2020年06月02日

第2459夜:松の内は春の嵐【黒崎(北九州)】

 春の嵐。3月から5月にかけて低気圧が猛発達することで暴風雨が吹き荒れる現象である。そんな春のあんまり嬉しくない風物詩が2020年は1月上旬、松の内もあけぬうちに襲ってきた。

 その夜。私は北九州市黒崎に居た。令和2年初出張。1週間ぶりの長距離移動ゆえかリズムが掴めぬ。1月上旬とは思えぬ生暖かさで、3月下旬のビールが急に旨くなる適度な湿り気を帯びた夕方でもあった。

 黒崎駅前新天街あらため表参道商店街ミッション終了後、いつものメンバーで懇親会。アーケードを撤去してから明らかに新天街は新店ラッシュとなった。新天街に関わらず黒崎地区全体で空き店舗が解消されつつある。

 そんな最中(2020年1月下旬)、黒崎駅にデッキで直結するI筒屋を核テナントとした商業施設「クロサキメイト」が2020年4月に閉店するニュースが席巻。管理・運営会社が東京地裁に自己破産を申請し倒産。

 その入居店舗の受け皿として新天街をはじめ黒崎地区全体の商店街が期待されている。明らかに商業面積過剰だったので、ピンチはチャンスである。

 令和に入り、新天街の皆さまと呑む際の1軒目は新天街のお店へ行くようになった。組合員はもちろん、非加入店舗へのアプローチも兼ねることもある。

 令和2年の一発目は<九州男>。料理も呑み放題ドリンクも素晴らしいスピードで提供。どの料理も旨し。

 途中、北九州市と災害時の協定を結んでいるらしい岩手県釜石市の復興支援に志願兵として大貢献してきたK本氏が後輩氏を引き連れて参戦。2年前に釜石でK本氏と共に黒崎のU野氏&入E氏にドッキリをかまして以来。その顛末はこのバカブログにもアップした。

 久々に氏と旧交を温める。ハイボール濃いめのピッチも加速する。

 2軒目は初めて訪問する<エルトン>。ステキでパワフルなママが営むスナック。風格が場末感を遥かに上回っている。カウンターに8人ズラリと並び談笑。新年1発目からユアソングな夜だ。ちなみに、それからしばらくしてママは業種業態変更し、小料理屋になったそうな。

 久々の外泊。かなり呑んでいたが最後は浜省バー。途中、雨が降り出した。小雨だったが、凄まじいゲリラ豪雨に。春の嵐というヤツか。私は上下作業着だったがぐしょ濡れだ。

 ギネスが旨い。浜省動画をBGMに恒例のロシアンピザ。そして絶品だったこんがり焼いたガーリックトースト(たぶん)チーズフォンデュ。ギネスを数杯お替りしてしまう。

 深夜1時半過ぎにお開き。春の嵐も治まった。皆さん春の嵐のごとくまだまだ元気そうだが、私は新年1発目の出張でリズムが掴めていない。まっすぐホテルへチョッキした。

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ムーディな雰囲気。

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喰って呑みまくる。

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K本氏と。

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ロシアンピザ。

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いいお店です。料理も絶品。
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2020年05月31日

第2458夜:共和国潜入【札幌(北海道)】(後編)

■3国目「初代」:超絶焼豚盛り新味噌(ラーメン)

 暑くも寒くもない最高気温なある夏の12時半。3度目の入国である。最も昼食で込み合う時間帯だ。共和国以外の普通の飲食店の方が混んでいる気がしないでもないが、国内も半分ぐらいの店がプチ行列状態である。未踏だった2州の1つ<初代>へ。小樽が本拠であるらしい。

 メニューを観る。味噌、塩、しょうゆのラインナップが揃っている。しかし大切なのは、その順番である。この店は味噌・醤油・塩の順に表記されている。醤油や塩と比べて味噌はすべて40円割高だが、これはラーメン屋あるある。

 店名を関したラーメンか、チャーシューメンか、それともシンプルにいくか……。

 私はこの日に北海道入りし、これから富良野へ向かう。そして翌日は埼玉(春日部)、さらに明後日は沖縄(宜野湾など)。景気づけとスタミナ付けを併せ持つ最高値メニュー「超絶焼豚盛り 新味噌」を写真指名。豊満なビジュアルである。値段も1310円と最高級。

 メニューにおける位置もいわゆる「左上」で、これはアイドルグループのセンターに等しきエースポジション。人気ナンバーワンの指名に成功だ。

 ぼんやりと店内を見渡す。サラリーマンが多数だが、観光客風もチラチラ。

 私の右隣に座る少女が若くて美人のお母さんに笑顔を向けながら「おいしいねぇ〜」。その様子があまりにも微笑ましい。私もつられて笑いそうになるが、私が一人で笑えば単なる不気味な変質者オヤジだ。

 ブツが降臨した。……。一瞬、フリーズした。私が頼んだメニューではない。チャーシューがほとんど見えない。違いますよ、と声を発する前に店員さんから「焼豚盛りで〜す」。

 ……。間違えてなかったのか。あまりにもビジュアルが違い過ぎる。待合室でワクワクしてたら、奥から出てきたのは写真とは別人。いや、風雪を重ねてかなりスリムな枯淡具合が染み出てきたのだろう。そう思うことにした。

 釈然としないが、肝心なのは味である。胡椒をパラリし、まずはスープ。……。かなり好きな部類である。濃厚すぎないが、しっかりと深みとコクがある。見事なテクニックを感じさせる。麺も黄色くかん水が効いていてスープとの相性も良い。半熟卵の黄身も眩しい。

 チャーシューはスープの下からチョコチョコと湧いてきた。しかし、私の左隣に座る男が注文したシンプルな味噌ラーメン(890円)の方がチャーシューが大きい。

 写真と実物とのギャップ割合。実物が写真に勝る割合は300対1である。あくまでも私(アヅマ・男性・神戸在住・45歳)の経験値ですが。

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写真指名。

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まるで別人(別麺)。2019年8月実食。

■4国目「みその」:炙り豚盛り味噌らーめん+手稲ライス

 令和元年12月上旬の正午前。何とか令和元年中に4か国入国を果たす。トリはこの店。かなりの賑わいっぷりだ。

 一番人気が「炙り豚盛り味噌らーめん+半熟玉子」という。メニュー再度読み込むと「手稲ライス」が視界に。メニュー写真は単なる目玉焼ライスだが、「手稲」という道民にしかほぼ伝わらない地名にグっと来た。目玉焼と半熟玉子がカブるので、シンプルな「炙り豚盛り味噌」召還。

 紙エプロンの丈夫なタイプが芸が細かい。しっかりと装着し臨戦態勢確立。ブツ降臨。……。期待を裏切らない、写真指名通りのビジュアル。卓上のモヤシナムル食べ放題も心憎い。

 胡椒をパラリし、まずはスープ。……。共和国の中で、住むならこの国と決めた。生姜が仄かに香るが、コシのある重厚、濃厚なのにキレがあるスープが抜群。ちぢれ麺とのカラミも官能的。

 炙り豚はチャーシューより味が染み、食べやすい。ラーメンとの相性も良い。メンマもたっぷり。

 麺を啜り終え、手稲ライスへ。黄身を潰し、かきこもうとした。……。箸が何かにぶつかった。目玉焼をずらす。……。チャーシューが1枚敷かれていた。これほどサプライズで嬉しい岩盤は他の追従を許さない。ライス部分も白飯ではなく醤油味のかつお節ご飯。不味いわけなし。

 スープを味噌汁代わりに、焼豚目玉焼鰹節醤油飯に喰らいつく。どのあたりが「手稲」なのかは謎に包まれたままだが、4国目を完全制覇した。米粒1つ、汁1滴残っていなかった。

 残りの4か国は新千歳空港内「北海道ラーメン道場」で実食済である。しかし、醤油、塩をはじめどの国もバリエーション豊富。共和国をいったん抜け、再び足を踏み入れた時は残り4か国を歴訪することを誓う。雪が舞い散る中、札幌同じビルの地下の札幌バスターミナルへ向かった。

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2019年12月実食。
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2020年05月30日

第2457夜:共和国潜入【札幌(北海道)】(前編)

 札幌らーめん共和国。札幌駅前エスタ10階に領土を有する8つの州(8店舗)からなる連合国家である。雰囲気は昔流行った昭和レトロなフードパーク。令和元年に国家誕生15周年を迎えたという。

 平成から令和に元号が変わる1週間前の遅い昼、この魅力的な共和国へ初入国。観光客(ほぼ中国系)と地元客半々といったところ。ただし8店舗のうち、新千歳空港ラーメン道場と4店舗かぶっている(令和元年)。実食済が4国ゆえ、残りの4国を重点的に攻める。

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入国。

■1国目「吉山商店」:焙煎ごまみそ炙りとろ旨チャーシュー麺

 どこもそれなりに流行っているが男女問わず一人客のサラリーマンが多かった<吉山商店>へ。地元の支持が厚そうである。メニューを見ると味噌系が押しのようである。

 焙煎、魚介味噌、辛があり、私は「焙煎」に。記念すべき初入国ゆえ、グレードを上げて「焙煎ごまみそ炙りとろ旨チャーシュー麺」1000円召還。最近こってりした味噌系にハマっている。このメニューは共和国限定らしい。

 待っている間に黒い紙エプロンを装着し、ホームページで共和国の概要やこの店を調べる。コクとキレのある味わい深い一杯は札幌ラーメンの進化系!」とある。チャーシューも自慢らしい。店主は若いが厳しい修行のかたわら全国各地のラーメンを食べ歩き、その舌と感性を磨き上げたという。五感で味わうそうだ。

 確かに最近の味噌系の進化は目覚ましい。醤油が基本の私ですら最近味噌に寄っている。

 情報を調べているとブツが運ばれてきた。生唾を飲む。チャーシューが5枚。ノーマルな味噌が800円、焙煎味噌が830円、そしてチャーシューメンが1000円。焙煎味噌はチャーシュー2枚。半熟卵がチャーシューメンには半分入っている。1ヶまるまるで100円だから50円。よって3枚分のチャーシューは120円という計算。これはかなりお得といえる。

 まずは胡椒をパラリし、スープ。……。うむ。想像に近い味。全く期待を裏切っていない。麺は札幌らしいかん水が効いた黄色のちぢれ。スープとよく絡む。

 チャーシューは味わい深く、柔らかい。噛みしめるほどに旨味が溢れる。ビールが欲しくなる一品。5枚は食べごたえがある。スープ一滴、麺一本残さず熊啜だ。

 共和国初潜入、最初の1杯(1国)が肝心だった。ここで外せば恐らく足が遠のくだろう。一発目、かなりの満足度。より深く潜入していく決意を固めた。

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2019年4月実食。

■2国目「幸村」:味噌チャーシュー麺

 ホテルをチェックアウトし、らーめん共和国を包括する札幌駅前「エスタ」までのんびり歩いていると、カラスがかなりの低空で飛んでいる。羽風を感じるほどだ。前から歩いてきた女性がカラスに襲われている。

 うわぁ、気の毒と思った瞬間、私の首筋に凄まじい衝撃が。カラスがくちばしから突っ込んできた。激痛である。血は出ていなかったがこんな箇所にくちばしが刺さったら即死。札幌のカラスは巣守り中はすさまじく攻撃的で危険。札幌らーめん共和国の衛兵のごとき戦闘力である。

 10時半すぎにエスタへ。共和国は11時前に入国できない。館内のカフェで漫画を読みながらホットコーヒー。首筋をさすりながら。むち打ちになった不快を噛みしめる。

 11時、門が開いた。カラスもいない。2度目の入国は、2019年4月に共和国入りしたばかりという<幸村>。味噌、塩、醤油とあるが、迷わずに味噌。それにチャーシュー追加だ。

 店内はどんどん入国者で溢れ、あっという間に満席に。豚骨、豚足、野菜、昆布で長時間炊き上げたスープに白味噌、白麹味噌を合わせた特製焙煎という。焦がしにんにく油にフライドオニオンと白ごま、山椒を加えた至極の一杯らしい。

 期待が高まり、カラスの襲撃ショックを忘却の彼方へ追いやっているとブツ降臨。色っぽい。涎が溢れそうである。

 胡椒をパラリし、まずはスープ。……。これぞ札幌の進化系味噌。絶対に外さない味。麺もかん水の効いた黄色い縮れ系で私好み。チャーシューもたっぷりで絶妙の柔らかさのロース。最後にスープに浸しておいた卵を楽しみ、スープ1滴残さず啜り上げた。

 隣の客と店員の会話が聞こえてきた。この店は月寒で3年前にオープンし、この4月から共和国入りしたそうな。わずか3年で人気店に成長したのだろう。その実力に首肯する。〔次夜後編〕

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2019年7月実食。
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2020年05月29日

第2456夜:道場入門【新千歳空港(北海道)】(その5)

■雪あかり:味噌チャーシューメン

 道場に相応しくないほどロマンあふれるネーミングセンスが光る。時間は15時半。もっとも道場がガラ空きの時間帯かもしれない。いつも行列の<一幻>以外どこも空いている。なかでもとびっきり空いていたのがこのお店。空いていたというより、たまたまだろうが客が誰もいない。

 どこでもどうぞと案内され、カウンターに。テキの1番の必殺技はバターコーンらしい。ピリ辛ほぐし味噌が続き、3番手がネギラーメン。味噌、しょうゆ、塩のラインナップである。

 普段なら1番人気がそれに準じるテキと対峙するのだが、初対戦はオーソドックスに攻めたい。よってシンプルな「味噌」。それにチャーシュー追加で1130円。

 ぼんやり待っている間、メニューを再度見る。……。う〜ん、人気3位に「ねぎ味噌ラーメン」にすべきだったが。おや、麦味噌ラーメン、赤味噌ラーメンもある。どう違うのか。

 持ち帰り用の土産には「バター味噌」と「赤味噌」が商品化。うじうじ後悔を噛みしめていると、ブツが降臨した。どちらかといえば淡い色合い。まさに「雪あかり」である。

 一味ではなく胡椒をパラリし、まずはスープ。……。好き。好きです。流行りの札幌濃厚系味噌とは少し距離を置いている。昔の味噌ラーメンに比べたら濃厚だろうが、最近ではあっさりの部類。しかし幾重にも味の層がある。深みと広さがある。

 麺は黄色のちぢれで絶妙のスープリフト力。チャーシューは5枚。厚さはないが旨味は充分。柔らかく脂とのバランスもよい。気づけば麺1本、汁1滴視界から消えた。後悔も滅失する。

 これで道場内の9店と戦い、勝ち抜いてきた。後、1店。いよいよ大将戦である。

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2019年10月実食。

■札幌飛燕:我流札幌塩らーめん特製

 明け方4時まで美唄市内のホテルの部屋でクライアント氏と鯨飲し、ド二日酔いのまま道場の門を朝10時半に叩く。ついに最後の試合。<札幌飛燕>である。

 味噌、醤油、塩とラインナップが揃っているが、メニューでは思いっきり塩、それも「我流札幌塩らーめん」が圧倒的に華やかなセンターで‘一番人気’‘ミシュラン掲載’と唄っている。
 
 私のような俗物は権威に弱い。人生初の「ミシュラン」とやらを抱きしめることに。さらに300円追加追加でチャーシュー4枚、玉子1ヶ、海苔3枚に確変する「特製」にバージョンアップ。

 二日酔いが酷く正直申し上げて空腹ではないのだが、昨晩は美唄ラストミッション。北海道では富良野との御縁が続いているが、旭川空港をヘビーユーズするため今度いつ新千歳ラーメン道場の門をたたくことができるかわからない。ここは、勝負である。

 冷たい水でアルコールを分解しながら再度メニューを読み込む。「塩」は鶏と煮干しの白湯系らしい。かなりの自信が伺える。

 ブツが降臨。……。美しい。丁寧な仕事っぷりに笑みが漏れる。スモーキーな香りも漂う。ブラックペッパーとガーリックパウダーをパラリし、まずはスープ。

 ……。初体験の味である。塩なのだが、熊本系豚骨のマー油的な香ばしさもある。麺とのカラミもエロチック。チャーシューは私の愛する脂のないモモ肉。

 無性にライスが欲しくなった。100円で追加招集。スープの染みた海苔をライスにオンし、クルンと巻いてマウスイン、すかさずスープ。……。至福である。

 海苔の下にはメンマや刻みチャーシューもたっぷり。嬉しいさプライズだ。そして、ゆで卵である。まるまる1ヶ。これが「日本一のこだわり玉子」らしい。

 箸で割る。……。太陽がスープの地平が上った。これをライスにオンし、たっぷりとスープを掛け、玉子を崩しながらレンゲで書き込む。……。我、無法なり。されど欲望の赴くままに。気づけば汁1滴残っていなかった。

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2019年11月実食。

 2016年の秋に道場に入門。名だたる10店の牢名主たちと対峙し、ついに2019年秋、成就を成した。感激もひとしおだが、それ以上に目標を見失ってしまいしばし呆然。凄まじいまでの「道場ロス」である。

 道場を出て、手荷物検査場に向かう。その最中、道場を振り返った。さらに成長を遂げて再度門をたたく決心をしながら。新店が入ればそく対峙せねばならない。または、今回の10店舗で啜らなかったメニューで再度一巡することも悪くない。

ふと思い出した。道場以外にも新千歳空港にはラーメン店があったはずだ。そして札幌駅前には「らーめん共和国」もある。地平の先に、新たな道標を見つけた。〔終〕
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2020年05月28日

第2455夜:道場入門【新千歳空港(北海道)】(その4)

■一幻:そのまま・みそ+チャーシュー(3枚)

 <一幻>。新千歳空港内「北海道ラーメン道場」内でもっと流行っていると思しき「えびそば」店である。10店舗ほどが林立している道場において、この店だけがいつも行列。割と座席数のある店内だが当然満席だ。

 よくよく道場内の全体レイアウトを観察すると、行列に対応できる配置なのはこの店だけ。道場主はその実力を誘致の段階から熟知していたのだろう。

 私にとっては、この店は2つの意味でラスボス級だった。

 一つ目は、行列。私は並ぶという行為が大っっっっっ嫌いなので、行列のない時を見計らおうとしたが常に並んでいる。ゆえに足が遠のいていた。

 二つ目は、「えびみそ」であること。数年前だが濃厚極まりない「えびみそラーメン」を啜った際、凄まじく旨かったのだが、食後に全身が痒くて我慢できなくなった。発疹ができていた。

 病院に駆けこみ、先生に「何喰った?」と聞かれ「えびみそラ…」。言い終わる前に先生は食い気味に「はい、それ」と一言。

 これまでえびも味噌もアレルギーなど発症したことなく、そもそも私はアレルギーなど一つもない。以降もえびも味噌も喰いまくってきたが、アレルギーが発症したことなどなかった。しかし「えびみそラーメン」はスルーしていた。そもそもそんなメニューが周りにないからだ。

 午前10時半前に新千歳空港着。そのままラーメン道場へ向かう。この日はかなり余裕がある日。道場内で1時間過ごしてもミッションには間に合うゆとりがあった。

 今日も<一幻>には20人弱並んでいる。一瞬迷ったが、結構席数多いし、ラーメンは回転が良いだろう。よし。並んでみよう。そして、私の「えびみそラーメン」アレルギーはたまたまだったのか、キャリアだったのかも確かめよう。

 ただし、キャリアだった場合、その日はミッションどころではなくなる危険性もはらんでいる。

 最後尾につき、原ォ先生の30年前の沢崎シリーズ第1作『そして夜は甦る』のハヤカワポケミス版を読んでいると、いつの間にか店内へ。待ち時間15分といったところか。

 カウンターに着座。メニューを拝見。「えびラーメン」一択かと思いきや、まず「そのまま」か「あじわい」を洗濯。「そのまま」とは海老の旨味をストレートに表したベース、「あじわい」はそれに豚骨をブレンドしているらしい。その上で「みそ」「しお」「しょうゆ」を選択する。

 3秒程迷ったが、やはりストレートに味わいたい。しおも良さそうだが初めての店では一番上表記を選ぶ鉄則を貫くと「そのまま みそ」となった。何となく一抹の寂しさを感じたのでチャーシュー(3枚)を追加トッピング。

 冷たい水を飲みながら活気ある店内でぼんやり5分ほど待つと、ブツが運ばれてきた。湯気に海老が香る。海老のふりかけのようなピンクの粉末が鮮やかだ。

 胡椒をパラリし、まずはスープ。……。初めて味わう海老の濃厚な旨味と甘みのラーメンスープ。味噌の強い主張をがっしり受け止め、前面に海老が出つつも引くところは引く絶妙のコンビっぷりである。太麺とも絡む。行列も納得の旨さ。さすが道場最強の無差別級だ。

 チャーシューを齧り、麺を啜り、スープを満喫。半分になったところで卓上の「えび油」なる調味料をぶっかける。ラー油のごときオレンジ色。スープを再度味わう。より濃厚さが増した。

 気づけば麺1本、汁1滴、海老1片滅失。この道場はどの店も実力者ぞろいだが、個性という点では振り切っている。ただし、甲殻類アレルギーの御仁は確実に病院直行か即死だろう。

 大満足で店を出る。行列はさらに伸長。バスを2本乗り継いで富良野へ向かう道中、アレルギーの兆候はゼロだった。痒くもなんともない。どうやら数年前は単なる体調不良だったようだ。

 キャリアではない私は、これから何の気兼ねなく「えびみそラーメン」を啜ることができる。しかしこの店では次回は「えびしお」と決めているのだけれど。〔次夜最終〕

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2019年10月実食。
posted by machi at 06:50| Comment(0) | 北海道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする