間もなく古希を迎えられるとは思えないバイタリティあふれる行動力で、粒状ウコンをポケットに忍ばせながら日本のみならず世界を股に掛ける石H教授に、ぜひ宮古にお越しいただきご指導いただきたい旨のラブコールを送らせていただいたのが数ヶ月前。地元の念願がようやく実現し、2012年11月中旬。宮古市内の商店街で石H教授を囲む意見交換会が開催された。
参加者は多岐に及んだ。商店街関係者、市役所都市計画部局と商業観光部局、商工会議所、福祉系NPO団体、市民活動団体。出席者が現状や課題を発表し、先生が一問一答式にお答えいただくという贅沢かつ充実した手法だ。先生はタイヘンだが。
当然のことながら、質問の内容も千差万別。どんな荒れ球でも先生は見事に打ち返される。そのやり取りを全文掲載したい欲求に駆られるが、中でも考えさせられ、思わず市役所職員の皆さま方ですら首肯した金言を賜った。それは、役所の庁内機能の分散化である。
宮古に限らず、三陸沿岸被災地では多くの役場を含め多くの公共施設が大津波の甚大な被害を被った。市民会館等のホール施設は別として、点在する多くの出先機関を浸水被害のない安全な地域に集約移転させる動きが活発化している。
本庁舎が被害を受けると、復旧復興に向けたダメージは倍増する。いや、倍ではきかないだろう。復旧の司令塔である本庁舎が壊滅すると、その町はカオス状態に陥る。そのような例をたくさん目にしてきたので、本庁舎移転は私自身やむ負えないと感じていた。しかし、単なる移転と集約は別であるそうだ。
海に隣接する宮古市役所も、現在JR宮古駅近くに移転を検討し、用地買収交渉中であるという(新聞に報道済)。その際、分散する市役所機能を集約させるというウワサが流れている。
石H先生は長岡や飯田の例を出された。これらは集約するのではなく、部局ごとに分散させたそうだ。商業部局は商店街内へ、水産部局は漁港へ。より必要としている現場近くに拠点を構えることで、市民の利便性を向上させているという。
一般の市民は、福祉、保険、都市計画、財政、商業、水産等の各部局を同一庁舎内でハシゴすることはまずない。そのような市民は、宮古では末広町商店街のS香理事長ぐらいだろう。利便性とは市民にとっての利便性ではなく、役所勤務の公務員か議員の先生方にとっての利便性。市役所の食堂や売店も廃止し、とにかく外に出ることが大事であると先生は説かれた。
宮古市は2013年度から本格的な復興期を迎える。役所機能の分散論。既定路線を覆すのは難しいだろうが、三陸の復興モデルとしてぜひ考慮していただきたいお話だった。
御大を囲んで意見交換会
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