2013年10月中旬。我がボス・宮古市末広町商店街S香理事長に三陸一豊かな漁場と称される宮古市重茂地区の焼ウニをお土産で2ヶも頂いた。カチカチに冷凍したものが保冷バッグに入っている。1ヶあたりの市価は2500円程度という。超高級珍味である。神戸に帰宅直後、意識朦朧で再冷凍。その日は泥酔状態で自宅晩酌どころではなかったからだ。
冷え込みが厳しくなった秋の夜更け。自宅で晩酌のサカナを物色していた私の視界に、冷凍庫内のS香理事長に頂いた焼ウニが飛び込んできた。手にとり、パッケージを改めて読み込む。
この商品、新鮮なウニを鮑の殻に7〜8ヶ分大盛に詰め込み蒸し焼きにしたものであるそうだ。私は蒸ウニと焼ウニを混同していたようだ。改めて、贅沢な一品であることが分かる。レンジで温めるか蒸し器で解凍するらしい。焼ウニなので、温かい方が旨いのだろう。
どの酒で合わせるべきか。発泡酒、甲類焼酎、安バーボン、安ウィスキー、パック赤ワインなどが自宅のあちこちに陣取っていたが、この高級珍味の相棒に相応しいとは思えない。不幸なことに、宮古の地酒は自宅ストックになかった。強いて言えば、好物の黒糖焼酎だろうか。
普段なら重いが晩酌のためなら軽くなる腰をあげた。22時。私は自宅から徒歩10分程度の23時まで空いているスーパーへ足を運んだ。酒売場に直行する。
予想通りだが、宮古どころか岩手の地酒すらなかった。絶望しつつ、何気なく焼酎コーナーに目を向けた。「栗天照」という表示が気になった。宮崎の栗焼酎で、900ml瓶だ。
私のスカスカ空気頭が、久々に躍動し始めた。「うに」は「雲丹」「海胆」と漢字表記するが、「海栗」もある。山の栗と、海の栗。天下無双の栗合戦である。もしかすると、栗焼酎と焼海栗を合わせたのは、人類で私が初めての可能性も無きにしもあらず。偉大な第一歩といえる。
焼海栗をレンジで軽く温める。熱し過ぎると、溶けてしまいそうだ。海栗特有の甘く濃密な湯気が鼻孔をくすぐる。箸でちょびっとつまみ、まずはそのまま口に運ぶ。……。旨みが凝縮されている。贅沢な甘味、旨み、風味、蕩けそうで蕩けない骨格。極上である。栗焼酎ロックで追いかける。……。栗合戦、大正解。口の中の風味を膨らませ、スッと消える心地よさだ。
わさび醤油やすだち瓶果汁をチョン付けして口に運ぶ。……。不思議なことに、味が膨らまない。味が強すぎて海栗の淡くもろく儚い味が消えてしまう。自宅のある「宮古の塩」を試してみる。……。驚愕した。山の栗の味になった。やはり宮古の薬味が合うのだろう。
たっぷりみっちり詰まっている焼海栗。一つ食べ終わるのに、焼酎の4合瓶が半分亡くなってしまう。ねっとり、むっちり、芳醇、豊潤。贅沢極まりない逸品だが、普段はどこで売っているのかさっぱり分からぬ幻の高級珍味である。

焼海栗&栗焼酎晩酌。極楽。
【ONLY POWER,NO BRAIN!】
昨夜(131129)は福岡県飯塚市商店街の若旦那衆と痛飲祭。今朝(131130)は速攻で帰神せねばならぬ予定が消失し、余裕誕生。これから大浴場で酒を抜き、とりあえず博多駅へ。昼から駅構内の居酒屋で酒を入れ直すか、新幹線駅弁昼酌するか、両方欲張ってしまうか迷う焼酎が脳の芯にへばりついている筑豊飯塚の朝。今日も気合一発。皆さま、今夜も御安全に。