2012年08月29日

第552夜:伊丹空港「昔ながらのおむすび」【Soraben】

 空弁。駅弁に対抗するかのように空港限定で発売されているご当地弁当である。最近はバス弁なるモノも存在しているらしい。

 私は重度の駅弁マニアだが、空弁には全く興味が湧かなかった。出張等で航空機利用が多いので空港を訪れる機会はいくらでもあったのだが、ピンとこなかった。飛行機中は意外と自由時間がない。窓の景色は空か雲だけ。新幹線や特急と比較しても静かなので、缶ビールのカシュっという音も響き渡る。搭乗ロビーで食べても味気ないだろう。そもそも、‘そらべん’とお読みすればよいのか、‘くうべん‘と発音すべきなのかすら未だに分からない。

 ある日の早朝。伊丹空港に到着した私は、急激な空腹に襲われた。空港内の飲食店でゆっくりするほどの時間はなく、また目的地到着後も極めてタイトな乗り換えスケジュールが待ち構えていたので、朝食はおろか昼食すら口に入れるタイミングが予測できなかった。

 空港内のコンビニでパンかオニギリでも買おうかと思ったが、あまりにも味気ない。到着地で待ち受ける激務を思うと、しっかりと気合のこもった朝の一食にしたい。

 コンビニを出て土産物売り場を何気なく覗いた私の目に飛び込んできたのが、数多くの空弁コーナー。毎月最低2回は伊丹空港を訪れているが、今まで眼中にすら入らなかった。

 空弁たちをガン見する。駅弁と異なり、パッケージが極めて地味だ。幕の内系弁当ではなく、押し寿司系、オニギリ系、サンドイッチ系が幅を利かせている。酒のサカナ風は少なそうだ。

 午後から仕事を控えた朝7時。缶ビールなど絶対に許されない私が手にしたのは「昔ながらのおむすび」。鰍じみ屋様の作品で、自然の竹の皮でオニギリが4ヶ包まれている。手にすると、ずしりと重い。力強い安定感がある。初めての空弁。少し緊張しながらレジに向かった。

 手荷物ゲートを難なく突破し(当たり前だが)、搭乗口ロビーへ。イスに腰掛け、竹皮包みを開く。竹皮を包んだパッケージ紙に、職人手作りと書かれている。さらに追い打ちをかけるように「伊賀米コシヒカリ」「赤穂塩田之天然塩」「有明海佐賀之海苔」「調味添加物一切無」という8文字熟語が武骨に踊っている。

 4種類の具は簡単に言えば鮭、昆布、梅、かつお節なのだが、これまた各々が強烈に力強いキャッチフレーズ付き。「手打塩直火焼之鮭」「道南産山出之昆布」「紀州田辺之南高梅」「鹿児島枕崎之鰹節」。思わず汗が吹き出しそうな熱血キャプションだ。

 米、海苔、具、パッケージ…。すべてにプロの仕事が垣間見えるオニギリを口に運んでいく。米の甘味としんなりした海苔の磯の塩味。それを引きたてるこだわりの具。実に見事である。ワシワシと頬張り、ペットボトルの緑茶で流し込む。よくぞ日本人に生まれけり。空弁探訪も私のライフワークに加わるかもしれない。

(付記)
つい先日、J●Lから「クリスタル会員」のカードが届いた。それだけ飛行機を利用しているということか。マイルはたまる一方で、気づけば10万マイルを突破。期限があるので使うが、すぐにガンガン溜まる。会員証が届いて感慨深いものがあったけど、それほど特典はなさそう。さらに上のエメラルド会員、ダイヤモンド会員への道険し。

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伊丹空港「昔ながらのおむすび」。人生初の空弁。

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posted by machi at 23:25| Comment(0) | 駅弁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月28日

第551夜:黄金色に輝く銀メダル【伊丹(兵庫)】

 ロンドン五輪柔道女子78kg超級。その代表選手と言えば、伊丹出身の杉本美香選手。伊丹でマー君らと互角に輝くスポーツ界のヒロインを熱烈応援すべく、パブリックビューイングが2012年8月3日、伊丹商工プラザにて開催された。

 3日当日、12時過ぎまでねぶた祭で湧く青森市に滞在していた私は、大量の青森オツマミを買い込み、17時半PVスタートに合わせてピュッと夕方に伊丹まで飛来。杉本選手応援Tシャツに身を包み、ITCの皆さま方と観戦に勤しんだ。

 シード選手の杉本選手は初戦、準々決勝と見事な一本勝ちで快勝。会場は立ち見が出るほどの盛況ぶり。前列にはズラリとマスコミが勢ぞろい。道着を着たちびっ子戦士も多数観戦。日の丸の小旗が振られ、杉本選手への応援コールが止むこともない。会場は熱狂の渦に包まれた。

 杉本選手が一本勝ちを2試合連続決める間に缶ビール五本勝ちを決めた私は、12年前のシドニー五輪を思い出した。私の前職である神戸・新長田時代に実施した柔道男子100kg超級・篠原選手(現監督)パブリックビューイングである。

 快調に勝ち進んだ篠原選手は決勝で誤審によって銀メダルに終わる。この試合を機に今五輪で話題になった「ジューリー」導入(ビデオ判定)に繋がったとされる。

 新長田PVの進行を務めていた私は鏡割りの準備も万全だったが、誤審のため会場は不穏な空気に包まれ、銀メダル獲得のお祝いムードなど100億光年彼方まで吹き飛んでいる。

 試合終了から1時間が経過。結果は覆りそうにない。強引に鏡割りを強行し、翌日から商店街で「怒りの金メダルセール」を実施した12年前の記憶が蘇った。

 準決勝まで2時間ほど間が出来た。会場に陣取っていたオヤジたちはその間に呑みに出かけたようだ。会場の隣の神社では望遠鏡で月や土星を観る会が開催されている。

 ITC事務局の皆さまと顔を出した私は、クレーターまではっきり見える満月や携帯ストラップ根付のような土星を鑑賞。柔道PV会場と異なり静寂に包まれている神社から見上げた黄金色に輝く満天の月は、杉本選手の金メダル獲得を確信させた。

 PV会場に戻る。青森オツマミを肴に焼酎やマダム差し入れのウィスキーに切り替える。程良く酔いも回りかけた頃、杉本選手の準決勝が始まる。会場は一気にヒートアップ。見事な優勢勝ち。同時に、私の終電帰宅が不可能になりタクシーも確定した瞬間だ。

 24時を回った頃、決勝が始まった。会場はさらに人が増えている。敵はキューバの巨漢選手。会場は絶叫とも悲鳴とも聞き取れる異様なまでのテンションに制圧されている。結果は……。伊丹の夜空に輝いていた金メダルのような満月に劣らない、見事な銀メダル。杉本選手、あっぱれである。4年後のリオデジャネイロ五輪では、満天の金メダルを堪能できるだろう。

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杉本選手パブリックビューイングin伊丹商工プラザ。大熱狂。

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2012年08月27日

第550夜:古川市場の「のっけ丼」【青森(青森)】

 のっけ丼。青森駅にほど近い「青森魚菜センター古川市場」の名物丼である。どんぶり飯に市場内で購入した総菜や刺身などを各店頭でのっけてもらいながら創作するオリジナル丼のこと。北九州市小倉地区「旦過市場」の大学丼とよく似ている。

 大学丼とのっけ丼の違いは何か。大学丼は現金払いだが、のっけ丼はお楽しみ抽選券付「のっけ丼食事券」を案内所で購入し、取扱店でお好みの具材に引き換える点にある。

 前夜のねぶた祭でハネまくった余韻も冷めやらぬ午前9時。宮古市末広町商店街の太T氏と古川市場で合流し、のっけ丼創作の旅に出る。前日に青森新町商店街の伊K姐さんにのっけ丼攻略レクチャーを受講しており、予習は充分に積んでいる。

 のっけ丼食事券は500円券と1000円券の2種類。迷わずに1000円券に。余談だが、氏におごっていただいた。スタートは<山田惣菜店>にて「ご飯大盛」(200円)を入手。市場内をグイグイ散策し、どんどんのっけていく。

「ホタテフライ」(100円)「青森むつ湾産ほたて刺身(ひも付)」(100円)、「ねぎとろ」(100円)、「いくら」(200円)、「青森産本マグロ1切」(100円)、「ねぶた漬」(100円)、青森名産という「にしん切込&紅鮭切込」(100円)。これで1000円。別途現金で「玉子焼1切」(50円)、「しじみ味噌汁」(100円)。しめて1150円。アヅマオリジナル「のっけ丼」の完成である。

 市場内の空店舗を活用したと思しき休憩所に陣取る。醤油や山葵、お茶が常備されている。「のっけ丼」は生ものなので持ちだし御法度。市場内で味わうことが絶対ルールだ。

 醤油に山葵を溶き、刺身にかけていく。まず口に入れたのは大きなほたて刺身。プリップリで新鮮。ひもの歯ごたえも嬉しい。ねぎとろやいくらで白飯をかきこむ幸せは、人生の大きなシアワセの一つだ。圧巻が本マグロ刺身。一切れと侮るなかれ。半端なく分厚い。ブランドマグロの力強さが口の中で跳ねて踊る。パワフルである。

 玉子焼、ほたてフライも惣菜として力を発揮。特に玉子焼は甘くなく私好みの醤油の効いた味付けだ。しじみ味噌汁が疲れた肝臓を癒していく。

 ねぶた漬はカズノコが入っている。コリコリ、プチプチした食感と粘りのある昆布が絶妙。ご飯がノド、食道、胃にすっ飛んで行く。初体験の「にしん切込」「紅鮭切込」はご飯にも合うが、これは完全に酒のサカナ。朝9時だけど、日本酒の冷やをヤリたくなる。

 他にも鯨の刺身や牛肉炙り焼など心が騒ぐ逸品も目白押し。同行のO田氏は鯨ベーコンなど200円超え惣菜中心のラインナップ。私はセコく100円メニュー中心。回転寿司のようである。

 昼食として楽しむのも悪くないが、生鮮市場の醍醐味は早朝。青森に寄られたらホテルの朝食をキャンセルし、迷わず古川市場へ。「のっけ丼」をかきこんで、最高の一日が始まる。

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アヅマオリジナル「のっけ丼」

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2012年08月26日

第549夜:ねぶた祭を100倍楽しむ方法【青森(青森)】(後編)

 19時。号砲とともにねぶたが動き出した。私は絶句し、目を見張り、感嘆の呻きと叫びを漏らす。勇壮、華麗、華美、炎上、剛勇、圧倒。ものすごい迫力と臨場感、圧迫感である。闇夜の極彩色に煌めき揺れる。ただただ壮観である。

 毎年出演しているという梅●登美男氏の女形姿に観客も大興奮。ミスねぶたもオープンカーに乗って華やかさを演出する。商店街を企業ねぶた、子供ねぶたがグイグイ運行していく。

 ハネトが大跳ねしているねぶたが前を通りかかった。ハネト衣装に身を包んだO太氏と私はその中に飛び込んだ。いきなり体感気温が5度以上上がったように思う。凄まじい熱気だ。

 「ラッセラ〜ラッセラ〜」「ラッセラッセラッセラ〜」。掛け声を叫びながら片足で2回づつ大きく跳ねる。これをひたすら繰り返す。誰でも一瞬で覚える掛け声とステップだ。

 私も思いっきり声を張り上げ、跳ねまくった。周りは大学生にしか見えない若者がほとんど。アラフォーの私とアラサーのO太氏は3分もせずに息切れ。汗が噴き出してくる。連を抜け出し缶ビールを購入。一気に呑み干して桟敷席に戻る。いやはや楽しい。興奮が冷めやらない。

 ねぶた祭のクライマックスは4日以降。2日、3日は子供ねぶたが多く、全22台すべてが運行するわけではない。揃いの衣装に身を包んだ企業ねぶたや子供ねぶたにはハネトとして中々入れないのだが、市役所連などはいくらでも飛び入りし、抜けることができる。

 ねぶたは企業が覇を競う一面もあるらしく、どれだけ不況になってもねぶただけは継続するという。企業の威信もかかっているのだ。全体で22台という枠が決められているため、一度やめてしまうと参画する機会は訪れないという。

 ねぶたは毎年オリジナルに作られ、分解される。ねぶた師の力量を競う場でもあるそうだ。優秀な5団体に毎年賞が授与される。牛若丸と大天狗、アテルイと清衡、江戸の妖僧天海、川中島合戦、卑弥呼の戦い、義経北行伝説…。炎の武者が闇に舞っている。ただ引っ張るだけでなく、ねぶたを強引に旋回させたりと見せ場も充分に用意されている。

 跳ね足りない私は、再度突っ込んだ。今度は30分間、跳ねまくった。声を枯らし、スリッパのままひたすら跳ねる。意識が朦朧とする。汗が止まらない。しかし、ナチュラルハイになったのかアドレナリンが噴出しているのか、凄まじい陶酔感、爽快感である。これほどのストレス解消はないだろう。終了後、股ずれのため普通に歩けなかったけど。

 21時、終了。着替えた私たちは焼鳥屋に飛び込み、魔法のジョッキに入った生ビールを思いっきりノドに放り込んだ。興奮が冷めやらぬ。跳ねることでねぶた祭の楽しさが100倍になる。 

 初日なのに38万人が詰めかけた青森ねぶた祭を100倍楽しむ方法。ハネトとして踊り狂うことが一つ。もう一つは青森新町商店街様と常日頃から交流を深め、特等桟敷席とホテルを手配していただくことである。青森新町商店街の皆さま、本当にありがとうございました。

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夏夜に燃え上がる圧倒的迫力。

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狂喜乱舞する「ハネト」の皆さん。ワタクシも狂喜乱舞。

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2012年08月24日

第548夜:ねぶた祭を100倍楽しむ方法【青森(青森)】(前編)

 「青森ねぶた祭」。日本の夏を彩る東北最強の夏祭りである。例年8月2日から7日まで青森市中心市街地商店街等で開催される。

 ねぶたの起源は奈良時代に遡るという。奈良時代に中国から七夕祭りが伝わり、それに灯篭流しが組み込まれて「ねぶた」に変化したらしい。あまりの変化っぷりに着いていけないが、独自の進化を遂げたのだろう。

 ねぶた初日の2012年8月2日。青森新町商店街様の御招待を受けホテルまで手配していただいた私は、昼の震災物産応援会終了後、ねぶた鑑賞を楽しむ機会を得た。神戸生まれで神戸在住の私にとって、青森は本州最果ての地。ニュースや写真でねぶたの様子を感じることはあっても、なかなかナマで観る機会は一生に一度。朝から興奮を隠しきれないでいた。

 ねぶたに関して何の予備知識もなかったのだが、岩手県宮古市や当日の物産会現場で「ハネト」がとにかく楽しいと耳にしていた。ハネト?聞き慣れぬ言葉である。

 いろいろご教授いただいた。ハネトとは「跳人」と書く。運行する巨大ねぶたの周りで踊り跳ね狂う群衆のことだそうである。ねぶた祭は観るだけでなく、共に跳ねることに本質と醍醐味があるという。私にとって一生に一度のねぶたかもしれない。翌日は帰神せねばならない。

 意を決した私は「ハネト」になることに。ただ、一人では不安極まりないので、同行していた宮古市末広町商店街のO太青年部長も巻き込んだ。スポーツ用品店に跡取り息子として商店街活動に目覚め始めた、オトコ前でオンナ好きの宮古期待の星である。

 ハネるためには、最低限のルールがある。それはハネト用の衣装に着替えること。ハネト用の衣装レンタルブースが各所にある。単なる浴衣や法被ではないので、着付けが必要だ。

 私たち2人は再開発商業ビル「アウガ」地下の<藤田呉服店>様を訪ねた。私のようなメタボオヤジの腹回りにも対応可能という。パンツ1枚になり、浴衣を羽織る。その上にシゴキやオコシと呼ばれる独特の帯や裾を施してもらい、ギッチギチにタスキ掛けされる。タスキに鈴が付けられる。動くだけでリンリン鳴る。トイレがたいへんそうだ。

 花笠に草履が正統だが、そこまでは必要ないそうだ。私はスリッパで跳ねることにした。豆絞りもサービスしてもらい、着付け込料金で2800円である。相場は分からないけど、かなり安いのだろう。跳ねる際のポイントも伝授していただく。

 日が暮れてきた。涼しい風が少し吹いてきた。沿道は観光客や観覧客でビッシリ埋まっている。私たち青森新町商店街様にご招待された震災復興物産応援会出展チームは、沿道し設えられた一番前の座席を商店街女性部T中女史の店前に確保していただいた。目の前に遮るもののない特等の桟敷席。最高の御もてなしに感謝で心が震える。缶ビールも準備し、観戦体制万全である。〔次夜後編〕

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「ハネト」になったO田氏(左)と私

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posted by machi at 08:54| Comment(2) | 青森県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする