2014年06月30日

第998夜:小倉駅「わっしょい百万弁当」【Ekiben】

 「わっしょい百万弁当」。小倉駅構内小倉井筒屋駅弁売場で捕獲した、お祭り系弁当なのに極めてパッケージが地味というギャップが素晴らしい<丸ふじ>様という調整元の逸品である。北九州では東筑軒様&北九州駅弁当様が2強と思われるので、お初にお目にかかる。

 50年前に5市対等合併し北九州市として生まれ変わったが、結婚当初から反りが合わず幾度となく離婚話が頻出し、今に至っても熟年離婚の危機が絶えないという政令市。日本一危険な夜の街には、日本中から警察が応援警邏している。

 喧嘩と何とかは江戸の華、というがパンチパーマや競輪発祥の地・北九州においても同様。魂荒ぶる男たちにとって、祭りは日常だけでなくDNAに深く刻まれている。当然のごとく各区(合併前の市?)ごとに激しい祭が繰り広げられている。そんな祭を一堂に会すという危険と無謀と融和が同居した催しが「わっしょい百万夏まつり」。それをモチーフにした駅弁だ。

 なぜ百万かというと、百万石という意味ではなく100万人都市と推測されるが、人口100万人を切ったそうであるから、もしかしたら100万石なのかもしれない。パッケージにはメインキャラクターの少年「ちゃちゃ坊」を筆頭にたぬきの「たんたん」、若者「どこどん」、妖精「おどもん」が踊っている。この祭を構成する5つの祭の簡略が記されている。

 「若松五平太ばやし」は五平太という肥前の役人が燃える石を発見し、以来石炭のことを「五平太」と呼んでいた。石炭を運ぶ小さな船「川ひらた」の船頭衆が仕事の合間に船べりを叩き囃子ながら民謡を口ずさんだのが始まりらしい。

 「黒嵩祇園山笠」は喧嘩山笠と言われる県の無形民俗文化財。図書館に設置されている立派さ。車輪を軸に引き回す華やかな人形飾山で、祭礼の幕開け行事のお汐井とりは笹山笠がでるらしい(さっぱり分からぬ)。

 駅弁ブログなので他の3つは省略させていただくが、「大里照山笠」、「戸畑祇園大山笠」「小倉祇園太鼓」がある。個人的には「折尾神楽」も入れて頂きたい。

 前置きが思わず長くなった。頻繁に北九州入りしている私の血も荒ぶってきたのだろうか。新幹線に乗り込み、これらのウンチクをたっぷりじっくり読みこみながら缶ビールをカシュっと開ける。フタを外すと、色とりどりの酒のサカナ系おかずがびっしりだ。

 4つのおにぎり(のり巻、明太子ふりかけ、のりたま、かしわめし)が迫力満点である。すき焼煮がボリュームたっぷり。唐揚げも渋い仕事をこなしている。筍入りコロッケ、コーン、玉子焼、鰯のぬか炊き、しば漬、たたきごぼう、寒天、蒲鉾という北九州の名産らしきおかずが酒のピッチを進ませる。

 私は5つの祭すべて観たこともないが、頭の中がわっしょいわっしょいと祭り太鼓が鳴り響き始めた。溜まったポイントで乗車した新幹線グリーン車は、私の一番山車である。

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2014年06月28日

第997夜:シメの一麺はナポリタンで【若松(北九州)】

 シメの一麺。ラーメン、うどん、冷麺など数あれど、スパゲティも侮ることはできない。スパゲティは居酒屋などのコースメニューとして、シメではなく中入りで登場することも多い。ボリューム感である程度満腹にさせてしまえという店側の戦略が垣間見えぬこともない。

 たらこ、カルボナーラ、和風、ミートソースなど種類は数あれど、ナポリタンの魅力は特に私たち中年にとって他の追従を許さない(気がする)。酒のアテによし、シメによし。難点を上げれば、シメとして啜り始めると余計にアルコールが進み、一向にシメられない点か。

 香ばしくケチャップが焦げた悶絶の香しさ、粘り具合、玉葱の甘み、ベーコンやハムの醸し出すコク。パブロフのオヤジ状態になる。私はウスターソースとタバスコを下品なほどドボドボぶっかけ、ワヒーと心で叫びながら口に運ぶ。フォークなど使わない。そして、あくまでも「スパゲティ」であり、「パスタ」と言いたくない。

 筑豊飯塚の大人気居酒屋で啜った鉄板ナポリタンも印象に残っている。口の周りベトベトにさせるぐらい集中して熊啜する方が、はっきりと旨い。ただし、カレーうどんと同様、白シャツは危険度が倍加する。ナポリタン紳士たるもの、紙エプロンを常にカバンに忍ばせるというエチケットがいずれ主流になるかもしれない。

 2014年5月中旬。北九州市若松地区の中心街にある鉄板居酒屋<TOMATO>さんにて、若松商店街&がんばろう会の皆さま方と懇親会。生ビールやハイボールをクイクイ喉に放り込みながら、絶品料理の笛太鼓。心の中で五平太ばやしが鳴り響く(聞いたことありませんが)。

 牛タン刺身、新じゃがのナントカ炒め、栄螺壺焼、とん平焼のようなネギ焼(2014年バージョンらしい)、ステーキ、すき焼風焼肉……。哀愁とハイカラが同居する風光明媚な港町・若松で繰り広げられる百花繚乱。ハイボールが10分に1度のペースでなぜか空になっていく。

どのメニューも気合が籠っている。中でもシメとして飛び出してきた韓国のり巻には思わず唸らされた。何味と表現したらよいか分からぬ味つけメシ、つまみ易く韓国海苔で軽く巻いたものを並べただけだが、酒のサカナにもなるという優れもの。味付けも抜群だ。

 酒のシメは、麺。少なくともオトナの階段を上り始めたもののシンデレラに出会うことはなかった大学時代から貫きとおした想い出いっぱいの信念が、古いアルバムから剥がれそうになった(意味不明でしょうが、ついて来られる方だがどうぞ)。

 すると、そんな師匠(私)を見かねたのか、まちづくりの弟子・ジュエリーU島氏がさりげなくナポリタンを別途注文してくれていた。わかっているオトコである。トッピングも目玉焼を独り占めし、再度本日2度目のシメに取り掛かった……。ハイボールは、打ち止めにした。私は勧められるまま、冷酒に移行した。

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目玉焼きがセクシー。
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2014年06月27日

第996夜:角打ちの特等席【折尾(北九州)】

 風情溢れる堀川沿い。最高に天気がよく気持ちいい5月中旬休日の夕方。区画整理や街路事業、駅舎立替および高架工事が進められている北九州市折尾地区の折尾商連事務所で打合せを終えた私は、商工会議所八幡サービスセンターのM氏と時間つぶしの散策をしていた。

 JR九州最果ての地のひとつ、若松駅に二人で移動することになっているのだが、出発まで1時間以上時間に余裕が生まれた。どこかで軽く呑みながら時間をつぶそうということになり、歴史と情緒に彩られた川沿い呑み屋ゾーンに足を向けた。

 北九州と言えば、「角打ち」。酒屋が店内で小売売価と同じ値段で提供する立ち飲みが正式に「角打ち」で、ただの「立ち飲み」とは北九州では厳密に区別されている。一方、他所では「角打ち」という言葉の響きが粋なためか、角打ちスタイルを名乗る立ち飲み屋やただの居酒屋も出現してきた。

 川沿いで角打ちの店を探そうとしたが、16時のためか開いている雰囲気の店を見つけられなかった。日中の暑さが和らぎ、川風が気持ちいい時間帯。川沿いを離れ、思いっきり区画整理予定エリアに移動した。そこで、渋すぎるタタヅマイの酒屋が眼前に飛び込んできた。

 恐る恐る店内を観る。真っ暗といってもいいような照度。そこに、まざりっけなしの地元オヤジ汁100%な呑兵衛たちが談笑しつつ巣食っている。イチゲンには高すぎるハードルだ。

