2013年07月31日

第776夜:牛丼戦争〜一人晩酌編〜【Aho-Boiled】(前編)

 牛皿。いわゆる牛丼のアタマ、牛丼の御飯抜きである。牛丼の代名詞・Y野家などで楽しむことができる。私はY野家をはじめ、M屋、Sき家などのメジャー牛丼店に何度足を運んだか分からぬが、牛皿を注文したことはなかった。なぜなら牛皿は、完全に酒のアテだからだ。

 ある夏のゲリラ豪雨が止み、今にも虹がかかりそうな夕暮れ時。遅めの昼飯にするか、早めの夕飯にするか迷っていた。なぜ、迷うのか。遅めの昼飯ならアルコール抜きで御飯モノか麺だが、早めの夕飯になるとおかずとアルコールだけになるからだ。心乱れながらフラフラしていると、いつの間にかY野家の前に。自動ドアがプワ〜ンと空いた。

 遅めの昼飯にするか。メニューに一瞥すらくれず、牛丼大盛ツユだく生卵という呪文が口から漏れそうになった時、私の目の前にビールのポスターが飛び込んできた。フェア中らしく、中瓶400円がわずか280円。その横には「ビールにはやっぱり牛皿でしょ!」という表記。

 私は、激しく首肯した。店員さんに中瓶ビールと牛皿を注文。人生初の牛皿である。牛丼屋でビールを呑むことも、初めてではないと思うが記憶にほとんどない。

 店内をぼんやり見渡した。客層が若い。学生グループやひと時も耳からイヤホンが外れない一人客男性らが制圧。10代の女性グループの姿も。アラフォーの私が圧倒的なオヤジである。

 20代前半の頃、牛丼屋で牛皿をアテに一人ビールや酒を呑んでいるオヤジを見て、切なさと哀愁を感じたことを思い出した。ああいうオトナになりたくないな、と感じていたオヤジそのものに自分がなっていることに愕然。誇らしさと恥ずかしさが入り混じった複雑な気分だ。

 瓶ビールが運ばれてきた。間髪いれず牛皿も目の前に置かれる。まずは瓶ビールをY野家ロゴ入りグラスにドボドボ注ぎ、一気にノドに放り込む。……。何という、シアワセ。ああいうオトナに昔はなりたくなかったけど、今はなれてよかったと心の底から喜びを感じる。

 牛皿に七味唐辛子をたっぷり振りかけ、口に運ぶ。……。牛丼のアタマとは、これほど旨いものなのか。肉の歯ごたえ、出汁の味づけ、脂の甘味……。いつも意識せず機械的に`牛丼’として頬張っていると気づかないフトコロの深さがある。そして、わずか240円。居酒屋メニューとして考慮すると、これほどコストパフォーマンスの高いアテはなかなかない。

 私の血液に眠る闘牛士的な野生が目を覚ました。完全に、Y野家で一人居酒屋モードに確変。第2ラウンドに突入だ。瓶ビールをもう1本追加し、今度は新商品らしい「牛カルビ皿」(380円)と「お新香」(90円)を注文。100円以下のオツマミなんて、中々お目にかかれない。

 牛カルビ皿は圧倒的なコクとパンチ力。ビールが最高に進む。牛肉2連発なので、お新香(漬物)のサッパリが嬉しい。そして、当たり前すぎてありがたみに気付かないが、紅生姜獲り放題。酒のサカナによし、肉の脂まみれになった口の中をビシッと引き締める効果あり。料理が出てくる前の間の箸休めに良し。牛丼屋晩酌では、ひときわいい仕事をしている。〔次夜後編〕

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牛皿+瓶ビール(1本目)

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カルビ皿&お新香&瓶ビール(2本目)
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2013年07月30日

第775夜:二次電池バスが宮古を疾走するCM【宮古(岩手)】

 二次電池搭載電気バス。T芝が開発した(たぶん)次世代エネルギー二次電池を搭載した電気バスが、岩手県内陸部の盛岡から三陸沿岸の宮古まで国道106号線を2時間15分かけて疾走している。毎月最低4回はこの路線バスに乗っている私も、意識したことはなかったが乗ったことがあるのかもしれない。2012年12月運行を開始しているそうである。

 岩手県では国土交通省の「平成24年度電気自動車による地域交通グリーン化事業」の支援を受け、陸中海岸国立公園内を運行する路線バスにEVバスを導入したそうだ(東SのHPより)。


 生ビールが最高に旨い7月中旬の夜。宮古滞在中行きつけ居酒屋のカウンターで末広町商店街S香理事長らとゴキュゴキュ喉を鳴らしながら談笑していた。その時、佐K理事長が私の肩を叩き、「ほれ!」とTVを指差した。TVに眼を向けたその瞬間、ウォゥ!と叫び声が漏れた。末広町商店街のK成副理事長が、肩を揺らしながら歌を唄っている映像ではないか。

 私は呆然と口を開けたまま、画面を凝視。わずか10秒程度。画面がめまぐるしく切り替わると、今度は末広町商店街三人娘と称される電気屋さん、ふとん屋さん、文具(本・楽器)屋さんの女将さんたちが軽快にリズムを取りながら唄い踊っている。

 どうやら、CMのようである。だが、いったい何のCMか分からない。観光協会か市の広報なのだろうか。私も以前、宮古市が作成したCMに1秒だけ出演したことがある。

 翌日、CM出演していた小N副理事長にコトの経緯をお聞きする。要するに、T芝の二次電池「SCiB」を搭載した電気バスが宮古市を走る様子を背景に、市民の方々が「東芝電気バスの歌」を順番に歌っていく構成で、東芝の技術が東北の復興を応援している趣旨だそうだ。

 ホームページにCMがアップされている。70秒のフルバージョンを含め、60秒、30秒の3パターン。改めて、じっくり見入った。

 三陸最強の景勝地・浄土ヶ浜や末広町商店街を軽快に走る二次電池搭載バス。商店主以外にも、親子、学校、旅館、バス会社、漁師、市場、地元演歌歌手、映画館の皆さんらが独特のリズムとノリノリ感で楽しそうに唄い踊っている。奥ゆかしさと引っ込み思案が美徳の宮古人らしく、一部照れが先行しノリきれていない感じも実に好ましい。

 このCMは本来、盛岡・宮古間を走る二次電池搭載電気バス車内のみ放映されるプロモーションビデオだったそうだが、ゴールデンタイム枠に進出。岩手県内だけでなく、ぜひ全国に向けて天下とT芝様に気合一発ヘビーローテーションでCMを放っていただきたい。

 本当に被災地かと見間違うような明るく楽しくポップで笑顔溢れるCM、以下のサイトからぜひ御試写あれ。(TOSHIBA AD SCOPE http://www.toshiba-adscope.jp/?p=6777

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T芝二次電池バスCM宮古編
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2013年07月29日

第774夜:天の川に願いを【宮古(岩手)】

 「昼も夜も楽しめる中央通七夕キャンペーン」。岩手県宮古市中央通商店街で2013年7月6日から15日まで開催されていたキャンペーンセールである。お得なクーポン、サービス券もお客に配布され好評を博していた。

 併催イベントとして、津波後の解体区画に七夕・天の川イルミネーションが夜の商店街を7月31日まで眩いLED電球で彩っている。点灯時間は19時30分から22時30分の3時間だ。

 梅雨真っ盛りの7月中旬。点灯直後のイルミネーションを確認した私は、一日の業務を終え、縄暖簾を潜り、商店街の皆さんと生ビールや焼酎をヤリながら海の幸に感涙していた。

 店を出た。雨脚は強まっている。ホテルの貸出傘を、雨粒が激しくタップする。フラフラと皆で2軒目に向かっていると、闇の中でひと際煌めきを放っている一画がある。

 ほろ酔いの私は、露天風呂を一人で楽しんでいる織姫さまを茂みから近づき覗き見るエロ彦星のような気分で、雨に乱反射する灯りに吸い寄せられた。私の愛する常宿・宮古セントラルホテル熊安の壁面だった。多少日中の明るさが残るシラフの19時半と、雨がシトシト振り続けるほろ酔いの21時半では、イルミネーションは全く異なって見える。

 さらに、足を伸ばした。解体区画跡地に、天の川のイルミネーションが施されている。その上に、イルカのイルミネーションが飛び跳ねている。まるで『グランブルー』のワンシーンのようである。私は思わず、息を止めた。

 ガキの頃、七夕の笹飾りに願いを書いた。しかし、何をお願いしたのか全く覚えていない。世界平和ではなかったことだけは確かだ。

 働き始めると、今度は願いを書く立場ではなく、商店街のイベント等でお客さんや幼稚園児らから願いをしたためた短冊を取り付ける立場に変わった。最初はこよりで一つづつ丁寧に取り付けていたが、たまについホッチキスのお世話になることもあった。申し訳ないです。

 織姫と彦星は互いに惹かれあったが、度が過ぎて二人とも働かなくなった。二人の仲を取り持ったものの、それにブチ切れた神様が二人の間に巨大な天の川を流して会えなくしてしまう。落ち込む二人に神様は、ちゃんと働くなら1年の1度だけ合わせてやろうとおっしゃる。それが、神様の使者の鳥が羽を広げて懸け橋になる、7月7日である。

 雨の日は鳥が羽を広げられないらしく、7月7日は晴れないと二人は会えないそうだ。私がイルミネーションを見た日は、雨が降っていたものの7月7日から数日経過した日だった。7月7日の天気は覚えていないが、晴れていたことを祈るばかりだ。

 ほろ酔いの私は雨に濡れながら、天の川のイルミネーションを眺め二つの願いをかけた。一つは、被災地の復興。もう一つは……。

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岩手県宮古市中央通商店街七夕イルミネーション
posted by machi at 08:14| Comment(0) | 岩手県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月26日

第773夜:炭鉱からスィーツへ?【飯塚(福岡)】(後編)

 橋本氏、このドラマ全般で唯一悲惨な境遇を一身に背負っている。呑んだくれで定職も付かず、女房に愛想を尽かされて逃げられたバカオヤジと異様に多い弟妹を、一人バイトで養っている。お住まいも明治の炭鉱小屋と見間違うほどの質素さだ。

 他の出演者は九州のローカルタレントと思われ、不明にも存じ上げなかったが、先生役の女性が一度呑みに誘いたくなるほどスレンダーなさっぱり美人で、高感度高し。普段から不思議に感じているのだが、パティシエの方はあれだけ味見や試食をされるのに、全く太っていない方も多い。私など甘いものをほぼ口にしないのに太っている。

 このドラマの主人公は、登場人物だけでなく、街そのものがもう一人の主役。要所で炭鉱の街の悲哀が画面からにじみ出ている。チラリと映る商店街シーンも、たまたま夜の閉店後の場面ばかりだ。

 定番のトラブルを乗り越えつつ予選を勝ち抜き、東京の決勝進出。スィーツ甲子園に九州代表として出場する3人と先生は、市長を表敬訪問した際、優勝すれば商店街でパレードすることを市長から確約される。あまりにも独特な御褒美に、主人公たちは少々戸惑い気味だ。

 決勝大会では、3人が力を合わせて創作スィーツを3時間で仕上げる。飯塚中央高校の3人が選んだテーマは、ずばり「飯塚」。「ぼた山」を全面的に押し出しながら、様々な歴史や要素をこれでもかとぶち込んだ作品だ。本番もトラブルが発生したが、何とか機転を利かせて完成。審査委員長・スィーツ親方ことS田山親方の口から結果が発表される……。

 筑豊には男女問わず「川筋気質」なるものがあるらしい。最後まで諦めないことだそうで、この言葉がドラマのキーワードにもなっている。川筋気質の筑豊オトコは炭鉱で汗を流した後、甘いものを頬張るという(劇中セリフより)。私の知る筑豊飯塚川筋気質のオトコたちは、飯塚市商店街連合会M田会長を除き、甘いモノとは無縁のド酒呑みしか思い浮かばないのだが。

 ラストシーンは、商店街をパレード。結果は言わずもがな。知人が数名移り込んでいたので思わずコマ送りした。感情移入した私も目頭が熱くなり、TVの前で拍手してしまう。

 飯塚はひよこ饅頭発祥の地(たぶん)であるし、美味しいパン屋も多く、和洋問わずお菓子屋が多い気がする。私は「ぼた山」という語感と形状から「おはぎ」をイメージする。

 炭鉱に代わる産業としてのスィーツ。ドラマの途中は半笑いで受け止めていたが、見終えたとき、これは悪くないコンセプトかもしれぬと思い返した。飯塚ホルモンとぜひ競り合っていただきたい。スィーツが得意ではない私にとっては、飯塚ホルモンに頑張って頂きたいですが。

(付記)
昨日(2013年7月25日)、N●K−BSプレミアムで『めざせグルメスター!「女ごころをつかめ!ほるホル丼(福岡・飯塚)」』が放映されていた。私は未観だが、録画。飯塚ホルモンも快進撃である。

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「飯塚」がテーマのスィーツ。

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見事全国大会優勝。歓喜のパレード。
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2013年07月25日

第772夜:炭鉱からスィーツへ?【飯塚(福岡)】(前編)

 『スィーツ!嗚呼、甘き青春よ』。N●K福岡発地域ドラマである。このような地域発ドラマシリーズは私の生息する神戸でも制作されているのだろうか。

 舞台は炭鉱で一世風靡した福岡県飯塚市。シュガーロードと呼ばれていた(らしい)長崎街道の宿場町である。私は2011年度から飯塚市内の商店街関係者の皆さま方と親しくさせていただいており、年に数回通わせていただいている。思い入れも愛着も深い。半年前にBSで放送されたものを録画したまま放置していたが、2013年夏、ようやく鑑賞する機会を得た。

 高校受験で本命も滑り止めも失敗し、やむ負えず定員割れしていた飯塚中央高校(実在しているのか?)製菓コースに入学した主人公の女学生(S庭ななみ氏)。実家が和菓子屋で、甘いものが好き嫌いのレベルを超越。すべて投げやりに過ごし、いつの間にか3年生に。ちなみに主人公に名前は「カホ」ちゃん。飯塚の地域資源・嘉穂劇場から拝借していると思われる。

 このままなら福岡の中州で字義通り`ひと肌脱いで‘働くしか選択肢がなくなりそうな夏、福岡市のパティシエだった30代半ばの女性が製菓コースの担当教師として赴任する。生徒たちのやる気なさぶりに、先生は初日から阿蘇山のごとく大噴火。生徒と教師の溝は遠賀川よりも深まり、退学希望者続出。前半は救いのない悲惨極まりない展開だ。

 そんな最中、高校生スィーツ甲子園風のイベントが開催されることが判明する。3人一組で九州予選を勝ち抜くと、東京の本大会に出場可能。ところが、エントリー希望者は2名だけ。出場そのものが危ぶまれた時、惚れた野球部のエース(たぶん)の気を引くために、S庭氏が出場を決心する……。

 筑豊飯塚のシンボルと言えば「ボタ山」と呼ばれる炭鉱跡地。石炭産業華やかかりし頃、東京や大阪より栄えていたそうだ(劇中のセリフより)。採掘された石炭は福北ゆたか線の延伸最終地・若松まで運ばれ、港から運び出されていた。このドラマの前年の福岡発地域ドラマが、北九州若松が舞台の『オヤジバトル!』。製作者の深い意図が感じられる。

 ドラマの中で、飯塚市長(役者か本人かは不明)は石炭に代わる産業として、スィーツ産業を掲げていた。ツッコミどころ満載の政策だが、それを公約に当選されたようだ。飯塚の歴史において、炭鉱は切り離せないもの。暇を見つけては炭鉱夫だった夫を偲び、一人で炭鉱を掘り続けている主人公の祖母・もたいま●こ氏の鬼気迫る演技も圧巻だ。

 主人公のパートナーを務める優等生美少女が、『あまち●ん』で大ブレーク中の橋●愛氏。飯塚中の落ちこぼれが集まっている設定の飯塚中央高校製菓コースに、一人際立って賢そうで上品、礼儀正しく大人びたな雰囲気を漂わせている。以前A辻行人氏原作のホラーミステリー映画『アナザー』で、すっかり私は橋本氏に萌えてしまった。〔次夜後編〕

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まちづくり飯塚・K保氏に頂いたクリアファイル
posted by machi at 07:00| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする