鉄板の上にアルミホイルを敷く。出来上がったブツを乗せる。神戸長田独自の激辛ソース「どろ」をたっぷりと垂らす。そして、生ビールではなく熱燗。うどんとホルモンの熱さ、ソースの辛さ、鉄板の熱気を浴びながら、熱燗。汗が噴き出し、狂おしくなる。もう我慢できぬと限界に達した時、冷たい生を注文。一気に4分の3ほどノドに注ぎこむ。やみつきになる。
姫路から電車でコトコト1時間。2013年6月中旬、私は数年ぶりに佐用に訪れた。人口2万人程度のノドカで気持ちいい町だが、数年前の大洪水で大勢の方がお亡くなりになった豪雨被災地だ。被災の面影はほとんどないが、川の氾濫を防ぐ護岸工事の真っ最中だった。
佐用の活性化を牽引するC種氏は、私の10年来の友人。私の東日本大震災商業復興支援「復興野郎Bチーム」の一員として、また兵庫県とも連携しながら東北被災各地で活躍している。
私は佐用に数回訪れたことがあるが、本場のホルモン焼きうどんチェリーである。町内には十数件。C種氏行きつけの店に案内して頂く。<ふじ>。店内は迷路の様だが、超満員である。
ご当地名物には、地元人にしか分からぬ流儀があるものが多い。私はC種氏に全投げする。氏はうどん4玉に、ホルモンやミノなどを頼みだした。ホルモン焼きうどんは、うどん(野菜サービス)に好きな部位を組み合わせて焼くようだ。出てくるまでの間、メニューを眺める。
「初級」(うどん2玉・ホルモン1人前・野菜)750円、「食べ歩き」(うどん1玉・ホルモン半分・野菜)500円。実に分かりやすく良心的だ。何より目を奪われたのは学生専用「学割」(うどん10玉・ホルモン1人前・豚バラ1人前・野菜)1980円。一人可、女学生可という注記もある。金のない学生や部活帰りの女学生たちがワシワシ頬張っている姿は微笑ましい。
鉄板の上いっぱいに、ホルモン焼きうどんが広げられた。タレは2種類あり、醤油ベースと味噌ベース。C種氏いわく、2種類を混ぜ合わせてつけダレにして頬張るのが佐用流儀という。
私はまずは別々に味わってみた。充分に旨い。流儀に従い、2種類のタレをまぜて啜った。……。弾け、爆発した。旨さがさらに倍加した。卓上のニンニクやユズも加えて味の変化を満喫。ホルモンもプリプリ。うどんが焦げて香ばしくなると、違った食感も楽しめる。
いつの間にか、生ビールを手にしていた。ホルモンのシコシコと甘味が口の中に広がる。……。ふと気付くと、グラスが空になっている。白シャツにハネを飛ばさぬよううどんを啜る。……。ふと気付くと、グラスに生が満たされている。外は、ぎらつく太陽。私は、白昼夢を見ているようだ。知らぬ間に生ビールが減ったり増えたりしているのだから。
鉄板一面に広がる佐用ホルモン焼うどん。醤油と味噌ベースのツケダレで。
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