大学生の頃からバーに通うようになったが、スナックは社会人になり初めて上司に連れられてから。最初はママどころか店の女の子にも全く相手にされなかったが、通い始め、初めてボトルをキープして名前をママたちに覚えて頂くとオトナになった気分に。
20年間、日本中のスナックに足を運んできた。出張で二度と行かぬ店でもボトルをキープしてきた。都心では一人セット5000円、ボトルキープ1万、女の子ドリンク1000円が標準だが、地方は3000円以下が圧倒的。キープもあってないようなもの。
都心と地方の物価の違いでは、スナックだけに関すれば地方の方が圧倒的に安い。カウンター&フロアレディ(死語ですね)も都会になじめぬ感たっぷりで、癒し系が多い気がする。
沖縄那覇の繁華街。イチゲンでふらり入ったスナックで、ママが私の顔を見るなり「あらぁ、ヒガちゃん、久しぶり〜」とヒガちゃんボトルを私の前に置いた。戸惑った私を見て、誤りに気付いたらしい。私は西郷T盛氏そっくりの南方顔なので、九州に行くとよく道を聞かれる。
地方、特に気性の荒そうな漁師町のスナックにふらり入ると、私は関西弁なので一発でヨソモノと見抜かれる。ボトルキープの習慣無き地でキープしようものなら、常連客らから凄まじい敵意に晒される。冬にタンクトップでカラオケ熱唱しているオトコは特に要注意だ。
過去多くのスナックのママと相談に乗ってもらい、また相談されてきた。ちなみにスナックが衰退する第一歩は、一人客が増えること。一人客はママまたは意中の女性目当てであることが多い。スナック嬢にとって一人客も団体客も一人でカバーするので複数客の方が経営効率は遥かに高い。放っておけばよいのだから。一方、一人客は難しい。男の嫉妬は鼠も食わない。
桜が満開間近の夜。筑豊飯塚<佳子の父ちゃん>で商店街若旦那衆と迫力満点料理と酒を満喫した後、大流行りスナック<COZU>へ。美人ママが座るなり、同行のN田氏に真剣に10年前アプローチしたが振られたというエピソードを披露。現在、氏は後悔し続けているという。
照れ屋なので一人で飯すら食べにいけないと話す縄T氏だが、この店は別。ママの気を引くために寝たふりするそうだ。一人で行く際、本を持ち込んで読むのは感じが悪いと自覚しているN田氏。ゆえにDVDを持ち込んで店内のカラオケ用スクリーンで鑑賞しているという。しかも『燃えよドラゴン』限定で、『死亡遊戯』『ドラゴン危機一髪』ではダメと力説。
本を読むなら喫茶店へ、DVD観るなら個室ビデオへ行けというママの叫びが聞こえてきそうである。スナックは孤独なオトコの止まり木。廃業しないことを心から願うばかりである。

ママのオッパ●のかわりに私のオ●パイを揉むN田氏(左端の紳士)。