 おそらく店内独特のルールが存在すると思われる。普段なら怖気づくが、折尾を含めた八幡地区の商工業を統べるMセンター長が一緒である。M氏も初めてとおっしゃるが、蛮勇を振り絞って飛び込んだ。「いらっしゃ〜い」と愛想よさげな角打ち超熟女の声が優しく心に響く。

 私は「瓶ビール」と注文を告げながらどこかのスペースに陣取ろうとしたが、ここといったスペースがない。店内を鮫歩していると、奥の方は自宅スペースになっており、畳式の部屋に扇風機と相撲を放映中のTVが据えられている。縁側は中庭に面しており、風情満点。そこで一人のオヤジが相撲を観ながら酒と肴を楽しんでいる。店の主人のようである。

 主人は私と目が合うと、手招きした。この座敷に上がって呑んでもよい、というお許しをいただいたようである。私たちは靴を脱ぎ、お邪魔させていただく。

 瓶ビールが運ばれてきた。いきなり大瓶2本である。このあたりがいかにも北九州である。冷えたビールがノドに染み込む。主人は相撲に一喜一憂している。涼しい風が吹き込み、中庭の風情も満点。このような古民家に住んでみたいと思わせる素晴らしい空間だ。

 腰から根が生え、畳に尻が引っ付きそうな居心地の良さ。すると主人はお会計をして帰って行った。主人ではなく、思い切り常連客だったようである。ちなみに2人で1時間ほど相撲を観ながら座敷で大瓶2本。シメて700円ほど。喫茶店より安い極上の贅沢な亜空間である。

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シブい角打ち外観。

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他人の家に上がり込んで勝手に冷蔵庫からビールを取り出して勝手にTVを付けて相撲観戦している感覚に。

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2014年06月24日

第995夜:祭のはじまり【黒崎(北九州)】

 黒崎よさこい祭り。北九州のみならず九州、日本中から80を超えるよさこい連が集結し、狂喜乱舞で街を盛り上げる一大フェスティバルである。第6回(たしか)となる祭りは快晴となった2014年5月17日、18日に開催された。

 大会会長を務めるのは、私もアニキと慕う黒崎の重鎮・H氏。実行委員長は私の年上の弟子でもあり、盟友でもある入E氏。本業の傍ら、よくこれだけの大イベントを見事に仕切れるもんだといつも感心してしまう。

 17日土曜日の正午過ぎ。私たちは筑豊飯塚・K保氏の運転で黒崎入りした。土曜日は前夜祭的な位置づけで、メインは日曜日という。15時から隣町の折尾で打合せがあり、メインの翌日は午前中に帰路につかねばならず、2時間ほどの黒崎滞在となった。

 ひびしんホール芝生広場が本部であり、メインステージのようである。屋台も並んでいる。椅子とテーブルが設置され、芝生にコンパネが敷き詰められている。支度が進められているが、間もなく開会時間となる13時。ところが、全くスタートする気配がない。

 芝生広場にある図書館で珈琲を飲みつつ寛ぎ、商店街をブラブラ散策する。お祭りのためか、お客がいつもよりさらに多いように感じられる。

再度メイン広場に戻ると、大会会長のH氏、実行委員長の入E御夫妻、数年前に見学させていただいたよさこい実行委員会で面識を得て、すっかりFB友達となったK久保ご夫妻にもお会いできた。私の中学校の大先輩で現在北九州を拠点に商業まちづくりコンサルとして全国で大活躍されているS藤先生御夫妻とも旧交を温めることができた。

13時ちょうどだったか覚えていないが、よさこい祭りがとにかく開幕した。ステージで躍動する小さなお子様チームのストリートダンスなどを眺めながら、プチアル中ダメオヤジの私はパイプ椅子に根が張ったかのごとく、ほぼ動かずにビールをノドに流し込む。

よさこい踊りだけでなく、バーのマスターによるジャグリングや急遽展開される総踊りなど、客を飽きさせない仕掛けが随所に散りばめられている。次に演舞するチームが未到着の時は、司会が軽妙洒脱なトークで場をつないでいる。

司会は黒崎の夜のナンバーワンまちづくりホスト・F島氏。私は何度もF島氏のラウンジで記憶を無くしてきた。目覚めればフェイスペインティングを施されていた夜もあった。

F島氏が「今日は、なんと、遠く神戸から来られたお客もいらっしゃいます!」とマイクで放つ。私も神戸から来たのだが、私以外に神戸から黒崎までよさこいを観に来た物好きがいるとは。知り合いかもしれない。

キョロキョロ首を回して神戸人を探していると、マイクが響いた。「あそこに座っているのが、神戸から来たアヅマさんです」。私のことだったようだ。

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2014年06月23日

第994夜:八倍のシアワセ【戸畑(北九州)】

 <八福>。いまだ定義が勉強不足でよくわからぬ北九州戸畑地区で親しまれてきた「戸畑ちゃんぽん」を代表すると思しき老舗の名店である。JR戸畑駅から少々面倒くさいが地下通路を渡って真紅の若戸大橋方面へ向かうメイン通りで旨そうな暖簾を棚引かせている。

 私が所属するFB世界「一日一麺同盟」北九州本部同志方々から、「戸畑といえば八福」と何度もご教授いただいていた。毎月のように北九州や筑豊を訪問している私だが、いつもバタバタで余裕なく、なかなか啜る機会がなかった。

 2年前の冬。<八福>さんに程近い店で揚げたて唐揚入りちゃんぽんに大満足した私は同盟軍FBに投稿すると「八福を攻めるべし」的コメントが多数寄せられた。

 膨大不落の報告書に目途がつき、少し余裕が生まれた霧雨けぶる雨の木曜日。小倉から新飯塚へ向かう途中、私は戸畑で途中下車。念願の<八福>攻めだが、バタバタで持ち時間はわずか20分。それも、戸畑駅で下車して再び乗車する間である。

 駅から徒歩5分程度とはいえ、間に合うとは思えぬ。昼のピークを越えた13時半。行列必至。雨も降っている。時間を惜しむべく、私は駆け足になった。運動不足の足腰に響く。

 <八福>が視界に。暖簾が風で舞う。店の前に誰もいない。並ばずに済みそうだ。間髪入れず暖簾を潜ると、ちょうど一席だけ空いている。

 席に座る前から「何にしましょう〜」と厨房から声がかかる。私はすかさず「ちゃんぽん。え〜っと、大盛」。席についてメニューを眺める。安い。ちゃんぽん400円、大盛でも500円。ラーメン350円、ワンタンメン400円。心震える値段設定である。

 すぐにブツが出てきた。細麺のため茹で時間が短いことが特徴らしい。野菜山盛で気分高揚。麺が全く見えぬ。突き崩すようにワシワシ野菜を口に運ぶ。シャキシャキで絶妙だ。

 麺に辿り着いた時、思わず目を見開いた。チキ●ラーメンのような色と細さ。これが、戸畑ちゃんぽんか。啜る。……。初めて食べる食感。香ばしいのにジャンク感も漂う。

 私は一心不乱になった。自家製と思しきラー油を垂らすとパンチ溢れる仕上がりに。紅生姜入れ放題も嬉しい限り。わずか5分で啜り終えた。

 ただでさえ普通より2倍旨いちゃんぽんに、安さ、ボリュームが加わる。2×2×2=8。8倍のシアワセである。駅ホームから店まで5分。注文して運ばれてくるまで5分。一心不乱熊啜5分。店から駅ホームまで5分。八福20分一本勝負、見事勝利を収める。

 ちなみにこのお店、まちづくり飯塚・K保氏の同級生のご実家。20分一本勝負から2か月後、そのK保氏と再訪。開店直後なのに行列で大賑わい。50円のゆで卵を頬張りながら北九州黒崎・H氏オススメの裏メニュー「ワンタンメンにチャーシュー追加」を注文。鉢一面にそよぐたっぷりチャーシュー。熊啜。……。8倍どころか、800倍のシアワセな旨さだった。

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ちゃんぽん大盛

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裏メニュー?ワンタンメンチャーシュー入り
posted by machi at 06:51| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする