイデア……。ヒットどころか走者一掃タイムリーヒットのヒントが詰まっている。いつか上程されるであろうご著書が楽しみだ。

 ヒットのヒントを得るためには、パソコンの前で一人籠っていてもひらめかない。日頃から考える習慣を身に着け、アンテナの感度を高めておく必要がある。常に意識しておくことで、ふとしたキッカケでひらめくが降ってくるものである。私は、激しく首肯した。

 若手たちと講師の懇親会はもつ鍋。もつ鍋は醤油か味噌しか存じ上げなかったが、夏季限定のカレー味があった。生ビールをヤリながら口に運ぶ。刺激、爽快、新鮮、情熱……。

 初めてのカレー味もつ鍋を満喫していると、ヒットのヒントが閃いた。「夏季限定いかなごのくぎ煮カレー味」はどうだろう。帰りの神戸方面へ向かう終電で隣に座るY中社長に伺おうとすると、チルド珍味のごとく爆睡されていた。

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熱弁を振るわれるY中社長。

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山N社長を囲んだ懇親会。
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2014年07月26日

第1017夜:小倉駅「銀河鉄道999弁当」【Ekiben】

 『銀河鉄道999』。壮大なスペースオペラの巨匠・Ⅿ本零士先生の代表作の一つである。『宇宙戦艦ヤマト』『宇宙海賊キャプテンハーロック』『クィーンエメラルダス』など子供の頃、夢中になった(再放送でしたが)。私を含めたアラフォー以上のオヤジたちは、9割以上メーテルファンのはず。メーテル嬢に可愛がられている星野T郎氏を羨ましく感じていたはずだ。

 そんなメーテル嬢がこれ見よがしにプリントされた駅弁を北九州・JR小倉駅在来線改札口横のキヨスク弁当コーナーで捕獲。敵襲された時の車掌さんのように興奮しながらレジへ。調整元は<丸ふじ>様。パッケージを読むと、松本先生は福岡県ご出身だ。

 「人は生きるために生まれてきた運命の生命体よ!!」というメーテル嬢の強烈すぎるメッセージが掛かれた上蓋を空けると、さらに裏表紙に松本先生が掛かれたメーテル嬢の肉筆イラストに、先生からのメッセージが添えられている。「運命とは、まずしっかり食べて、存分に運動して、体を鍛えて育つ事!!」。

 ……。私のような生粋の平凡地球人には禅問答のごとき意味が深すぎるメッセージである。メーテル嬢のイラストの柔らかさと100万光年かけ離れたシュールさに、もはやKO寸前だ。

 駅弁の内容は、梅干しが乗っかった白御飯と甘き鶏そぼろと錦糸卵がたっぷりの北九州名物かしわめし。これらを軸に唐揚、ハンバーグ、揚げ餃子といったお子様ランチのごとき子供の夢あふれる綺羅星たちで構成。私のような999好きオヤジのためにゴボウキンピラを添えているあたりも実に芸が細かい。ゼリーが星型だった点が、銀河鉄道の真骨頂か。

 現代の銀河鉄道・新幹線のぞみ号の車窓を眺めながら、夢駅弁を夢中で平らげた。車窓は星が煌めく大宇宙ではなく、のどかな田園風景かトンネルばかりだったが。切符拝見に来られた車掌さんも透明人間ではなく思いっきりシブい中年オヤジだったが。

 食べ終えた後、捨てるべく中のプラスチック容器を取り出すと、更なる驚愕が待ち構えていた。なんと、銀河鉄道樺n球本社が発行している「福岡エターナル」間の無期限定期が印字されている。アルテメータ星系経由であるそうだ。この乗車パスのために、星野T郎氏の母君は機械伯爵に射殺されたのに。まさか福岡が宇宙への始発駅とは存じ上げなかった。

 自分で切り取らなければならぬとはいえ、天下一品のこってりスープ完食後の丼鉢メッセージのような嬉しさに浮かれていると、さらにメッセージが記されている。

「若者はね、負ける事は考えないものよ。一度や二度しくじっても、最後には勝つと信じている。それが本当の若者よ。」
「今日の屈辱に耐えて、明日。」
「いくつもの正しいと言われていることよりも、心の針を揺らすたったひとつのことを見つけて歩もう」

 駅弁と全く関係なき心の教訓。メーテル嬢、M岡修造氏のようなことをT郎氏に語っていたのだろうか。それともⅯ本先生直々の励ましか。一部、オネエ言葉が混じっているけれど。

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夢と名言と教訓で満腹。
posted by machi at 09:26| Comment(0) | 駅弁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月25日

第1016夜:弱ったボディにエルボードロップ【若松(北九州)】

 若松区。九州屈指の人口を誇る北九州市西部の位置する広大な区である。若戸大橋や歴史的建築建物、商店街、神社、区役所が林立する東部地区と、開発が進む大学村のごときサテライトキャンパス、マンションや住宅がニョキニョキしている西部地区に分かれているようだ。

 広大な農村地帯、地平線まで見渡せそうな巨大風車が映える緑生い茂る工業地帯、昨今色々と全国ニュースになっている漁業ゾーン。一つの区とは思えぬ多様性である。競艇場もある。

 この数年、かなり頻繁に若松入りしているが、普段は東部地区の商店街エリアのみ訪問滞在。広大な若松区をじっくり回ったことはなかった。

 ある初夏の夜。商店街内の焼失した市場関係者対象勉強会終了後、私もお気に入りの鉄板居酒屋へ。メンバーは私を含め4人。儲かりすぎて金の使い道に困ると頼もしい食肉王。本業の傍ら某無添加石鹸の直営店が苦戦しているらしく、バブルのごとく弾ける前に周囲から転業を泡立てられている石鹸王。老舗宝飾貴金属店から八百屋へと華麗なる第二創業を遂げた野菜王子。夜中1時頃まで痛飲し、さらにスナックで夜中3時まで鯨飲した。

 スコールのようなどしゃぶりの中、タクシーを30秒ほど乗ってホテルに戻った記憶があれど、部屋で沈没。目覚めれば、ハリウッド超大作スケールの超弩級二日酔い。朝飯はおろか大浴場すらたどり着けぬ。気合一発チェックアウトして外に出ると、景色がゆがんでいる。雲間から見える太陽が普段より3倍大きく見える。歩くだけでムカつきがこみ上げる。

 野菜王子の運転で広大な若松区を視察する。王子、私と同じペースで鯨飲していたはずだが、絶好調で元気満点。私はトイレに駆け込みつつ、駅キャベとウコンのダブル呑みなど治療を試みたが、一向に恢復しない。荒治療が必要だ。

 こんな昼は生姜と粗挽唐辛子とネギを山ほどぶち込んだ小倉名物ほほ肉うどん(どきどきうどん)が最高なのだが、ここは若松。豚骨ラーメンである。それも、超濃厚ギトギト系で、地元人すら下腹部に力を入れるような危険極まりない一麺が効くのではないか。

 私のリクエストに王子は<エルボー>さんへ。強そうな屋号である。私は気合一発チャーシューメン。程なくして出てきたブツは、チャーシューがはみ出している。それも、濃厚トロトロ系。二日酔いの胃が早くも激しくタップし始めた。

 スープをレンゲでいじる。……。凄まじいトロミである。啜って大丈夫かと心配になるほどだが、意を決した。……。旨い。濃厚。そして、チャーシューが多すぎて一向に減らない。

 半分ほど啜り、替玉を追加。ところが1玉目の最後に一気にボディに来た。ボディにジャブを喰らい続けて、最後にトップロープからエルボードロップを落とされた気分である。

 冷や汗が止まらない。涙目で替玉に挑むが、余計に二日酔いの深度が増した気がした。しかしその数時間後、いつも通りに絶好調。エルボードロップの粗治療が一気に開花したようだ。

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二日酔い必殺の粗治療。
posted by machi at 09:08| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする