2013年06月30日

第754夜:白昼夢に誘うホルモン焼うどん【佐用(兵庫)】

 ホルモン焼うどん。鉄板こなもん文化が根ざしている地域では決して珍しくないが、兵庫県佐用町ではB級ご当地グルメとして「ホルモン焼うどん」を前面に押し出している。鉄板こなもんの街に生まれ育った私にも、こだわったホルモン焼うどんの食べ方がある。ただし、一般的ではないので初心者にはおススメしない流儀である。

 鉄板の上にアルミホイルを敷く。出来上がったブツを乗せる。神戸長田独自の激辛ソース「どろ」をたっぷりと垂らす。そして、生ビールではなく熱燗。うどんとホルモンの熱さ、ソースの辛さ、鉄板の熱気を浴びながら、熱燗。汗が噴き出し、狂おしくなる。もう我慢できぬと限界に達した時、冷たい生を注文。一気に4分の3ほどノドに注ぎこむ。やみつきになる。

 姫路から電車でコトコト1時間。2013年6月中旬、私は数年ぶりに佐用に訪れた。人口2万人程度のノドカで気持ちいい町だが、数年前の大洪水で大勢の方がお亡くなりになった豪雨被災地だ。被災の面影はほとんどないが、川の氾濫を防ぐ護岸工事の真っ最中だった。

 佐用の活性化を牽引するC種氏は、私の10年来の友人。私の東日本大震災商業復興支援「復興野郎Bチーム」の一員として、また兵庫県とも連携しながら東北被災各地で活躍している。

 私は佐用に数回訪れたことがあるが、本場のホルモン焼きうどんチェリーである。町内には十数件。C種氏行きつけの店に案内して頂く。<ふじ>。店内は迷路の様だが、超満員である。

 ご当地名物には、地元人にしか分からぬ流儀があるものが多い。私はC種氏に全投げする。氏はうどん4玉に、ホルモンやミノなどを頼みだした。ホルモン焼きうどんは、うどん(野菜サービス)に好きな部位を組み合わせて焼くようだ。出てくるまでの間、メニューを眺める。

 「初級」(うどん2玉・ホルモン1人前・野菜)750円、「食べ歩き」(うどん1玉・ホルモン半分・野菜)500円。実に分かりやすく良心的だ。何より目を奪われたのは学生専用「学割」(うどん10玉・ホルモン1人前・豚バラ1人前・野菜)1980円。一人可、女学生可という注記もある。金のない学生や部活帰りの女学生たちがワシワシ頬張っている姿は微笑ましい。

 鉄板の上いっぱいに、ホルモン焼きうどんが広げられた。タレは2種類あり、醤油ベースと味噌ベース。C種氏いわく、2種類を混ぜ合わせてつけダレにして頬張るのが佐用流儀という。

 私はまずは別々に味わってみた。充分に旨い。流儀に従い、2種類のタレをまぜて啜った。……。弾け、爆発した。旨さがさらに倍加した。卓上のニンニクやユズも加えて味の変化を満喫。ホルモンもプリプリ。うどんが焦げて香ばしくなると、違った食感も楽しめる。

 いつの間にか、生ビールを手にしていた。ホルモンのシコシコと甘味が口の中に広がる。……。ふと気付くと、グラスが空になっている。白シャツにハネを飛ばさぬよううどんを啜る。……。ふと気付くと、グラスに生が満たされている。外は、ぎらつく太陽。私は、白昼夢を見ているようだ。知らぬ間に生ビールが減ったり増えたりしているのだから。

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鉄板一面に広がる佐用ホルモン焼うどん。醤油と味噌ベースのツケダレで。

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2013年06月28日

第753夜:38歳の高校生〜100円商店街〜【宮古(岩手)】(後編)

 街なか潮干狩りコーナー担当の私は、寸暇を惜しんで100円商店街を楽しんだ。今までの復興市で最も「あきんど」らしさが醸し出されていた。

 大通一丁目の葬儀仏具店<なごみ>さんでは、店頭で「念数珠ブレスレット」が100円で売られていた。思わず手に取り、店内のレジに向かった。躁状態の私の眼に、レジ前にあった木のケースに入った数珠が飛び込んできた。その瞬間、自宅の私の数珠が紐切れで珠が弾けてしまったため、一つもないことを思い出した。

 フラフラと手を伸ばし、100円数珠ブレスレットと一緒にレジに渡した。お会計、4,300円。100円ブレスレットを買うついでに、4200円の本格数珠を買ってしまう。エビでタイどころではない。まさに斎T先生の著書タイトル「100円商店街の魔法」にかかったようだ。

 「ストレス解消!パンチ乱れ打ち3分間」は末広町商店街<スポーツオールス>さんの100円ゲーム。おもちゃのようなサンドバッグを連打するのだが、30秒で息が切れる。これを3分間12ラウンド闘うボクサーの凄みを少しだけ味わうことができた。道行く来場者が怪訝な目で私を見ているのが分かる。メタボオヤジがヘロヘロしながら猫パンチしているのだから。

 思わず100円でワゴン積みされていたM古工業高校のイモジャージ(上下)、Tシャツも大量購入。店内で精算した私は翌日、ウォーキングシューズとサンダル2足を勢い買い。100円商店街の魔法は私を酔わせて離さない。

 大盛況で初日復興市終了。撤収を終え、ホテルに戻ってシャワーを浴びた私は着替えて夜の宮古に繰り出そうとした。作業着はドロドロなので着がえたい。そんな私の視界に、イモジャージと宮工Tシャツが飛び込んできた。

 サイズをよく見ず買ったが、ジャージの上は5L、Tシャツ4枚は2Lから5Lまでバラバラ。返品しようなど全く思わなかった。ただ笑ってしまうのが100円商店街の魅力なのだろう。

 2013年6月8日時点、私は38歳である。幼少期から現在まで常に8歳程度つねに加算されるほど老けているセイウチ系メタボオヤジだが、高校体操服とジャージを着ると、もしかすると100円商店街の魔法で20歳若返るかもしれない。居酒屋やスナックで校章入りの体操服やイモジャで呑んでいたら、高校生と間違われて警察に通報され、補導されるかもしれない。

 私は観たことないが、『35歳の高校生』というドラマが同時期に放映されているそうだ。30代の高校生ブームが到来しているなら、私もそのブームに乗っかってみよう。

 さっそく着替え、何となく鏡に映った自分を見た。……。そこには、セイウチ体型のメタボコスプレオヤジが映っていた。変質者にしか見えない。高校生どころか、‘老けた高校生’にすら見えない。気にせず着こんで呑みに行ったが、高校生に間違われることはなかった。気味悪がられただけだった。100円商店街の強力な魔法も、若返りには効かなかったようである。

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居酒屋にて(撮影:末広町O田青年会長)
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2013年06月27日

第752夜:38歳の高校生〜100円商店街〜【宮古(岩手)】(前編)

 「宮古街なかまるごと100円商店街」。「宮古街なか復興市」初日メインイベントとして末広町、中央通商店街をはじめ中心市街地の約70店舗が参加。宮古では初開催で、三陸最大規模と言える。本番に備え、100円商店街の創始者であるS藤先生をお招きして勉強会やワークショップなどを重ねてきた。ユニークなものをご紹介する。

■弾いてみて!ピアノとふれあう10分間
■眉カット、美しくなるリンパエステ
■いつもの中華料理(5品)を小皿で
■ズボン丈詰め(片足)
■100円クッキーを買ってパイをゲットのチャンス
■これを食べれば100歳まで生きるかも?もりそば1杯
■野球部限定!丸刈っぱなし(シャンプーはセルフでね)
■トップでもサイドでもアイロン仕上げ
■ウェハースつかみどり
■肩・腰・腕のコリをほぐしてスッキリ!3分バイブ
■野菜・果物詰め放題1袋
■使い道いろいろオーダーカーテン地1mカット

 私は丸刈りにしてほしかったが野球部ではないし、トップかサイドにアイロンをあててもらおうかと思ったが、すでに超短髪のゴルゴ刈り。残念ながら断念した。

 私のこれまで見てきた100円商店街は大阪風の独特なノリと雰囲気で、店主も声を張り上げ、ユーモアを凝らす。お客と見事な掛け合いを見せながら熱狂の渦を作りだす。基本的に店主もお客も大人しい引っ込み思案な宮古人の間で、100円商店街は受け入れられるのだろうか。

 イベント当日。テレビCMやチラシが功を奏したのか、併催した復興市の集客なのか、天気に異様なほど恵まれたためかお客は100円商店街に殺到。完売商品が続出した。開始早々から売るものが無くなり、急遽かき氷をはじめ長蛇の列をこしらえた制服屋さんの機転もお見事だ。

 車両通行規制した末広町だけでなく、大通1丁目や中央通商店街にもチラシを片手にしたお客を数多く見かけた。店主も手ごたえがあったようで、「今度いつやるの?」という声も聞こえてきた。ほとんど歩かない宮古人を、全長1km回遊させるのだからスバらしい企画である。

 参加店対象アンケート結果はまだ出ていないが、即席反省会に参加した店舗からは「土曜日(100円商店街実施日)の方が日曜(未実施)より売上が良かった」「店内でレジするアイデアはスバらしい。ついでにちょこちょこ買っていただいた」などの声が上がった。〔次夜後編〕

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3分間でストレス解消、100円で。
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2013年06月26日

第751夜:晴れ、時々やませ〜宮古街なか復興市2013初夏〜【宮古(岩手)】

 「宮古街なか復興市」。過去4回開催してきた「宮古あきんど復興市」が、「街なか」に装いを変え再出発。2013年6月8日から2日間、宮古市中心市街地一体で開催された。

 例年、6月開催の復興市は雨に悩まされたが、今回は日焼けでシャワーを浴びることが困難なほどのぎらつくような快晴。10時の開始前から小さな子供を連れたニューファミリーが殺到。普段、どこにこれだけ若い世代が潜んでいるのか不思議なほどである。

 8日限定で開催した三陸最大規模の100円商店街イベント。初開催だったが、どの店も盛況で、早々と完売した店も続出。復興市の名物企画になりそうだ。

 ステージも小さな子供から元気なお年寄りまで大活躍。観衆は手拍子なくじっと見入っている独特の宮古スタイルを貫いているが、上品に楽しんでいることは伝わってくる。どんな演技演奏でも、途中で席を立ったりせず下品なヤジも飛ばさないのが宮古風である。

 私は昨年に引き続き、街なか潮干狩りコーナーを担当。R命館大学ボランティアの皆さま方らの見事な活躍で大盛況。子供たちの笑顔がはじけたが、周囲の親の方が必至の形相だ。

 大勢の観衆を集めた中央通商店街のドックショーもシュールで斬新だった。10匹ほどのチワワがテキ屋のオヤジの号令に基づいて芸をするのだが、ハプニング続出。チワワが逃げ出す始末。オヤジとチワワの意思疎通が盤石と言えず、子供も大人もみんな引き気味。チワワのドッグショーなのに不穏な空気に包まれる独特の世界感に、私は苦笑し続けた。

 岩手県ゆるキャラ「うにっち」、宮古市ゆるキャラ「サーモンくん&みやこちゃん」、よさこい連をはじめダンスチームが会場を盛り上げる。巨大トランポリンも列が途切れない。ビールや焼鳥、味噌田楽もよく売れていたようだ。今回も大勢のボランティアの方々に支えられた。

 来場者アンケートもまだ未集計だが、復興市としては完全に定着してきたようだ。定着するということは、少ない広報費用で大きな効果が望める段階に上がること。秋の復興市に向けての課題も多いが、つねにオリジナリティも付けくわえていかねばならない。

 9日は宮古市長選公示日。中央通商店街ほぼ唯一の空区画に現職市長が選挙事務所を構え、TVカメラがズラリ並ぶ中、9時前に事務所開きと決起の挨拶。公示締切の17時までに現職以外立候補がなく、無投票再選。中央通に万歳三唱がこだましていた。万歳三唱後の選挙事務所撤収も凄まじいスピード。翌10日、選挙事務所周辺は何事もなかったかのような静けさだ。

 時折会場に押し寄せてきた宮古の「やませ」。海上に霧のようにモクモクと覆い始める。それが街なかに押し寄せると、一気に体感温度が10度近く低くなったように感じられる。巨大な業務用の冷蔵庫に入った時の感覚だ。日差しが強く暑いのに寒いという不思議な気分になる。

 被災商業地はこれからも時折やませのような困難に襲われることもある。しかし、一時的に耐え凌げば、スバらしい快晴が続いているのだから。

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次回は2013年10月中旬に開催。
posted by machi at 08:44| Comment(0) | 岩手県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月25日

第750夜:新幹線スタジアム:BATTLE-3〜和食の鉄人編〜【Ekiben】

 アラスカ天然シーフード。水質世界一と言われる世界屈指の大漁場の海の恵みをふんだんに使用した駅弁がある。東京駅構内の極めて分かりにくいところにある高級料亭系駅弁ばかり集めた一画で「中村孝明監修特製解析御膳」を捕獲。『料理のT人』の和食のM場鉄人の跡を確かついだ鉄人が監修している。

 これまで中華の鉄人監修駅弁、フレンチの鉄人監修駅弁の舌鼓を打ってきた。鉄人監修シリーズ3部作完結編である。

 新幹線に乗り込んだ私は、カシュッとサッポロ黒ラベルのプルトップを引いた。グビグビとノドに放り込んだ。新横浜を通り過ぎた頃、私はしずしずとフタを開けた。……。名に恥じぬ見事な懐石ぶりである。日本の伝統美が凝縮されている。

 全体の4分の1を「鱈御飯」が占めている。鱈の出汁と身で炊きこまれた旨みが詰まった逸品のようである。その他の4分の3は、12分割されている。それぞれのゾーンに揚げもの、煮物、練りモノなどが効果的に配置されている。

 箸を割った私は、全体の陣容を見渡した。どこから攻めるべきか。……。全く攻めどころが見当たらない。完成した様式美を崩す恐怖に駆られたのではない。どのオカズがメインなのか、さっぱり読めないのだ。

 一般的な駅弁には`センター‘がいる。トンカツ、フライ、焼き魚……。これら華やかで存在感のあるセンターを取り巻くように、煮物や玉子焼き、蒲鉾、漬物といった脇役陣がセンターを支え、盛り上げている。

 観衆(私)はいきなりセンターを攻めることはしない。まずはシブい働きをこなす脇役達に声援を送り、残り3分の1になったところでセンターにアタック。以降、山を下っていくように平らげていく。センターがいなければ、単なる平坦な山である。某アイドルグループのセンターしかり、プロ野球のエースや四番しかり、居ると居ないでは全く魅力が異なってくる。

 私は、センターのいない鉄人監修の駅弁を、右端ブロックから単純に下りながら、攻め始めた。一つ一つは上品な味づけで隙がない。ただし、濃厚オヤジの私には少々物足らぬ。

 食べながら、20年前の『料理のT人』番組に思いを馳せた。いつも鉄人たちの創造力と手際に感心させられていたが、そういえば私が挑んでいるこの駅弁監修の2代目和食鉄人は、よく挑戦者に負けていたような気がする。気のせいだろうけど。

 中華、フレンチ、和。足掛け3カ月ほどかけて、鉄人たちの妙技に酔いしれた。新幹線車内の折りたたみテーブルで繰り広げた饗宴の勝者を、一人で勝手に審査した。審査時間、1秒もかからなかった。あくまでも私の好みであるが、主宰者になった気分で、心で叫んだ。

「勝者、……、中華の鉄人!」。圧勝である。

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東京駅弁「中村孝明監修特製懐石御膳」
posted by machi at 06:14| Comment(0) | 駅弁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする