1品目は「地だこの刺身」。思ったよりも量たっぷり。湯引きしているのにコリコリ鮮度。思わず笑みが漏れた。
2品目は「ほたるいか酢味噌」。煌めいている。たっぷりの酢味噌に絡めて口に運ぶ。柔らかくプリプリ。熱燗の大に切り替えた。
3品目は「鰯の天ぷら」。大葉の天ぷらも添えられているのが嬉しい。ピンク掛かった岩塩にチョン付け。野性味と上品が絶妙のバランスで同棲。大き目が2ヶ。食べ応えも充分である。
海鮮4品目は「地穴子の天ぷら」。思わず目を剥いた。想像と違っていた。たっぷりの天ぷらにたっぷりの刻み葱をトッピング。タレが掛かっている。ドキドキしつつ口へ。
サクっとした歯ざわりの後、穴子の醸し出す淡泊で奥深い旨味が踊り出した。タレも辛口の濃い目。葱フェチの私にはたまらない。気づけば熱燗の大の2本目が半分に。
鮮魚系おすすめをまだまだ攻めたいが、定番も試したい。メニューを見る。かなり守備範囲が広い。〆のメニューまで充実している。90分前の会議を思い出す。居酒屋の絶対数が少ないゆえか、様々な客の満足度に応えねばならないのだろう。値段もリーズナブル。
常連客がどんどん入ってきて大将や女将と談笑している。一人客同士も盛り上がっている。
端に座るイチゲンの私は黙って「煮込みハンバーグ」を選択。「手作り」とプッシュされていたから。熱燗をチビチビやっていると、熱々が眼前に。アスパラの緑が眩しい。
箸で千切り、口に運ぶ。完全に酒のツマミである。チビチビつまみながら熱燗で追いかける。この組合せ、初めてかもしれぬが悪くない。むしろ良い。
ハンバーグが残り半分の状態で2本目の熱燗が空に。ハイボールと思ったが、300ml赤ワインがあった。赤ワインをヤリつつハンバーグ。王道、直球、豪速、不変、真実である。
ハンバーグを食べ終えた。赤ワインが半分残っている。駅前にラーメン屋など見かけなかった。カレー屋はいわゆる本場本格系で酒のシメっぽくない。
乗り換えの難波ならいくらでもシメの店があるだろうが、泉南との出会いは一期一会。ハズレどころか期待値を上回るこの名店でシメてしまおう。
釜めしは1時間かかるとある。にゅうめんも気になったが「大人気」とあったチャーハン。シメチャーである。
目の前で中華鍋がチャッチャと振られる。居酒屋いうより町中華の雰囲気すら醸し出している。このシメ、中華でも喫茶でもない。ビジュアルも味もまさに「居酒屋のチャーハン」である。シンプルだが酒の進む味。赤ワインにも合う。
半分ほど食べ終えた時点で、神戸まで路線検索した。13分後の電車に乗れば神戸まで最短で帰れるルートが。これを逃すと帰宅は30分以上後ろ倒しになり、乗り換え回数が倍になる。
食べ終える前にお会計をお願いし。米一粒、ワイン1滴残さず完食した。
大満足で店を出る。もう泉南市を訪ねることはないかもしれぬが、もし機会があれば絶対にこの店を再訪しよう。ただし定休日は水曜のようなので、水曜は絶対に外さねば。
電車が動き出した。行きの難波駅の待ち時間に駅近くの大型書店で読んだことのないグルメ漫画の新刊を買っていた。「3分待ってむぎ先輩」。途中から違和感を感じた。カップ麺を偏愛するBLならぬGL漫画だった。男性キャラがほとんど出てこない。
BLもGLも全く関心ないので初めて読んだジャンル故かなり戸惑ったが、カップ麺を喰うシーンは旨そうだ。自宅にカップ麺のストックが30ほどある。しかも、すべて違う種類。帰宅して、どのカップ麺を啜ろうか。
地蛸。
地鰯。
蛍烏賊。
熱燗。
地穴子。
ハンバーグ。
葡萄酒。
焼飯。
南海電車。