2013年01月30日

第651夜:ワニとダチョウ【岡崎(愛知)】

 <FANAKA>。愛知県岡崎市の名鉄東岡崎駅に近いワールドワイドな居酒屋である。2012年12月上旬。忘年会シーズン真っ盛りでほとんどの店が満席で入れない中、運よくカウンターだけ開いていた。岡崎まちづくり関係者の皆さま方と横一列にズラリと並んだ。

 私の目の前には嬉しいことに、生ギネスのサーバーがある。さらにサント●―プレミアムモルツの「黒」生ビールもある。黒ビールを愛する私はイッパツ目から黒生で勝負を挑んだ。

 本日のオススメメニューを観た。……。私は目を剥いた。かなり字義どおりワイルドな料理が並んでいる。定番料理も充実しているが、初めて味わう食材ばかりに目が奪われた。

 「鹿の炙りたたき」。鹿肉を食べた経験は数少ないがある。見た目は完全にローストビーフ。タレにチョンヅケして、口に運ぶ。……。淡泊で上品な赤身肉である。味もじんわりと深い。噛みしめるほどに旨みがあふれ出る。牛と比べると歯ごたえは少し手強いものの、これぞ鹿肉という雰囲気だ(よく分かりませんが)。

 「ダチョウのフィレ肉サイコロステーキ」。ダチョウと言われなければ、ビジュアルは完全に牛肉のサイコロステーキ。鶏肉っぽさが微塵も感じられない。TVでダチョウ倶●部はよく見るが、口に入れるのは初めてである。

 箸で放り込んだ。……。見た目だけでなく、味も牛肉に限りなく近い。近いというより、知らずに食べたら牛肉と勘違いするはずだ。そして牛肉より柔らかい。驚くべき逸品だ。

 「クロコダイルワニのティッカ」。ワニも初めてである。ティッカという調理法も初めてだ。ママさんに意味をお聞きしたのだが、黒生ビールの呑み過ぎですっかり忘れてしまった。こちらの料理、見た目は鶏肉である。

 恐る恐る口に運んだ。……。これは鶏肉ではないのか。私はワニならぬキツネに抓まれた気分になった。これも実にあっさりとしているのに、味わい深い。凶暴な外見とは裏腹に、こんなにキュートな身が詰まっていたとは。

 野菜のアフリカン炒めというのも味わった。あんかけ湯豆腐のような逸品も腹に入れた。残念ながら「カンガルーのワサビ醤油ステーキ」は完売のためチャレンジできなかった。

 ワイルドと繊細が同居した胸くすぐられる極上の品々。これらの料理には黒生ビールや生ギネスが相性抜群。夜中1時までひたすら無国籍料理とまちづくり談義をサカナに黒生ビールを呑み続けた。進取に富んだ三河商人の底力を十二分に味わった。

 八丁味噌の故郷で味わう、多国籍かつ無国籍な逸品のつるべ打ち。私は一瞬、自分がどこにいるのか分からなくなった。

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ダチョウのフィレ肉サイコロステーキ

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クロコダイルワニのティッカ

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2013年01月29日

第650夜:八丁味噌のふるさと【岡崎(愛知)】

 八丁味噌。600年前から醸造されている独得の甘味を有する味噌である。名古屋人にはソウルテイストだが、それ以外人は好みがはっきりと分かれるようだ。

 10年以上前。私は名古屋市内の某店で「味噌カツ」を注文した。神戸長田育ちの私にとって、カツ系は当然のようにソース。しかも長田独自の激辛ソース「どろソース」に慣れ親しんでいるため、八丁味噌は私的にありえなかった。

 混雑している店内のカウンターに腰掛けた私は、関西弁で声高々に注文した。

「え〜っと、味噌カツ。普通のソースで食べたいから、八丁味噌かけんといて」。

 その瞬間、店内の雰囲気がキーンと凍ったことが肌身で感じた。味噌カツ堪能中のサラリーマンから厳しい視線と舌打ちが聞こえてくる。頑固そうな店主は、無言で私に一瞥をくれただけ。今思い出すだけでも強烈なアウェー感と、私の場をわきまえない非常識ぶりに寒気がする。阪神ファンが集う居酒屋で巨人の応援をするような蛮行。よく無事に店を出られたものだ。

 2012年11月下旬。私は御縁をいただき、愛知県岡崎市に初上陸した。その夜、岡崎まちゼミ関係者の方々との懇親会に乱した私は、名古屋から名鉄で30分の岡崎も八丁味噌文化なのか軽い気持ちでお聞きした。一瞬の間の後、何を言ってるんだと厳しい視線を感じた。私も存じ上げなかったが、八丁味噌は名古屋発祥ではなく、岡崎だったのだ。

 岡崎城から西に八丁の距離にある八丁村で生まれたのが名称の由来。戦国時代は兵士の食糧として重宝された。岡崎市内に八丁味噌メーカーが2社あり、この2社で商標を保有し、かつすべての生産を賄っているという。名鉄東岡崎駅土産売場は八丁味噌商品が所狭しだ。

 私のお気に入りは八丁味噌汁のフリーズドライ。熱湯を注ぐだけで香り高い極上の赤出汁が誕生する。ちなみに赤出汁と八丁味噌汁は全く別物らしく、その理由もお聞きしたような気がするが酔っ払っている時だったので、いまだ区別が私の中でつかない。

 名古屋駅で捕獲した駅弁「尾張牛牛めし」は、八丁味噌が別容器に入っている。半分はストレートで、残り半分は八丁味噌をかけて頬張る。旨さが倍増する。

 麺偏愛者の私に嬉しいカップ麺もある。名鉄東岡崎駅売店で捕獲した「八丁味噌の町 岡崎味噌煮込み風うどん」。450円という破格の高値を誇る、北海道のとかち麺工房様と八丁味噌2大メーカー・カクキュー様のコラボ商品である。八丁味噌100%使用、氷結乾燥ノンフライ麺であるそうだ。‘氷結’というあたりに北海道の心意気を感じる。

 ずるずる啜る。……。麺も見事だが、甘さゼロの本格八丁味噌を心行くまで堪能できる。生卵投入作戦もおススメだ。ただし、東海人以外は夏ではなく冬に啜るべきだろう。

 私もすっかり八丁味噌の奥深さに目覚めた。三河に入らば三河に従え。もう、味噌カツ専門店で八丁味噌抜きという暴挙を繰り返すことはないだろう。

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八丁味噌をまぶして堪能する名古屋駅弁「尾張牛牛めし」。

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カクキュー&とかち麺工房のコラボカップ麺。八丁味噌を100%使用した「岡崎味噌煮込み風うどん」。

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2013年01月27日

第649夜:名古屋駅「みそかつ&えびふりゃ〜」「名古屋みそかつ弁当」【Ekiben】

 「みそかつ&えびふりゃ〜」。百花繚乱の賑わいを見せる名古屋駅駅弁ワールドにおいて、最も王道かつ定番といえるJR東海パッセンジャーズ様の作品である。

 あんかけスパゲティ、きしめん、ひつまぶし、名古屋コーチン、手羽先、カレーうどん、天むす、ういろう、小倉トースト…。名古屋名物は数あれど、味噌カツのインパクトは他の追従を許さない。名古屋圏以外でまず食べることはなく、最も賛否渦巻く独得の食べ物といえる。

 名古屋駅の豊富な駅弁の中でも、味噌カツ系が最も幅を利かせているような気がする。味噌カツが思いっきり前面に出ている作品もあれば、多種多様な名古屋名物を一堂にぶち込んだラインナップの中で5番バッターの煌めきを放つ逸品もある。

 「みそかつ&えびふりゃ〜」は、巨大な味噌カツ2ヶと大きなエビフリャ〜1本がクリーンナップを形成。エビフリャ〜も名古屋名物に分類されるのかもしれないが、たっぷりと味噌に浸っている。褐色というより、真っ黒だ。外国人メジャーリーガーのような迫力である。

 分厚いカツを齧る。……。舌の上に濃厚な甘味としょっぱさが覆いかぶさる。すかさず白御飯で追いかける。ようやく口の中で中和する。エビフリャ〜も頬張る。プリプリだが、味の濃さは同じ。もはや口の中では豚と海老の区別がつかぬ。すべての食材をフラットにしてしまうほど、味噌ダレはパワーに満ちている。

 「名古屋みそかつ弁当」も同じくJR東海パッセンジャーズ様の作品。エビフリャ〜のかわりに、尻ごみしてしまうような真っ黒な味噌カツ3枚という陣容。頬張ったが、同じメーカーの味噌カツなので、味の区別が全くつかぬ。

 共通していることは、御飯がいくらあっても足りないということ。これほど飯が進むカツも珍しい。炊き込みご飯やピラフではなく、真っ白な米が最も相応しい。

 たまたま冬に頬張ったからかもしれないが、ビールではなく焼酎の湯割りで口の中をさっぱりしたくなる。ビールやチューハイ、水や茶ではこの濃厚さに打ち勝てない気がする。

 この2駅弁、味の違いを楽しむならばエビフリャ〜入りに軍配が上がる。味噌カツ以外のサイドおかず群も限りなく同じだが、エビフリャ〜なしは玉子焼が1切投入されており、黄色が野に咲くたんぽぽのように煌めいている。これはこれで実にポイントが高い。

 どちらの作品も味噌カツを心ゆくまで堪能できる。味噌カツは1枚でいいや、という方は幕の内系をおススメする。この2駅弁以外にも味噌カツを前面に押し出した駅弁が豊富に存在する。たしかに、駅弁にこれほどピッタリはまるご当地食材も珍しいかもしれない。

 「松浦のみそカツ」という駅弁もなかなかの実力だった。<だるま>というメーカーも大暴れしていると伝え聞く。私の八丁味噌甘め人生は、スタートしたばかりだ。

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名古屋駅弁「みそかつ&えびふりゃ〜」

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名古屋駅弁「名古屋みそかつ弁当」
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2013年01月26日

第648夜:クマに勝てる男【宮古(岩手)】

 マタギ。主に東北地方集団で狩猟するクマ獲り猟師のことである。青森や秋田がマタギの本場らしいが、岩手県三陸沿岸にも、群れることなき孤高のマタギがいた。岩手県宮古市末広町商店街のS香理事長である。そういえば昔、クマと闘った外国人格闘家もいたような気がする。

 元柔道家のS香理事長は丸坊主に髭面、身長約180pのがっしりした大男。夏祭りの時、ただ無愛想に歩いているだけで地元のヤンキーが視線を下に向けて道を開けるほどの迫力と威圧感である。腕っぷしだけでなく、どんな理屈を用いても論破させることなど不可能なディベート力も日本屈指。言い負かされるところを私は見たことがない。

 そんなS香氏は酒量もヒグマなみだが、酔っ払っている時「オレはクマに勝てる」と頻繁に豪語する。ただし、クマも柔道着を着ることが条件という。周囲はいつも苦笑している。S香理事長vsクマ。「宮古あきんど復興市」のメインイベントとしてぜひ企画したいが、誰が柔道着をクマに着せるのかという点がクリアできず、実現への道は険しい。

 師走のある極寒の夜。私とS香理事長は居酒屋とスナックをハシゴしながらヒグマのように呑み散らかした。二人ともかなり酔っている。フラフラとホテルに帰ろうとする私を理事長がもう一軒と誘う。千鳥足でぼんやり着いていくと、理事長の御自宅だった。

 時間は23時を大きく回っていた気がする。酔っ払いのダンナがアポなしで夜中に酔っ払いを連れて帰るという暴挙。私は緊張と申し訳なさで一気に目が覚めた。主不在のS香家では奥様と大学から帰省中の息子さんと娘さん(Eイスケ君&Sズノちゃん)が一家団欒寛がれていた。

 厚かましいヨゴレの私は遠慮せずシングルモルトウィスキーをがぶ飲みし、オツマミを美味しく頂戴する。理事長と私の会話は共に呂律が回っておらず、全くの意味不明だったそうだ。

 Sズノちゃんは父親ゆずりの理論派秀才で、奥様ゆずりの三陸美人。学業にも熱心に取り組んでいる。研究テーマをお聞きしたが、酔っ払いの私はほとんど覚えていない。難しそうだった印象だけが残っている。まちづくり等の話題にも精通し、S香理事長が論破されるシーンを初めて目視した。末恐ろしい女傑である。

 Eイスケ君は野球部の監督になるために教員を目指しているという熱血ナイスガイ。1年前に会ったときと比べて異様にマッチョになっている。私は親子の腕相撲をけしかけた。酔っ払いの理事長は呂律の回らない口調で負けるわけがないと豪語していたが、結果は秒殺で完敗。負けず嫌いの理事長は敗北を認めずもう一度勝負したが、またもや瞬殺だった。

 理事長を論破する娘さんと、腕相撲で秒殺する息子さん。その母親であり、理事長を手のひらの上で見事にコントロールするステキな奥様。三陸最強の自称クマ殺しも、ご家族には勝てないようである。

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子が親を乗り越えた瞬間。
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2013年01月25日

第647夜:15秒間の「宮古におでんせ」【宮古(岩手)】

 ふるさとCM大賞。岩手朝日テレビが主宰するCMコンテストである。岩手県内の市町村広報担当者が中心となり15秒のふるさとCMを制作。企画・制作・撮影・出演すべてを市町村に委ねたローカルな手作り感満点の作品がズラリと出品される。

 ある冬の氷点下の岩手県宮古市の夜。暖房の効いた居酒屋のカウンターで宮古市末広町商店街のS香理事長と生ビールや焼鳥、煮魚を楽しんでいると、常連さんから声を掛けられた。

「アヅマさん、S香さんと一緒にCM出てたったでしょ」

 私の思考がフリーズした。何のことかサッパリ分からない。身に覚えも心当たりもない。2011年度にCMディレクターのT橋氏が取り続けた「みやコマーシャル」のことなのか。(私も制作していただいた「みやコマーシャル」はコチラ⇒http://miyacocm.com/)。

 S香理事長と私が出演しているらしい謎のCMは、TVで実際に流されていたらしい。一瞬だけ話が盛り上がったが、その夜はスナック、S香理事長の御自宅をハシゴし、CMが話題に上ることはなかった。すっかり意識から消えていた。

 S香理事長宅で鯨飲したウィスキーが脳の芯にへばりついている翌日の昼休み。昨夜のCMがどうのこうのという話題を思い出した。試しにキーワード(宮古・CM・2012等)をまとめて検索すると、ヒットした。前述の「ふるさとCM大賞」である。

 そのようなCMも企画そのものも全く知らなかった。HPを覗いてみると、宮古市役所の作品が銀賞を受賞している。タイトル名は「宮古におでんせ」。動画もアップされており、さっそくクリックしてみた。わずか15秒なのであっという間だ。

 冒頭の津波直後のシーンから、商店街で商店主が、漁港で漁師が、魚菜市場で復興むすめがそれぞれのお立場で復興への支援に対する感謝と来宮者へのおもてなしの志を語っている。商店街シーンにおいて、震災復興支援地域通貨「リアス」を片手に感謝の気持ちを述べているS香理事長の真横で、一言もしゃべらずただ突っ立ってニヤニヤしているだけの私が映っている。

 いつ撮影したのか一瞬分からなかったが、2012年10月中旬に開催された「宮古あきんど復興市」開催中、ブラブラしていた私をS香理事長が呼び止め、横に立たせたことを思い出した。その際、宮古市広報の方がビデオカメラを回していたことを思い出したが、CMコンテスト出品作品撮影のためと思わず、単なる記録として残しているだけと勘違いしていた。

 大賞1点、金賞1店、銀賞2点、特別賞6点。銀賞の副賞は岩手朝日テレビで80回CMが放映されること。それをご覧になった居酒屋の常連客さんが、私に声を掛けたのだ。

 岩手県民でも宮古市民でもない私が移り込むのは気が引けるが、心は宮古市民なので実に光栄。ご興味のある方、以下をクリックしてご覧あれ。私の出演以外はスバらしい出来栄えです。
「ふるさとCM大賞2012」⇒http://www.iat.co.jp/blog/furusatocm/archives/246

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posted by machi at 11:59| Comment(0) | 岩手県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする